194.合房~流石の俺も この好機を逃す理由も無かったし…「いいだろう?」 と尋ねた | かおり流 もうひとつの「宮」

かおり流 もうひとつの「宮」

「チュ・ジフン&イ・ジュンギな毎日」のまほうの手・かおりが
こっそり書き溜めた「宮」の二次小説を今更公開(四十の誕生日2013/08/18にOPENしました)
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ユルのブログが更新されるとメールが届くように設定しておいたんだが…
その更新には面食らった
それは…

いったいどういう手を使ったんだか ユルの母親であるあの恵政殿皇太后の許しを貰う事に成功したキム・ミルは あれよあれよという間に あっさりと ユルの婚約者候補に昇格し 俺とチェギョンと四人でボランティアに行くことになった
ユルはああ言ったが…やっぱり何か裏が有る様に思えてならない…

その公務帰りの車中からUPしたらしい記事への反響は もの凄かった
短い文章と 一枚の写真に 24時間で8万を超えるアクセスと 1千を超える“いいね”が付き 8百を超えるコメントが入った

タイトルは『ボランティアに行って逆に癒されました』
僕らは今日 はじめて 四人一緒に出掛けて 教会に併設された孤児養護施設で暮らす子供たちのお世話をしました
子供たちの体を洗ってあげたり 本を読んであげて 添い寝もしました
こんなに楽しい時間は 久しぶりでした

「ユル殿下 素敵な写真をありがとうございます!」
「お疲れのようですね なのにとっても幸せそうに見えます」
「素敵~~~!」
「可愛いカップル!」
「お二人って こんなに仲良しなんですね」
「ってゆうかラブラブじゃないですか~~~!誰が離婚だなんて言い出したの!?」
「こんなシン殿下 初めて見ました!妃殿下のこと 愛していらっしゃるんですね!」
「眠っているのに笑っていますね❤」
「幸せそう」
「びっくり!一瞬お二人の赤ちゃんかと思いました!」
「いつの間に!?と思いましたが そんなわけないですよね(笑)」
「でも早くお二人の赤ちゃんが見たくなりました」
「うん!私も!」

ネット上で大反響を得た写真というのは…
グズる赤ん坊に添い寝している間に眠ってしまった俺たちを ユルに撮られたモノで…
俺の腕を枕に 額をくっつけるようにして眠りこける俺とチェギョンの間に
チェギョンの指を握りしめて眠る赤ん坊 その胸を撫でる俺
赤ん坊に握られていない方のチェギョンの手が…赤ん坊の胸を撫でる俺のシャツの袖口を摘まむように握っていて…
それがすごく 温かな 家族のように見えると 大反響だった


「すごい反響だそうではないか よくやったユル」
「僕は何も… 二人がとても自然に寄り添っていたから 残したいと思って撮っただけです」
うんうんと頷くおばあ様が 妙な事を言い出した
「この際二人の 合房(ハッパン)を 急ぎ執り行おうではないか」

か… 勘弁してくれ…

「太皇太后陛下!僕らはまだ高校生です」
「それがなんだというのだ… 高校生活はもう三か月も残っておらぬ… 良いではないか
みなが心待ちにしておる」
「それをいうなら母上がでしょう ははは」
父上までもが 呑気に笑っている
「そもそも 疾うに結婚したのに 合房が済んでおらず二人が親密でないがために あらぬ噂が立ったのだ
皇后も19に成る前にヘミョンを産んだではないか 」
ま 待ってくれよ チェギョンを見ろよ 俺の隣で彼女は固まっているというのに…

確かに
チェギョンは俺を嫌っていると思い込んでいたのに「好きになった」と言ってくれた
それからの俺達は 傍目から見ても少し親しくなっただろう
だがそれは 俺がこれまではなんとか押さえていた触れたい衝動を 抑えられなくて つい接近しすぎるせいであって…チェギョンの“好き”はそんなレベルのものでは無い…のに…

抵抗も虚しく 早速 무당(ムダン/巫女・占い師)をけしかける勢いのおばあ様に 合房の日を決められてしまい… 正式に皇帝の命を受ける運びとなった


チェギョンは朝から磨き上げられ 美しく着飾られ 
俺は 袞龍袍(コンヨンポ)に身を包み
義愛合(ウェイハブ)には 同牢の礼の夜と同じく 婚礼祭事の為の宮廷料理が並び
固目の盃を交わし 厳粛な空気の中で言葉も交わさず黙々と 口に運ばれる食べ物を飲み込んだ
ただ
あの夜は無かった一組だけ布団が敷かれた部屋には 香が焚き染められ
煎じ薬まで飲まされていた俺には 行燈が床に写し出す格子模様までもが 妖艶に映る…
何より 国民が俺達を祝福してくれているんだ
流石の俺も この好機を逃す理由も無かったし
行燈だけを残し 灯りを落として 教えられた通りにチェギョンのカチェをはずしてやり…
「いいだろう?」
と 尋ねた
震えながらコクンと頷くチェギョンに 口付けた
愛おしくて 喜びに胸が沸いた
手織りに手刺繍の芸術的に美しい衣を纏った妻から 一枚 また一枚と剥しながら
俺は 昂ぶる心を落ち着けて行く

