初めての方は本編はじめましてから順に読み進めて読みください
お探しのページがあれば目次をお使いください→全体の目次
前話→374.茗禪堂の結ぶ縁Ⅱ~それでも 全て 天がお決めになった事だと 言い切れるのですか?に引き続き恵政殿皇太后 ソ・ファヨン目線です
行きつ戻りつして解りにくいのですが… 372.でユルに責められた後 改装された茗禪堂を見上げて過去(188.解体前夜 268.春の月夜 他)を回想しているところです
行きつ戻りつして解りにくいのですが… 372.でユルに責められた後 改装された茗禪堂を見上げて過去(188.解体前夜 268.春の月夜 他)を回想しているところです
せめてあの夜 私がイ・スンレとミン・ユソンを憎む理由がそれだけではない事を… 貴方の知らない真実を打ち明ける事が出来ていたら 今が違っていただろうか?
皇太子に先立たれ慈駕に降格された皇太子妃にはもうなんの力も無かったし 当時は純真だった…
嘗ての恋人の為に事を荒立てず 孝烈殿下の無念を胸に秘めてイギリスへ発ったが いつか必ず戻ると誓った
東宮殿に 再び戻ると
殿下… あの夜 最後まで誤解を解くことを諦めなければ 今が違っていただろうか?
よもやヒョンオッパとミン・ユソンの息子が イ・スンレの娘と婚姻し 再び私達が東宮殿に戻る妨げとなるなんて 予想だにしなかったことに 気が狂いそうだった
そもそもイ・スンレが孝烈殿下との婚姻を断ったりした為に 私の人生は変わってしまったというのに なぜこうも私の人生を狂わすのだ!
やっと やっとあの娘を追い出せたのに…なぜそれをユルが 連れ戻そうと躍起になる?
皇太子が継妃に決定したキム・ミニョンとはキム・ミルが私に会いに来るよりも以前に出会った
皇太子の国婚よりも前…当時はまさかその従妹のキム・ミルを息子の妃に迎える事になるとは予想だにして居なかった
ミン・ヒョリンという娘と親しげなシンのスキャンダル写真を新聞社に持ち込んだキム・ミニョンの復讐心はもっと使えるかと期待していたが… 私のそれと比べれば大したものでは無かった
妃宮の事故も シンの発作も大事には至らず 返って二人の絆を固める結果を産んだ
いくらか揺るがしたかと思えば…
なんと妃宮のあまりのぬるさに戦意喪失でもしたのか ぐずぐずしているうちに手の内を知られ呆気なく手を引くとい言うのには呆れた
思い出しても忌々しい 融通の利く女官も尚宮も悉く取り上げられ いっそ景福宮の外ならば自由も利くが 人の出入りのチェックの厳しい景福宮内の乾清宮で 長く苦しい時を過ごした
それにしてもキム・ミニョン この私を裏切って妃宮に気を許した分際で いざ妃宮が出て行くと再び東宮殿に戻り 継妃の座に治まろうなどとどこまで厚かましいのだ!
ミニョンといいミルといい…この私をコケにしおって
去年のクリスマスイヴには…
恋人が春から通う大学のクリスマスツリーの前でユルが…歌と指輪を贈ってプロポーズをしたとインターネットを賑わせた
それというのも 息子は勿論ミルにまでも結婚を急かしたのはこの私なのだから 特に驚くべきことでもなく…寧ろ喜ばしいことの筈だった
だが…
イギリスに居た頃毎年恒例であった母子のクリスマスディナーは その朝の諍いがきっかけでユルにいわゆる”ドタキャン”をされた その代わりにあの娘に会った挙句のそれとなると…
胸の中を風が吹き抜けるような寂しさは…拭いようもなかった
ふん… 怒ったふりをしてくれとそなたに頼まれずとも こうして充分不快な思いをしているというのに…
私達親子が諍う原因であった皇太子夫妻は 曾て私の城であった東宮殿洋館に留まらず…雪に覆われた景福宮の至る所で人目も憚らずイチャイチャと睦んでいるのだとか…
東宮殿に忍ばせているペク・チュンハからの報告には震えた
皇太子夫妻が閨事に目覚め惚けている今 この隙に一気に仕掛けよと キム・ミニョンに新たな知恵と機会を授けようと…
元バレリーナで元女優だ 業界や芸術面にも顔は広い
秋に世界規模の音楽祭で最優秀賞を受賞したあの娘を 国民栄誉賞にと根回しした
復讐の為に躰を差し出さねばならぬのかと嫌がるので 奥の手まで教えてやった
「奥の手?」
「意識を奪えばよいのだ…」
シンが幼い頃 ユルと共に東宮殿で食して ショック状態に陥ったある食物を教えてやる
「果実そのものを食べると命を落とす事も考えられるが まあ飲み物ぐらいなら気を失う程度であろう
気を失った隙に そなたが一芝居 襲われたと騒ぐだけで良いのだ
事を大きくせずとも イギサとパパラッチだけで充分だ」
桃アレルギーがどの程度なのか定かでは無かったが…自らの手を汚さずに甥を葬ることになるかもしれぬとまで覚悟した
ペク・チュンハによれば シンは確かにホテルから救急車で運ばれ検査入院したらしい
が 私の元に朗報は届かなかった
それどころか 翌朝には帰宮し その夜更けにシンの睦言までも耳にしたというではないか!
