196.夜明け~恐ろしく高性能な頭脳を持っているおかげか… | かおり流 もうひとつの「宮」

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「チュ・ジフン&イ・ジュンギな毎日」のまほうの手・かおりが
こっそり書き溜めた「宮」の二次小説を今更公開(四十の誕生日2013/08/18にOPENしました)
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前のお話→195.合房Ⅱ~あ…嫌… お願い 嫌わないで… うっとおしいよね…こんなの…
前話に引き続きチェギョ目線です

 


朝…目覚めたら シンくんは もう夕べ着ていた袞龍袍(コンヨンポ)に身を包み キチンと正装していて…
なのに 壁に凭れ 文机に片肘をつき 片足を投げ出して 立てたもう片膝に置いた本を 読んでいた 
くすっ お行儀悪いよ?殿下…そう言おうとして 思い出した
あ…シンくんって 呼んでいいんだっけ…でも…
「おはよう…早く…起きてたの?今…何時?」
照れくさくて言えない ってゆうか シンくんはちっともコッチを見ない…
「ん?ああ…間もなく7時だ」
一度だけチラリとあたしに目を向け また本に視線を戻す
「うそ!挨拶は?!」
「行って来た」
「ええぇっ!?」
本から目を離さず 事もなげに言うけど…
「起こしてくれれば良かったのに…」
「気にするな」
「気にするよ…他の日ならまだしも…大事な朝なのに…」
「ああ…心配するな 躰が辛いだろうと 何方も咎めたりはしなかった」
は?はいぃ~~~?!
「え?////だって…」
「そういうことになってるから…心配するな」
「?…う ウソッ!嘘ついたの?」
「いや…嘘は言ってない ハッキリ言わなかっただけだ」
「…?」
「ただ 「おかげさまで妃宮と無事同衾し 心を分かち合いました」とだけ言ってチェ尚宮の書いた儀軌を渡して「妃宮はまだ眠っていたので 義愛合に一人残してきました 戻っても良いですか?」と言ったら 早く戻ってやれと まあそんな感じだ 造作も無い…ふふん…」
シンくんときたら 満足そうに鼻をならしてるけど… はい?どういうこと? 
「同衾とは一つの布団で共に寝る事だ しただろう?俺達
まあ…正しくは同衾ならもう何度もしているんだが…別に構わないだろう そんなこと
昨夜お前は 合房の命を受け入れ 俺の胸で安心して眠った
つまり俺に心を許したって事なんだろう? それで良い」
まだ…本から目を離さない… でも 貴方の言う通り 昨夜の事は…夢じゃないんだよね?
いいんだよね?呼んで…
「あの…し…シンくん?」
あたしの声に
さっきからずっと 話しているんだから読んではいないはずの本に目を向けていた彼が
やっとコッチを向いた それが…
少し照れくさい様な彼の心が覗える 今まで見た事無い 奇跡のような愛おしい笑顔で…
うそ…//// なにその顔…
ほんの一瞬だったけど 忘れろと言われても忘れられそうにもない程 印象的だった


その朝から あたし達の距離は 確実に近付いた
まるで 二人の長い夜に 夜明けが訪れたみたいだった
しなかったのに ね… えへへ
彼は あたし自身がよく理解できても居ないあたしの心を 恐ろしく高性能な頭脳を持っているおかげか…汲み取ってくれた気がする
100%あたしの想いが伝わったはずは無い それは あたし自身 あの涙が何だったのかよく解らなかったから…
だけど どうしてだか…
あたしが不安を隠して抱かれていたら こうはならなかった気がする…
チェ尚宮お姉さんの言った通り 彼はありのままのあたしを 受け入れてくれたのかもしれない


