199.再度合房を~そなたは黙っていろ 是は私が決めた事 | かおり流 もうひとつの「宮」

かおり流 もうひとつの「宮」

「チュ・ジフン&イ・ジュンギな毎日」のまほうの手・かおりが
こっそり書き溜めた「宮」の二次小説を今更公開(四十の誕生日2013/08/18にOPENしました)
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前のお話→198.勢揃いの昼食会~ドアを開けた途端とんでもない物を目にしたのよ!?

 


東宮殿のパビリオンで 宮家の一同が集まり昼食を共にするなんて 初めての事だった
十二月の最初の日曜日 あんな風に帰国した姉上と共にホームドラマを見ていたおばあ様が どうしてもやりたくなったと言いだし おばあ様のイメージにぴったりの適所が 此処東宮殿のパビリオンだったというだけで 俺達夫婦はホストとして 東宮殿の料理人や尚宮 女官 内官と共に たった一週間で 宮家の皆をもてなす準備を強いられた

そんな多忙な中に 大学修学能力試験の成績が届いた
「合格だよ~~~!!!」
帰宮し パビリオンでコートを脱いだばかりの無防備な状態の俺の腕の中へ 無遠慮に飛び込んで来た満面の笑顔に戸惑う俺に構わず
俺の胸元で 褒めて褒めてとふたつの黒い瞳が訴えている
勿論俺も既に聞いて知っていた くくくっ
「良かったな」
「うんっ!!」
王立大学の合格ラインはかなりハイレベルで ただでさえ興味の有無で成績にバラつきのあるチェギョンには 正直難関だった
だが 彼女は見事突破した 大したもんだ… 勿論俺は余裕だったが…
あとは名ばかりの二次試験と称した面接と よほど拙くなければ合格となる論文の提出で
俺は王立大学の法学部へ チェギョンも芸術学部へ進学が決まる
チェギョンの頭をグリグリと撫で回すと
「へへへ」と鼻を擦る仕草が 幼い頃の無邪気なチェギョンのようで 俺も自然と顔が綻んだ

十二月の二週目の日曜日
なんとかお茶の時間まで無事に運び お開きまであとわずかという場面で 母上の出産予定が七月の半ばだという話に満足そうに何度も頷くおばあ様のその横で…
「あ ねえ…おばあ様? 先週私が帰国した日!
誰にも会わずに真っ先に此処へ来たの 可愛い弟に会いにね そうしたら ドアを開けた途端とんでもない物を目にしたのよ!?」
ちょ!待てよ姉さん!何を言う気だ!?
「はて…とんでもない物とは?」
「ね 姉さん!」
止める間もなくおばあ様に耳打ちする
「二人がね ………」
「ほっほっほ…それはそれは… 喜ばしいかぎりじゃ…
おお そうじゃ…弟か妹が生まれた後 直ぐにも シンの元に 息子か娘が誕生するやもしれぬな」
チェギョンはむせるし チェギョンの背中を擦りながら俺は なんとか平静を装ったが…
なんとも間の悪い事に 急にチェギョンが嘔吐いたり(エズイタリ)するから…
「チェギョン…貴女もしかして…」
「え?」
「おや 妃宮…そうなのか?」
「え?」
拙い… 俺の直観も チェギョンの口を塞ぐのには間に合わなかった
「あ…ち…違います!…だって私が赤ちゃんを授かるなんて…有り得ないか…」
やっぱりか…馬鹿…
チェギョン…慌てて口を噤んでももうバレてる…
「え?」
ユルの表情が一番解りやすかった
隣に居たキム・ミルが腕を引いたくらいだ… もうみんな解ってしまっただろう…
「貴方達がまさか…」
先週俺がチェギョンに口付ける様を見た姉上は とても信じられないようだが… ふっ あんなの俺の一方通行さ…

俺とチェギョンの合房が失敗に終わっていた事実は 一瞬で此処にいる 皇帝皇后両陛下 惠明公主(ヘミョンコンジュ) 義誠大君とその婚約者 恵政殿皇太后 そして太皇太后陛下に 知られてしまった

「よもや 皇帝の命に背き 合房の儀式を軽んじ 二人して皇太子と皇太子妃の仮面を被り 契りを交わした正真正銘の夫婦のふりをして我々を欺いていたなど…
まったくけしからん… 皇帝の臣下としての真意を量り兼ねる!」
「恵政殿皇太后 少し冷静になっては頂けぬか…」
「これが冷静でおられる事でしょうかっ?!」
「太子 妃宮… 本当なのか?」
「はい…お気付きの通りです」
「ふむ…なぜ我々を欺いたのだ…」
「欺いてなど…
あの朝お伝えしたとおり 我々は確かに同衾し 心を分かち合ったのです…
ただ…それだけです 嘘は申しておりません」
しん…と静まり返るこのパビリオンは 真冬でも溢れる程花に覆われ 温かで 穏やかで こんな尖った空気など似つかわしくない

「チェ尚宮の書いた儀軌を読み返してみたが…確かに…太子の優しい言葉に応じて心を開いたと記されておった…
しかし…合房に望む理由は世継ぎに直結している…
シン…再び合房を執り行う必要があるように思うが…」
おばあ様…
俺は胸の中で深々と溜め息を吐く …どう言ったって…大人達になど解りっこない
合房なんてもう一度やったところで あんな物々しい雰囲気の中で… 見た目よりずっと 儚く 繊細な乙女心を持っているチェギョンが 俺に躰を許す事など考えられはしない
俺がチェギョンに熱い夜を求めるのは易い事…
だが彼女は俺に穏やかで温かなぬくもりを求めているんだから…