あの娘 しくじったのか?
私はあの娘に連絡が取れず どうなっておるのだと気を揉んだ
色仕掛けは 失敗したかに思えたが… どうやら妃宮がシンを敬遠しているらしい
が…人前では取り繕える程度
忌々しい妃宮をなんとかこの機に追い出そうと アンチ皇室の下級生イム・ジュファンを使って卒業式に粉を撒くよう手配したが あっさりと捕まってしまった
あの日シンは怒りを隠さず 女官達はシンが皇帝になれば現皇帝の非ではないと噂した
皇室警察が駅のCCTVを調べたところ 黒ずくめのペク・チュンハが駅のロッカーに粉と金を入れたところが映ってはいたようだが 身元は割り出されなかった
シンの怒りとは対照的に 妃宮のぬるすぎる楽観思考には心底苛立たされた
観梅会の折りにもケロリとしたものだったが…まあ あの時は キム・ミニョンを見て怒りに震えるシンを目にする事が出来 随分気を良くした
つい饒舌になり 皇后に牙を剥かれたものだった
そんな具合に 好機が訪れたかに見えては 苦い思いを味わった
王立大ではなく別の音楽大学に進学したキム・ミニョンは 皇太子夫妻との接点も減り その利用価値はぐっと下がった
それでも妃宮に取り入って復讐のチャンスを狙っていたはずだったというのに…何を以って妃宮に絆されでもしたか…ぐずぐずしているうちに…
大学一年の冬の初めに突然連絡して来たかと思えば 妃宮に計画を知られシンに遠ざけられたとかで もう期待しないでくれと…その後は私からの電話を受けぬ始末…全く忌々しい
そういうわけで 新たな駒を探していたところ…
機会は 突如降ってわいた
実家の父の法要の席で ユルと同い年の甥ソ・ジテから 思わぬ情報が得られたのだった
温存してきた切り札を使うときが来たと感じた
「ユルは…大君殿下は おいでではないのですね」
「ユルで構わぬ この場では叔母と甥ではないか…
ユルはこの頃 母親に会いに来る間も無いほど忙しくしている なんぞ用でも有ったか?」
「ええ…ちょっと…妃宮さまの事で 気になることが有って
伝えておこうかと思ったのですが…」
「はて?妃宮がどうかしたか?」
「直接知ったのは僕では無くジュヨンで 彼女は祝いの言葉を掛けたのですが…
妃宮さまは…もしや 御懐妊が嬉しくないのではないかと…」
なにっ?!
「懐妊…と 申したか?」
「はい…ジュヨンが王立病院の婦人科に研修医として勤務しており 妃宮さまの懐妊の助けになるよう取り組むチームに所属していて
懐妊を喜んだところ 皇太子にも秘密にしてくれと頼まれたとか…
守秘義務もありますが…皇孫ですから お守りする義務もあります
せめてユルから伝えて貰えばと…」
「何?!…そうか…
しかし シンも知らぬことを 先にユルが知っては あのシンの事… 良くは思わぬであろう
妃宮が自分で打ち明けるのを 待ってやるがいい」
「確かに 皇太子はユルから聞くことになると憤慨しそうですね
あの…叔母上さまは僕が以前から皇太子を嫌いな事は ご存じですよね…
彼は皇帝の器じゃない
おまけにどうも妃宮さまを溺愛する気持ちに反して 端々で虐げているような様子がある
僕は妃宮さまがそんなイ・シンの子を…皇孫を産むことを恐れているように思えてなりません」
さてはソ・ジテ…妃宮に思いを寄せておるな
「叔母上さまは ユルを懐妊なさったとき 皇太子妃でしたから お気持ちがお解りかと…」
ほう…面白い これは使えそうだ
「ふむ…少し妃宮と話をした方が良さそうだが…シンは私を嫌っておってな…
妃宮に近寄ろうものなら牙を剥く勢いなのだ
ともかく ジュヨンにもよく言っておくがいい
知っての通り シンは気難しい 懐妊の事実を妃宮以外から聞くことは喜ばぬ」
妃宮懐妊の事実は 私にとって面白くはない
だが 隠しているというのは…ふん…
大方 流産を隠していたことを責められた経験から 安定期までお上には秘密にするつもりのようだが…夫である皇太子にまで秘密とはこれ如何に…?
これは寧ろ逆手に取れはせぬか?
ユルはまだシンの臣下に甘んじる気で居るが ジテは陰ながらユルを補佐してきた
ユルがその気になれば きっと押し上げてくれよう
これはユルをその気にさせる最大のチャンスだ
「アイツがチェギョンをぞんざいに扱うから こんな事も打ち明けられないんだ…
あ… 失礼…」
しかも ソ・ジテは 妃宮にかなりご執心と見える… ふふふ
これは良い 新しい駒を得たと確信した私は ジテを乾清宮に呼び寄せた
今日もありがとうございます
ソ・ファヨンの胸中 長いですね~orz
過去の回想なので重複ありますが…抜くと解りにくく…やむなし
お許しください
12/2(金)→376.甥と甥~皇太后さまなら 女人が宿した子を失う気持ち…お判りでしょう?
ソ・ファヨンの胸中 長いですね~orz
過去の回想なので重複ありますが…抜くと解りにくく…やむなし
お許しください
12/2(金)→376.甥と甥~皇太后さまなら 女人が宿した子を失う気持ち…お判りでしょう?