「お帰りなさい 降ってきたんだね雪…
また積もるのはいつかな~ 早いね もう今年もあとひと月を切ったもんね」
合房の朝は今年初めての積雪だった あれ以来まだ積もっていない
正殿の執務室から戻ったシンくんを テラスからパビリオンに迎え入れて 彼の肩に着いた雪を払う
「ああ…寒いな」
「寒いのは苦手?」
「ああ…」
あたしはシンくんの腕にするりと自分の腕を巻きつける
あたしを見下ろす彼は 戸惑いながらも やれやれという表情で笑ってくれる
「さっき思政殿(サジョンジョン/皇帝の執務室)の父上に連絡が入ったんだが 姉上が空港に到着したらしい 間もなく帰宮するだろう」
「わぁ~!すごくお久しぶりよね 早く会いたいわ!」
パビリオンから暑いくらいに暖かなシンくんの部屋へ入りながら 上着を脱ぐお手伝いをする
「少し前に絵葉書が届いていたのに…色々有って忘れていたよ」
机の上の葉書を手に取り 見せてくれる その顔が嬉しそう
「ふふ…シンくんってさ…お姉さまのこと凄く好きだよね」
「な…」
こういう時の表情の変化が 相変わらず僅かなのに なんとなく読み取れるようになってきた
「隠さなくてイイってば 前に思ったんだ~ お姉さんっ子だなって」
うふふ 絶句してる
「前に東宮殿(ココ)で 食事しながらお姉さまとお話した時 小さい頃 よく一緒に遊んだのに覚えてないのね…って残念そうにしてたから…申し訳なくて… シンくんは覚えてないの?」
「さあ…
東宮殿(コッチ)に来てからは一人で暮らす寂しさから あの明るさで救ってくれる人だったからな… それ以前は…
姉さんは三つ上だから 俺とお前が遊んでいる間も学校だったしな…」
「ふうん…」
「お前のせいで雨に濡れた事は良く覚えているが…」

 

 

「げ…何ソレ!?」
「木登りが趣味のお前に付き合わされて 登ったんだ 俺はそう言う事が好きじゃ無かったのに… しかも登った途端に夕立に襲われて 滑るから降りられず…」
「や…やだぁ~ そんなことが有ったのね…( ̄▽ ̄;」
「その話にはまだ続きが有るんだぞ 俺は熱を出し お前は看病のつもりで本を読み聞かせながら俺の上に突っ伏して眠ったんだ」
「あ゛…ソレ 前に言ってた…」

 

 

「ああ…ソレだ で 俺の風邪が移ったお前は 俺より酷くなって丸一日眠ってた」
「くすくす 可笑しいっ! 他には?」
「とにかくお前は 俺がやりたくない遊びばかり思いつくヤツだった 走り回ったり 泥んこになったり 迷惑ばかり蒙った」
「ぶはは あたしって そのころからシンくんの事困らせる天才だったのね」
「ああ…その通りだな」
チェ尚宮お姉さんが入れてくれたお茶を飲みながら
飼っていた犬の話とか… 昔の話をいっぱい聞けて 嬉しかったけど

 

 

あたしの人生初の記憶 木から飛び降りたあたしを抱きとめてほっぺにキスしてくれた事は…
出て来なかった…覚えてないのかな…?

 

 


「ああ…お前 ユル兄さんに結婚してくれとせがんだことも有るぞ」
「ええ!?嘘だよぉ~そんな…」
「本当だ その時俺は お前なんかが皇太子妃に成れるわけないって言ったのにな…」

 

 

「あ…成ってるね あはは」
「…相手は違うけどな」
うふふ なんでそんな事言ったんだろ? だけど良かった 相手がシンくんで
「…ユル兄さんじゃなくて 残念だったな…」
なっ!
「何言ってんのよ!…あたしは…シンくんで…良かったって思ってるのに…」
「本当か?」
ヤダヤダ覗き込まないでよぉ…////
「本当かと聞いてるだろう?」
隣に座ったシンくんは あたしの顔を覗き込んだままもう一度聞く もぉ~////
「うん…」
きゃっ!あたしの唇の端っこに…シンくんがさっとキスをした
急に真面目な顔をして あたしのことジッと見つめる

「じゃあなんで…」
そういいながら シンくんが… 少しずつ コチラに…た…倒れ込んでくる!

 

 

 

 

 

オヌルド感謝
お行儀の悪い殿下に萌える作者でありました…
夏真っ盛りなのに お話が2006年12月真冬でみあなむにだ
っていうか! え?え?きゃぁ~! なチェギョンです////
次のお話は8/4→197..身も心も~切実な思いを唇から注ぎ込むように 何度も

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