「SF映画のセットか?!」とも見えるフライヤーの写真で気になったものですから、
東京都現代美術館 で開催中のオスカー・ニーマイヤー展を覗いてみたのでありますよ。
ブラジル を代表する建築家ということなんですが、
その名を聞いてすぐさまブラジルを思い浮かべることができずにおりました。
長い長い本当の名前は
オスカー・リベイロ・デ・アルメイダ・ニーマイヤー・ソアーレス・フィーリョだそうでして、
展覧会場に入ってすぐ、つかみのビデオ映像に登場した本人の曰く、
なぜかオスカー・ニーマイヤーと呼ばれる…てなことを言っておりましたっけ。
とまれ、そのビデオ映像と言いますのが、
空飛ぶ円盤のような飛行体が着地し、そこからニーマイヤーが降りて来る仕立て。
そして、その円盤状の飛行体の実体はフライヤーの上半分にあしらわれたニーマイヤー作品、
ブラジルのニテロイというところにある現代美術館なのですね。
これを見て「SFっぽさ」を感じたのは的外れではないわけで、
作者本人も(それに乗って現れる映像に出ているのですから)意識していたのかもしれません。
ブラジルを代表すると言いましたのは、1960年にブラジルの新首都となったブラジリアの、
大聖堂やら国立美術館やら大統領府やら国民議会議事堂やら…めぼしい建物の設計を
一手に担ったのがオスカー・ニーマイヤーであったからでありまして、
歴史的景観とは大いに異なるブラジリアの街並みは世界遺産に登録されているという。
(展覧会タイトルに添えられた「ブラジルの世界遺産をつくった男」とは、そういうわけでして)
これはブラジリア大聖堂を外側で支える梁の模型ですけれど、
建物そのものがこんな感じとイメージして間違いなさそう。
「大聖堂といえば十字架型 」なんつう固定観念はどこへやらではなかろうかと。
それというのも、ニーマイヤーは相当に「曲線」にこだわった人のようで、
自ら語ったところでは、こんなことも言っているそうなのですよ。
私が心惹かれるのは直角や柔軟性を欠く直線ではない。ただ自由で官能的な曲線だ。
曲線を官能的と表現する背景には、
女性の体が描き出す線の緩やかさ、滑らかさに着地した惹かれたこともあるようですね。
で、他の作品として有名どころであるのがニューヨーク の国連ビル…なのですが、
これはこんな形でしたですねえ。
ともすると奥側の高いビルばかりが国連と思ってしまいますが、
それだけを見ると真っ四角であって、ニーマイヤーの思いはいずこに?と。
ですが、これはニーマイヤーとル・コルビュジエとの共同案によるとのこと。
もしかすると、手前側に建てられた総会議場の屋根あたりに
「これは絶対譲れんけんね!」的なニーマイヤーの思いが込められているのかもですよ。
そんな具合ですから、ニーマイヤーが自由にやってよろしいとなると、
こんな一大空間が現出することに。
サンパウロ市内にあるイビラプエラ公園。
左側のボウルを伏せたような建物も実際には相当大きなものでしょうし、
模型の中を歩いて俯瞰するのでなくてその場に身を置いて見上げてみたい気にもなろうかと。
また、自然と共にあることを考えると、やはり直線一辺倒よりは曲線での構成の方が
しっくりくるような気はしますですね。
またしても「行ってみたい」と思ってしまうところですが、ブラジルは遠い…。
ヨーロッパにもいくつかニーマイヤー作品はあるようですので、気にかけておくとしましょかね。