宇宙と芸術のクロスオーバーなれば、もしかして面白いかも…と
東京都現代美術館で開催中のミッション[宇宙×芸術]という展覧会を覗いてきたのですね。


ミッション[宇宙×芸術]@東京都現代美術館


結果的には想像以上に科学寄り(それはそれで面白いとも言えますが)だったものですから、
個人的にはちと思惑外れの感、無きにしもあらず。


ではありますが、何せ現代美術館の展示ということで
例によってあれこれあれこれ(的外れであるかもとは取り敢えず)考える刺激には
なるのでして、そうしたところからの思い付きをちらほらと記してみようかと。


会場に足を踏み入れて早速に登場するのが、いわゆるプラネタリウムであります。
普段は単なる箱型の展示室ですので、これを暗幕で仕切って、
床にはカーペットを敷き、寝っ転がって見られるようになっておりました。


本来のプラネタリウムに比べると環境的に無理があるのは致し方ないところながら、
中央に置かれた投影機が実は凄いものであるようす。


大平貴之さんというプラネタリウム・クリエイター(かかる職業もあるのですなぁ…)が
開発したという「MEGASTARⅡ」なる機材ですけれど、
なんでも投影できる恒星の数が世界一多いとかでギネス・レコードを持っているそうな。


展示室を出入りする人がいるたびに外の光が入り込み…といった状況で、
しかも丸天井ではないところから必ずしも宇宙の像として捉えにくいところもありますが、
それでも確かに膨大な数の星が部屋中を覆い尽くしてましたですね。


いったいどこに行ったらこんなふうに見えるのだろう、
それこそエベレストのてっぺんか?と思ったりしたものの、
宇宙に確かにある星々を映し出すことが主眼であれば、地球(の環境)で見えるのかどうかは
関係ないのかも…とも思ったり。


見える、見えないに関わらず、宇宙空間はこうなっているのだということを
再現していると言ったらいいでしょうか。


投影されるのは星々ばかりでなく、
地表(と思しきあたり)近くにたゆたうオーロラも見えてくるのですが、
オーロラとは地表(地球の側)から見えるものだと思っておりましたら、
宇宙から見てもオーロラはオーロラであったと(コニカミノルタプラザの写真展で)知れば、
これもまた宇宙空間に発生する自然現象の再現であろうかと。


ここで自然現象と人口的な再現を対照させるかのように使ってしまってたんですが、
ぼんやりとプラネタリウムを眺めながら思ったことは、
宇宙で起こる様々な事象は要は物理的な現象であるなと考えた場合、
果たして先ほどの「自然的な発生」と「人工的な再現」の違いは何ぞやと…。


とかく人工に比して自然を有難がってしまいがちながら、
いざこんな思いが浮かんでしますと、揺らぎがでますですね。


さて、プラネタリウムでも見えないものを可視化する要素に目が向いたわけですが、
その後すぐに登場する逢坂卓郎さんの「Fullness of Emptiness Integral」はまさに!


宇宙から降り注ぐ放射線(当然見えない)と地中から放出されるガンマ線(これも見えない)を
検知する機械を通じて、検知した状況をLED光に変換するという、
見えないものの視覚化なわけです。


それも点滅という動きを伴うだけに、
見えてないものが身の回りに動きを伴って「ある」状況を想像させることになりますですね。


チーム・ラボの制作した「憑依する滝、人工衛星の重力」なる作品もまた、

同じように「見ることのできない」重力の視覚化でもあろうかと。


チーム・ラボ「憑依する滝、人工衛星の重力」

下の方で翼を広げたように見える形は、人工衛星「だいち2号」を3Dで再現したもの。

本来であれば当然に、人工衛星には重さがある、ということは重力があるということになって、

その重力に引き寄せられる粒子が降り注ぐ滝壺でもあるかといった様子を見せています。


なにやらつい先日にブラックホール の再現実験に関して触れたことと

妙に符合する感のある展示が見られたというも、

もしかしてこれまた見えない力に作用されて…といっては、

話はオカルトになってしまいますですね。

あくまで科学のお話でありましたですよ。