ボーン・アイデンティティー | p・rhyth・m~映画を語る~

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原題:The Bourne Identity
監督:ダグ・リーマン
キャスト:マット・デイモン/フランカ・ポテンテ/クリス・クーパー
配給:ユニバーサル・ピクチャーズ/UIP
公開:2003年1月
時間:119分




〈忘れた頃の続編〉がブームのようだ。昨年の『ジュラシック・ワールド』『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』に続き,先月の『スノーホワイト/氷の王国』,明後日から公開される『アリス・イン・ワンダーランド/時間の旅』,来週9日からは20年ぶりの続編となる『インデペンデンス・デイ/リサージェンス』,8月19日からは『ゴーストバスターズ』。邦画でも7月29日公開の『シン・ゴジラ』,10月29日公開の『デスノート Light up the NEW world』と,興味をそそるタイトルが並ぶ。

このブームに乗り遅れまいと10月7日からの公開が決まったのが『ジェイソン・ボーン』。予習として4夜連続で,これまでのシリーズを紹介しようと思う。

ある嵐の夜,イタリアの漁船が洋上に漂う意識不明の若い男を発見する。引き上げられたその男の背中には弾痕があり,皮下にはマイクロカプセルが埋め込まれ,それにはスイスの銀行の口座番号が印されていた。男はなんとか息を吹き返すが,記憶を失っていて,自分の名前も分からない状態だった。数週間後,彼は自分の身元の唯一の手掛かりであるスイスの銀行に向かう。その貸金庫にはジェイソン・ボーン名義を含め6ヵ国のパスポートや大金,そして拳銃が入っていた。やがて暗殺者たちに狙われ始めた彼は,偶然出会ったマリー(フランカ・ポテンテ)の協力を得てパリへと向かうのだったが…。

オーシャンズ11』では可愛らしくて危なっかしさもあったマット・デイモンだが,ジェイソン・ボーンになるや,超カッコいいキレっキレのアクションで魅了してくれる。体が覚えている戦闘術を頼りに自分を捜すボーンと一緒に,次第に明らかになる記憶を,見る者も追体験できアクションサスペンス。推理や状況分析,感情をていねいに描写し,物語が知的に展開する大人の映画に仕上がっている。

中でも,最後の最後まで銃に頼らないボーンの描写は巧み。恐ろしいことをしていたらしいと感じたボーンの心には,自分の正体を知りたいが,生まれ変わりたいという願いも生じる。その思いが,過去の象徴である銃を使おうとしない描写で切なく伝わってくる。

ボーンと行動をともにするなかで自身も変わろうと思いはじめるマリーの変化も魅力的。スリリングなアクションと繊細な心理描写と叙情的な映像は,この作品に小説のような味わいを醸し出している。


映画クタ評:★★★★★


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◆シリーズ一覧◆

ボーン・スプレマシー』(2005年)

ボーン・アルティメイタム』(2007年)

ボーン・レガシー』(2012年)

ジェイソン・ボーン』(2016年)