…ということで、歴史上重要な(?)協約が結ばれたり、会議が開かれたりというヴォルムス

その由緒は古く古く遡るのでして、古代ローマの時代から町が築かれていたというのですね。


周辺地域への前線基地のようなものであったでしょうから、やはりライン川が

蛮族(キリスト教 が伝わっていないという、キリスト教側から見た言い方ですが)との境界線と

なっていたのでありましょう。


ですから、逆にヴォルムスにはキリスト教の伝播も早かったわけで、

ヴォルムスの大聖堂は様式的にも古い方のロマネスク様式で建てられているという。

早速にこれを見に行こうというわけです。


ヴォルムス大聖堂


これは南面から見たところですけれど、

これが何とも残念なことには西側外縁部、そして東側の塔部分が工事中でありまして、

辺りをうろうろしましたがどうにもフォトジェニックな姿を捉えることができないのですなあ。

(どこへ行っても、古い建物の工事中に直面することは、ままあるわけで…)


ヴォルムス大聖堂の全体像(模型)


ですので、南側入り口近くにあった模型で取りあえず全体像をつかんでいただこうと思いますが、

でぶいの、細いの、高いの、低いの取り混ぜて、都合6本の塔があるような形、

ロマネスクの中でも地域的な特徴であるらしく、ラインラント・ロマネスクと呼ばれるのだとか。


ほんの少しだけ装飾のことなどにも触れておこうかと、

上の写真でいうと左側の塔のあたりに目を向けてみますと、このようになってます。


ヴォルムス大聖堂 西側の塔


特に真ん中部分、柱廊を縁取るアーチが見えますけれど、これが見事に円形であると。

これがゴシックになると、円頂部が尖った尖頭アーチになるのだそうですよ。

ただ建てるのに長く掛かったが故に最後の方にはゴシック様式も紛れ込んで…といってことが

あるようですので、左右に見られる素直な円形でないアーチは、はてどう考えたものかですが。


ヴォルムス大聖堂 南側入口


というところで、外にはちょっと見切りをつけて、中へ入ってみることにします。

入口からして立派な装飾が施されておりますね。
ちょいとクローズアップしてみたくなったりもするという。


入口装飾のクローズアップ


でもって、この聖堂の入口があるのは南側なのですよね。
ご存知のように(斬新な建築のものを除いて)一般に教会は東西に身廊、側廊、

そしてこれに交差して南北に翼廊があって、上空から見れば十字架の形をしてますね。


だいたい西側の端から入って、頭上にはパイプオルガンとクワイヤの席があるところを抜けると
身廊、側廊が伸びていて正面(東側)奥には内陣があるてな感じかと。


南側や北側に出入口が全く無いとは言いきれませんですが、
ここヴォルムスの場合にはむしろ西側に入口は無いのでして。
堂内を見回してみましょう。


ヴォルムス大聖堂 東側内陣方向


これは東側。身廊、側廊の奥に内陣があるいつものパターンですが、
では西側は?


ヴォルムス大聖堂 西側内陣方向


西側も礼拝堂のようになっていて、入口らしきものは見当たらない。
さきほど外側から見たときに円形アーチの柱廊を巡らしていた塔の下がこの辺にあたるわけです。


実は東側ばかりでなく西側にも内陣と祭壇があり、

さらに手前には西側の翼廊まであるというのがラインラント・ロマネスクでまま見られる形なのだとか。


ではオルガンは?ということになりますが、
ニコライ・チャペルという側廊の一角に小さいのが置かれてありましたっけ。


ヴォルムス大聖堂ステンドグラスの一部分


ステンドグラスはと言いますと、こんなふうに世俗君主と思しき姿が見られるように、
神聖ローマ帝国との繋がりからも地下のクリプタには幾人かの皇帝が眠っているのですな。


クリプタに眠る神聖ローマ皇帝


ロマネスクはイメージ的に質実剛健みたようなふうでもありますので、

装飾は華美ではありませんけれど、堂内にいくつか置かれたレリーフは見事なもであったなと。

ほぼ15世紀末頃のものだということです。


受胎告知のレリーフ@ヴォルムス大聖堂


キリスト降架のレリーフ@ヴォルムス大聖堂


生命の樹のレリーフ@ヴォルムス大聖堂


これで、最もロマネスクらしいとも言われる西側正面からの眺めが得られれば、

文句なしだったんですが、いちばん工事が大掛かりなようで近付くことさえ、

また囲いがあって遠望すらできなかったのが心残りなものの、

「来た甲斐あった!」のヴォルムス大聖堂なのでありました。


ヴォルムス大聖堂 工事中



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