「儀式など 何度も行う必要は有りません
私と妃宮の間には 厚いガラスの扉に鍵まで掛かっていたのです
ですが今は ほんの薄い布が一枚有るだけで
互いを慈しみ 信頼を築こうと 日々歩み寄っているのです
時が来れば…
我々の間に 後世に祖先の血を受け継ぐ世継ぎを授かるべき時がくれば… 必ずや…
その時がまだだというだけの事です」
「あの…申し訳ありません…わ 私が」
「そなたは黙っていろ 是は私が決めた事」
「だ だって…」

再度合房を執り行う事を受諾しないのであれば 二人の寝室を一つにしてはと提案された
提案とは名ばかりで 直ぐにも東宮殿は模様替えされるだろう…
だが 再び合房などするより 寝室を一つにする方が遥かにマシだろう…
それならば 徐々に心を開いてくれたのと同じく いつか自然に躰を開いてくれるかもしれない

「シンくん…ごめんなさい…あたしの不用意な発言で…こんな大事に成ってしまって…」
皆が引き払い 東宮殿のパビリオンがいつも通りの姿を取り戻すと 俺達の間にも 穏やかな日常が戻ってくる筈だった が さっきの件で 少し緊張した空気が流れているのは否めない
「…仕方のない事だ…」
そんなに落ち込むなよ…大したことじゃない…寝室がひとつになるくらい
…お前には大したことかもしれないが…
「もう一度あんな堅苦しい合房なんかさせられるよりはマシだろう?
寝室が同じになると… ベッドはより大きなものに変えて貰える
少し落ち着かなくは為るだろうが アトリエが完成するまでは趣味に興じる為に東宮妃の部屋はそのままにしておいて貰おう 今まで通りに過ごして 眠るときだけ俺の部屋に来て 新しいベッドに眠ればそれで…」
そこまで言った時 チェギョンが険しい顔をして 目に涙を溜め込んでいる事に気が付いた
いつからそんな顔をしていたんだろう…
俺は… 照れくささ半分 済まなさ半分で… チェギョンのその表情に気が付くのが遅かったようだ

「だからごめんって言ってるのに!もういいよ!そんなに今まで通りを強調しなくても!」
は?
「どうせあたしはただのお飾りの妃宮なんだもん 恰好だけ隣に居ればいいんでしょう!?
中身なんか必要ないんだわ!なのにお前らしくないとか言って惑わせないでよ!」
「なんだよそれ?」
なんの話だ?
「いいっていいって!今まで通り シンくんに何か望んだりしないから!ちょっと仲良くなった気がして 皇太子様相手に いい気になってごめんね!
前みたいに心を消して 東宮殿の籠の中の鳥だか 皇太子の隣で品よく笑うお人形みたいな皇太子妃を演じてればいいんだよね!?」
は?どういう意味だよ!意味が解らない…なぜそんなことをいうんだ?
「ちょっと待てよ!チェギョン!」
俺に一言も口を挟ませずにさっさと 東宮妃の部屋へ飛び込み 硝子戸を荒々しく締めてしまった

それからまた 俺がやらかしたあの夜の翌朝から事故までのチェギョンに逆戻りだった…
何処へ行っても笑顔を絶やさないのに… 俺にだけ笑わず 目も合わせようとしなかった
今度は俺…いったいどんな失敗をしたんだ?
訳が分からず 仮面夫婦を演じるしかなかった…


「チェギョン?行ってくる」
「いってらっしゃい 寒いから 温かくして」
辛うじて 気遣いだけはしてくれる
ご機嫌を取るつもりなんかではなく はじめから チェギョンを喜ばせようと購入した巨大なクリスマスツリーが昨日届いたおかげなのか…?

 

 

 

 

キラキラ今日も ありがとうございます韓国カムサハムニダ
18日で当ブログも一周年です早いですねぇ
一年で200話も書くことになるとは思っていませんでしたキラキラ
これも 楽しみに読んで下さっているみなさんのおかげです恋の矢
さて…また仮面夫婦状態となってしまったところで申し訳ありませんが
ここでまた本編を数日お休みしてSideStory「Irreversible/不可逆」をひとつ挟ませてください
またちょっと「ええ~っ!!」な 感じの未来の ある人のお話です
8/10(日)→Irreversible/不可逆 1~アジョシガットゥンサラミマンナミョン…
これで想像つく人は絶対私と同じタイプのピョンテ(笑)

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余談ですが…
明日は長崎に原爆が落とされた日です 私は被爆三世で
両親とも被爆二世 父親は56歳で他界しました
58になる叔母も先日ガン細胞の摘出手術を行い 闘病中です
長崎はガンの発症率が高いのですが 因果関係は明らかになっていません
福山雅治さんもまた 被爆二世として
平和を願う思いを込めて 被爆クスノキの歌を歌っておられます
ご存じの方も 良かったら明日の記事 読んでみて改めて
戦争 被爆 平和 健康 幸福について 考えてみてください
本編の続きはお盆明け 少々お待たせいたします→200.涙のワケ~こんな素敵な贈り物をくれたのに なんだか不満そう…