秩父 に行くといって市街地を通り過ぎ、果たしてどこへ行ったのか?ですけれど、
山の方へ山の方へと向かって行ってたどり着いたのは「吉田元気村」でありました。


吉田元気村


山懐に抱かれた場所にコテージが並び、広場にはテントを張ることもできるキャンプ場。
バーベキューや川遊び、フットサル、クライミングといったことをお楽しみとして、
暖かくなってくれば多くの家族連れで賑わうそうですが、
真冬とあっては開店休業状態というべきでしょうか。


と、そんな吉田元気村にやってきましたのは、
バーベキューでも川遊びでもフットサルでもクライミングでもなくして、施設見学なのですね。
予め秩父市役所に申込みをして、担当者の説明を受けるという文字通りの施設見学ですけれど、
その対象はまずもって、これでございます。


ちちぶバイオマス元気村発電所


先の富士五湖巡り の際にも

ゆめソーラー館やまなし 」や都留市の「元気くん1号 」を見てきた一行、
そのいかにもな行き先でありましょう、バイオマス発電所は。


木質系バイオマスガス化発電施設の解説板


市の面積の87%を森林が占めているという山間の地なればこそで
木質系バイオマス(主にスギやヒノキの間伐材等から作られるウッドチップ)を原料に、
そこから取り出されるガスを燃料としてガスエンジンを回し発電するものとして、

2007年に稼動開始。100KW級の施設としては当時、全国初であったそうな。


担当者の説明を受けながら建屋内の設備を見て廻ったですが、

なるほどこんなふうに発電するのかと。


建屋内は撮影禁止との貼紙を見て写真を遠慮していたものですから、想像願うしかありませんが、
思いのほか発電施設としてはコンパクトだなという印象でありましたですよ。


それでも、吉田元気村の使用電力を賄った上で余れば売電していたそうなんですが、
ここで「…余れば売電していた」と過去形を使っておりますのは、
何とも残念なことに現在は稼動しておらないからでありまして。


2年ほど前、発電施設に原因不明(!)の出火があり、そのまま再稼動してはいないのだとか。
必要な修理は保険の適用などで
出来ないことは無いようなのですけれど、
国の補助金を得て行っていたものの、その補助には年限があるらしく、
打ち切られた後に

コストをカバーするには市に年間3000万円ほどの負担がのしかかってくることから、

再稼動は断念した…ということのようです。


間伐材の有効活用になり、使用後に生じる木炭灰は農地の土壌作りなどに買い手あまた、
そして何より化石エネルギーを使わない…となれば、いいとこ尽くめのようにも思われ、

大枚はたいて原発の再稼動やら維持やらにやっきになっていることを考えれば、

国の補助のありようというのもどうしたもんだろうと思ったり…。


ただただ補助するのではなくして、
徐々にでもコスト減を実現する手段を講じることを条件付けたりしながら。


ということで「ちちぶバイオマス元気村発電所」は先駆的事例として、
そのメリット、デメリットを語り伝えていくことになるものと思われますが、
吉田元気村にはちと小規模ながら別の試みも進行中なのでありました。


TV東京の「ポンコツ&さまぁ~ず」なる番組では、
「使用済みの食用油で動く〝天ぷらカー″で旅に出る!」という企画が進行中ですけれど、
その類いでありますね。


天ぷら油のリサイクルで車を動かす


天ぷら油の廃油を再利用してできた燃料で車を走らせたり、
(先の番組の車と違って廃油をそのままタンクに入れるのではありませんが)
発電したりといったことが吉田元気村でも行われておりました。


天ぷら油のリサイクルで発電する


廃油は市内小・中学校の給食で使われたものが集められたりしてくるので、
結構賄えているようですが、如何せん、バイオマス発電所に比べると極めて小規模ですな。


それでもディーゼル発電機は車で牽引できたりもするので、
「氷柱」(「あしがくぼの氷柱 」のようなのが秩父市にもある)のライトアップ用電源に
貸し出されたりしているといいますから、小型なりの機動性を活かした使われ方があるようです。


天ぷら油から燃料を精製するのにリッターあたり50円程度だそうですから、
ガソリンスタンドで軽油を購入するよりは安上がり。
精製設備の方も100万円もしなかったようなので、一家に一台ではありませんけれど、

小口の電力は自己完結的に賄うような形もあるのかもしれませんですね。


その後には体育館の屋根に据えられた太陽光パネルを見上げたり、ウッドチップによる

汚水処理設備(処理後の水は全く透明で臭いもなし、飲めませんけど…)を見たりして、
およそ1時間半の見学が終了。大人の社会科見学も楽しいものですなあ。


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