8.遠い遠い記憶~いったいどこで間違ってしまったのだろう… | かおり流 もうひとつの「宮」

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こっそり書き溜めた「宮」の二次小説を今更公開(四十の誕生日2013/08/18にOPENしました)
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なのに…
どこからか 私達の過去が 陛下と殿下の耳に入ってしまった

「ファヨン タイ訪問は私一人で行くことにした」
「どうしてですの?
私とユルも殿下との初めての海外公務を楽しみにしてましたのに…」

皇太子殿下の顔が今日は幾分険しい…
「ユルは…年が明けたら何歳になる?」
「一月二十日で 七歳です」
殿下は眉間に皺をよせ 沈痛な面持ちでいらっしゃる なんだというのだろう…?

「私は君を愛していたが 正直ユルを愛する自信が無い…
理解しようと努力してみるが 今は少しそっとしておいてくれ」

突然の殿下のお言葉に 耳を疑う いったい何をおっしゃっているの?
「な…なんの話ですの?」

「君とヒョンはイギリスで交際していたそうじゃないか…」

いったいどこからそれが漏れたの? もう十年以上前の話なのに…

「?!なぜそんな事をおっしゃるのですか?どうして今更そんな…」

「今更?ヒョンは今でも君を愛しているんじゃないのか?
ヘミョンが生まれた頃だったか 茗禪堂へ足しげく読書しに来ていた…
その実何をしに行っていたのだか 君もいつだったか茗禪堂へ通っていた記憶があるが…?」
殿下は自嘲気味に笑った

殿下は 誤解されている?ユルが…彼の子だとでも?!
一度だけ…私たちが罪を犯したとすれば それはあの日限りだった…
ユルはあれから二年半後に生まれたのだから間違いなく殿下のお子なのに…

「何も言わないんだな?やはり…そうなのか?」
「あ…アニエヨ…チョルテ…アニエヨ…」
違うとしか言えなかった
私達の間にはたった一度だけでも あの日が存在した
あの日以前もあの日以後もそんな関係ではなかった でも あの日は存在した
激しく求めあったあの日は 私の中にもしっかりと刻まれていた

「…弟とそんな関係じゃないとは言えないんだな」

「で…殿下 誤解です ユルはユルは殿下のお子です」

「そうか ユルは俺の子か じゃぁ関係はその前で終わりだったわけか?
不仲説が囁かれている間
お前に子を授けることができず胸を痛めていたのは俺だけだったんだな
大君妃閔氏が子を宿している間もヒョンの欲求を満たしてやったのか?
ヒョンの子を授からなかったのは法度を犯して避妊でもしたのか?
ピルでも飲んでいたのか?だから俺の子も授からず…
したたかなんだなヒョンを捨てて皇太子妃になっておきながら
俺を裏切って関係を続けていたなんてな…」

「ちがう ちがうのに… 違います… 殿下…」
私に言い訳もさせず 殿下は冷たい背中を私に向け
東宮殿の執務室奥の仮眠室に消えた

「母上…どうされましたか?」
幼いユルが自室のドアを開けてパビリオンへ出てくる

「なんでもありません… 起こしてしまいましたか?もうお休みなさい…」
ユルをベッドへ寝かせると 私は殿下のお戻りにならない寝室のベッドで
目を閉じ 深く呼吸した


いったい どこで 間違ってしまったのだろう…

殿下の誘いを お断りしなかったこと?

自信を無くしてオッパと連絡を絶ってしまったこと?

女優の道を諦めて 流されるままに皇太子妃になると決めたこと?

もしかして… ヒョンオッパと出会ったことさえ間違いだったのかも…
いいえ それだけは それだけは違う…
あんなに愛した人と…
あなたと出会わなければ良かったなんて そんな風には思いたくない


タイへ出かける朝 殿下は冷たい視線で私を一瞥しただけで
何の言葉も無かった

「父上様 いってらっしゃいませ」
ユルの愛らしい笑顔にも そっけなく「いってくる」と答えただけだった

「殿下 いってらっしゃいませ
お帰りになられたら ちゃんとお話させてください」

「わかった」
殿下はわずかに目を合わせてそう答えて下さった
だから
離れている一週間で 互いに冷静になれば お心を取り戻せると信じられた


なのに…

それなのに 殿下は飛行機に乗る前に この世を去ってしまった


国葬が終わると皇帝陛下に呼ばれた
「わしに追い出される前に 自分でここを出て行くがいい
息子の名誉を守るため イギリス王室を訪問する大義名分を授けよう
ここへはもう戻らぬ方が 身の為じゃ」
「陛下 お待ちください 陛下!ユルは殿下のお子です」
「今となっては どうでも良いことじゃ… コン内官 恵政宮を連れて行け」

「恵政宮さま… どうか 賢明なご判断を…
騒ぎになれば 亡き孝烈(ヒョヨル)皇太子殿下に傷をつけるだけでなく
孝誠(ヒョソン)大君殿下の皇帝への道も険しくなってまいります…」
孝烈皇太子付きだったコン内官も 間もなく
新たに 大君殿下が皇太子の冊封を受けると 孝誠新皇太子付きになると言った
愛した人と 愛され続けたかった夫を想えば…
私はもう 引き下がるしかなかった…

皇太子妃の座に居座ろうと思ってなどいなかったのに…
ただ 陛下の いいえ 殿下の誤解を解きたいだけだったのに…
私は 殿下を裏切ってなどいない ユルは正当な皇太孫なのに…


イギリスへ渡る日私はユルに言った
「父上様はお帰りにならないけれど いつかきっとここへ
宮へ戻って来ましょう」

「はい母上様 帰ってきたらまた シンとヘミョン姉さんとチェギョンと
遊べますか?」
すぐに帰ってくるつもりで 無邪気な笑顔を向けるユル… 
「ええ… きっと」

かおり流 もうひとつの「宮」
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