だが…
結局その夜 俺が妻を抱くことは叶わなかった
なぜって…
泣くんだ… アイツが
白い下着姿にまで衣を脱がせる合間に 何度も口付けた
目尻に 耳に 首筋に
なのに
ポロポロポロポロ零れるチェギョンの涙は 指や唇で何度拭ってやっても 止まることは無く…

「どうした?」
可能な限り優しい声色で訪ねても…首を振るだけで 何も答えない
「どうしたんだよ?」
やっぱり首を振るだけ…
俺はどうしていいか解らず 彼女に背を向けた
長い沈黙に耐えかねて 振り返ると まだ 泣いていた 声を殺して…
そんな彼女を目にすれば 俺だって胸が 苦しくなる…
「チェギョン…もういいから… 何もしない ただ一緒に寝よう ほら すっかり冷えてしまった」
外は朝から降り積もった白い雪に覆われ 冷え込む廊下に鎮座して 耳をそばだてているチェ尚宮率いる女官達には申し訳ないが…
今夜は多分 無理そうだ…

ギョンと白鳥は見るからに相思相愛だったのに ギョンが待ちきれなくて振られた事を思い出す
男と女は違うんだ
好きって言葉を鵜呑みにして 俺の劣情を押し付けることなんか出来ないんだ…

チェギョンの冷たくなった肩を包み込むと ビクリと肩を揺らす ふぅ…
「大丈夫だ」
抱き寄せてトントンと背中を叩き続けると 肩から力が抜けてゆくのがわかる
「ほら もう安心して 眠って良いぞ」
チェギョンがコクンと頷き シーツの上に二人で横になる
すっぽりと腕の中に抱いて上掛けを掛けてやると 俺の胸元で クンクンと匂いを嗅ぐような気配
ふっ お前は子犬かよ?
「嗅ぐなよ」
「だって…」
「いいから寝ろ」
「はぁい…」
「おやすみチェギョン」
「おやすみなさい 殿下」
殿下…か…
「なあ…何もしないかわりに ひとつだけ聞いてもいいか?」
「え?何を?」
「お前 幼い頃俺を何と呼んでいたか覚えているか?」
「………」
「覚えていないのか?」
「…し…シンくん…」
やっぱり…俺と同じく 時々幼い頃の夢を見ていたんだな…
「うん…そうだ…そう呼べ」
「ええっ?!」
照れ臭くて顔を見れないのに…チェギョンは多分俺を見上げている
「なんだ?嫌か?」
「だ…って…」
「時々夢を見るんだ 昔のお前は もっと陽気で 明け透けで 図々しくて 自分勝手で…」
「いいとこないじゃん…」
「なのに愛らしかった
今のお前は お前らしくない 俺が無理を強いているようで 負担に感じる」
「そんなこと!」
「いいから そう呼べ」
「う…うん…」

俺は腕の中のチェギョンの髪に口付けて目を閉じた
今夜も 眠れそうにないな… そう思っていたが
やがて聞こえてくる 静かな寝息に癒されて 訪れた睡魔に 俺も意識を手放す


「も~待ってよ~」
小さな可愛いチェギョンが 俺を追いかけてきて 捕まえた
「シンくん だ~い好きっ」
庭を駆けまわり 木陰に寝転んで昼寝した
馬鹿だな 俺の方が何倍もお前を好きなのに 解ってナイんだな
眠るチェギョンの唇に 唇を重ねた
ふふ…俺は臆病だったんだな…アイツが眠ってるときにしか 唇を奪えなかったんだ
成長したじゃないか ㅋㅋㅋ 

俺は楽しい夢を見ていたのに…
チェギョンはどんな夢を見たんだか
しくしくと泣いていて…
「チェギョン?どうした?」
「悲しい夢を見たの…
あたし…夢の中でもシンくんが好きなの…
なのに…それを伝える声を持ってないの…」
胸が締め付けられた…
なんて…清い心で… 俺を想ってくれているんだろう…
「大丈夫だ…もう解ったから…俺はちゃんと解ってるから…」
守りたい…
せっかく俺を想ってくれるチェギョンの気持ちを壊したくない
俺は黙ってその背中をあやすようにポンポンと撫で続けた
チェギョンが 俺の腕に安心して 眠るまで


キラキラ今日も ありがとうございます韓国カムサハムニダ
ごめんなさい…
チェギョン…ダメでした…shokopon
どうしても 止まらない涙の理由は なんだったのでしょう…
みなさん 心当たりが ありますか?
シンくんは ある重大なことに気付いていません…

さて… ここを一区切りとして 再び 本編を少しお休みさせてください
涙の理由とか チェギョンサイドが気になるとは思いますが…
ええっっ!!と驚かないで ご安心ください
短編のストーリーを4話連続でUPしたいので そうすることにしました
明日から4日間は 本編とは別の世界/パラレルワールドのシンチェです
目次はコチラ→SideStory『人魚姫』
実は 合房の夜チェギョンが見た泣いちゃう程悲しい夢は
この短編の中の一部分なのです お楽しみに…
人魚姫 1~彼の無事を確認して 彼が幸せなのが解ったら すぐに帰ってくるから

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