195.合房Ⅱ~あ…嫌… お願い 嫌わないで… うっとおしいよね…こんなの… | かおり流 もうひとつの「宮」

かおり流 もうひとつの「宮」

「チュ・ジフン&イ・ジュンギな毎日」のまほうの手・かおりが
こっそり書き溜めた「宮」の二次小説を今更公開(四十の誕生日2013/08/18にOPENしました)
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シンくんは優しかった
義愛合(ウェイハブ)のひと組の布団の上で 「いいだろう?」って言う彼の声は どこまでもあたしの好きなイ・シン皇太子殿下の声で…
断る理由なんか無かった 
だから
コクンと頷いた
だってあたしは ずっと前から彼の事が大好きなんだもの
イキナリキスされたあの日から…
ううん もしかしたら美術館で再開したあの日から…
とっくに 他の子が皇太子殿下に憧れるのとは違う目で見てた そう思うわ…

幼馴染だったとか 許嫁だなんて言われて 驚いたけど すっごく嬉しかったの
婚約して もう庶民じゃなくなるから気安く友達に触れさせるなと言われたり そのくせ いつか離婚してやるなんて言うからムッとして 随分小さな抵抗を繰り返してきたけど
全部
本当は いつか追い出すと言われたのに どんどん惹かれていく事に 必死で抗っていただけ…
抗っても抗っても どんどん好きになった
皇太子の笑顔の仮面の裏にある 淋しそうな顔 疲れた顔 今じゃ彼の怒った顔まで大好き
シン・チェギョン 良かったね 心から愛する旦那様と とうとう憧れの初夜じゃない…
なのに
なんであたし泣いてるんだろう…
いっぱい いっぱい 優しいキスされて すごく心地よくて…幸せなはずなのに
なんで涙が止まらないんだろう…
彼が優しく拭ってくれも また涙…
「どうした?」
わからない…わからないの…何の心当たりもないんだもの 首をふるしかない
「どうしたんだよ…」
全然わからないの…
誰かこの涙の留め方を教えて? チェ尚宮お姉さん…そこに居るんでしょう?

さっきお姉さんがこの部屋に入る前 そっと言ってくれた
「殿下に お心をお預け下さい …大丈夫です
もし どうしても怖ければ そのことも全て 殿下に明かしてしまわれると良いのです
殿下は ありのままの妃宮さまを受け止めて下さいます」
それから
自分達は廊下に待機している 何も恐れることはないと言った

怖くなんかない 大好きなシンくんに抱かれるんだもの…
大丈夫よ

皇太子(王世子)の床入りの儀式は儀軌として後世に残す為 儀式には飲食の内容は勿論 閨での様まで 詳しく記録される
尚宮や女官のお姉さん達が廊下で記録を取るってことは 外奎章閣図書(ウェギュジャンガクトソ)の返還を求めにフランスへ行くはずだった頃の妃教育で学んだから 知っていた
その時は「うぎゃぁ~初夜を記録されるなんて ありえない ヤだ~!」って思ったけど…
今はそういう事 少しは理解できるし
泣いている理由はそれじゃ無い…
じゃあどうして?どうして涙が止まらないんだろう?

シンくんは泣きやまないあたしを持てあまして ふいと背を向けてしまった
あ…嫌… お願い 嫌わないで…
うっとおしいよね…こんなの…
シンくんだって…好き好んであたしを抱こうという訳じゃ無く 皇太子として与えられた大切な役目を果たすべく そうしようとしてるのに…
お相手の皇太子妃がこれじゃ… 困るよね…

多分 あの夜のことが無ければ きっと少し強引にでも あたしを抱こうとしたかもしれない…
だけど あの夜 あたしの言葉にカチンときたからって あたしをああいう形で服従させようとしたことを 彼は悔いてる…皇太子の自分に有るまじき失態だと…

驚かせ 怖がらせて悪かった
ハッキリとそう言われたわけじゃないけど ちゃんと伝わった
あれ以来 過ぎるくらいに優しくしてきたのに… 今回は正式な上からの命…
彼は皇太子 皇太子は皇帝の臣下なんだもの… 命には背けないわけだし…
きっと複雑な気持ちでいるわ…
ここまで来て 抵抗されても…困るよね…
ごめん ごめんねシンくん…ちょっとまって!今止めるから ね!
なのに…
焦れば焦るほどポロポロと零れる涙を どうすることもできないでいたら
彼が振り返った
ああ…まだ泣いてるって…呆れてるぅぅぅ…
どうしよう… あたしの涙腺壊れちゃったの?!

きゃぁ!
シンくんが 俯いていつまでも泣き続けるあたしの肩に触れた…
ああ…もう観念しなきゃ…
「チェギョン…もういいから… 何もしない ただ一緒に寝よう ほら すっかり冷えてしまった」
うそ…だって お姉さん達 廊下で記述しようと待機してるのに…
しなかったら何を書くの?しなかったって書くの?いいの?そんなのアリなの?!

シンくんはそっと私の肩を温めるように抱いた
ダメよそんなの…皇帝の命に背くなんて…ダメなんでしょう?!
恐るおそる顔を上げたら
シンくんは本当に 本当に優しく私の肩を抱き寄せて
「大丈夫だ」
て言いながら トントンと背中を叩いてくれる
嘘…いいわけ無い…良くないよ…ダメだよ…ちゃんとしなきゃ…
そう思っていても シンくんの優しさにどんどん甘えて ほぐれて行く
「ほら もう安心して 眠って良いぞ」
どうしよう…あたし…シンくんが好き…
コクリと頷いたタイミングで胸がきゅうっと苦しくなる…
上掛けを掛けてくれたシンくんの胸元に擦り寄ると あの香りがした…
あたしの好きなシンくんの躰から香る…あの香り…
「嗅ぐなよ」
うげっ!バ…バレてる…
「だって…」
「いいから寝ろ」
あぁ~ん 好きその声…その口調… もう心臓ヤバイ…ヤバ過ぎるよ…
「はぁい…」

「おやすみチェギョン」
ちょっとだけ 勿体ない気がした… なんで泣いちゃったんだろう…
シンくんが好きなんだもの 抱いて貰えばよかったのに…
きっとヒスン達に言ったりしたら馬鹿って言われちゃう…絶対内緒だわ!

「おやすみなさい 殿下」
でも…ガンヒョンなら解ってくれるのかな…
いや…違うか…ギョンくんはガンヒョンと色々したくてたまんなかったんだもの
シンくんとは全然違うか…
「なあ…」
うわぁっ!びっくりしたぁ!
「何もしないかわりに ひとつだけ聞いてもいいか?」
「え?何を?」
「お前 幼い頃俺を何と呼んでいたか覚えているか?」
ひえぇ~~~覚えてるも何もアナタ…あたしは毎日胸の中で貴方をそう呼んでますけど…
それを此処で言えとおっしゃいますかアナタ?!
「覚えていないのか?」
「…し…シンくん…」
「うん…そうだ…そう呼べ」
「ええっ?!」
い…いいの!?
いや…もう既に胸の中では 再会したあの日からずっとシンくん呼ばわりしてるんですケドね…
「なんだ?嫌か?」
「だ…って…」
拙くない?皇太子殿下をシンくんって…といいながら胸の中ではいつもシンくん呼ばわ…
「時々夢を見るんだ 昔のお前は もっと陽気で 明け透けで 図々しくて 自分勝手で…」
「いいとこないじゃん…」酷っ!て言う前にシンくんが言った
「なのに愛らしかった」
わあっ////
「今のお前は お前らしくない 俺が無理を強いているようで 負担に感じる」
「そんなこと!」 ナイ と また言わせて貰えなかった
「いいから そう呼べ」
「う…うん…」

シンくんが シンくんと呼べと言った
嬉しくて舞い上がりそうで 心臓がバクバク鳴ってる
なのに シンくんはまた ダメな皇太子妃の髪にキスをくれる
ああ…なんて幸せなんだろう…こんなんじゃダメなのに…


「チェギョン?どうした?」
シンくんが心配して揺り起こしてくれた理由は あたしがまた泣いていたから
「悲しい夢を見たの…
あたし…夢の中でもシンくんが好きなの…
なのに…それを伝える声を持ってないの…」
ちゃんと伝えなきゃ…
好きなの シンくんがあたしのこと ただの皇太子妃だとしか思っていなくても あたしは こんなにもシンくんが好きなの
「大丈夫だ…もう解ったから…俺はちゃんと解ってるから…」
解ってるって言ってくれた 良かった…

人魚のチェギョンは…無事に想いを伝えられるだろうか…シン王子に…
あたしはシンくんがポンポンとあやしてくれる心地よいリズムに身を任せ 再び 眠りに落ちた



キラキラ今日も ありがとうございます韓国カムサハムニダ
お解り頂けたでしょうか…
シンくんは 解ったようで ある重大なことを解っていません…

最後にチェギョンの見た夢は昨日までに公開済です→SideStory『人魚姫』目次


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