15.人生最初の記憶~これに懲りて 少しはおとなしくするんだな | かおり流 もうひとつの「宮」

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「チュ・ジフン&イ・ジュンギな毎日」のまほうの手・かおりが
こっそり書き溜めた「宮」の二次小説を今更公開(四十の誕生日2013/08/18にOPENしました)
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王冠1 かならず はじめまして  を お読みください 指輪
前のお話→ 14.家族会議?~すでに決まっておったのじゃ…
今日のお話は 12.進路相談~韓国芸術高校志望 のチェギョン目線に続くものとなっています



ちょっとだけのつもりが…
ガンヒョンと別れてもずっと ミュシャの『スラヴィア』という絵の前に あたしは何時間も立ってた

沸々とこみ上げる創作意欲 ママを納得させる絵が描ける気がしてきた

「あじゃっ!ふぁいてぃんっ!」
くるっと振り返ってミュシャの絵に背を向けた途端…

あたしはふらっと倒れそうになるほど
ドシンと 激しく誰かにぶつかってしまった

「きゃ! あ ご ごめんなさい…」

「カムチャギィ… ウェ?!(いきなり… なんなんだよ?!)」

相手の呟きが ウェ!?で 怒鳴り声に変わった どう考えたってあたしが悪かった
いきなり270度くらい方向転換して歩き始めたんだもん

相手の青年…いや少年?は 驚いて立ち尽くしてた
靴は脱げちゃうし 肩掛けのバックの中身はバラバラに散らばってる

ぎゃ~っ どうしよ~っ!
焦るあたしは まず靴を履きにかかった

唖然としていた男の子の 連れの子が駆け寄ってきて
拾ってあげなきゃ と 声を掛けながら手伝ってくれる…
もう 顔から火が出るかと思うほど恥ずかしくて ペコリと頭を下げて 急いでその場を離れたあたしを
正面玄関を出たところでさっきの子が呼び止める

「おい お前! 待てよ! 熊を忘れている! おい!」

あっちゃ~ 大変!家の鍵はともかく
アルフは この世に代わりのないただ一つのテディーベアなんだから!!

「ごめんなさい わざわざありがとう…ございます」

あ…やばい…彼
あたしのせいでお友達を置いて展示会場を出てきてしまってる…
私は恐縮しまくりで 背の高い彼にペコリと頭を下げる
片手で顔を覆ってる わるかったなぁ~ …

「お友達がご一緒だったのに… 大丈夫? …ですか?」

見上げながら そう声を掛けると やっと顔が見れた
わ~ 綺麗な顔! こんな綺麗な男の子初めて見たかも~
ってかあたし タメ口きいてない?よね?この人…高校生だよね?

「あ?ああ… 大丈夫 ロビーで待つとするよ…」
低い声 落ち着いた話し方… やっぱり高校生だよね~?

なんとなくロビーまで付いて来てみたものの… 会話も無く気まずい…

彼は だまって一人掛けのソファに座り長い脚を組む
じっと見つめちゃイケナイよねっ えっと~

「本当にありがとう 大切なものだったから 失くさなくて良かった …です」
だってアルフはちっちゃいころおじいちゃんから貰ったあたしの親友なんだもん

「お前 いくつだ ? 俺は中三だけど 同じくらい?」
唐突に彼が言った うっそ!年上だと思ってたのに 同い年だったなんて!

「あ そうだったんだ あたしも中三 シン・チェギョン 名前はなんていうの?」

あれ?笑った?なんかおかしかったかな?もしかして馴れ馴れしかった?

「イ・シン… 君は ミュシャ展をひとりで観に来たのか? そんなにミュシャが好きなのか?」 

「友達と来たんだけど 『スラヴィア』を あたしがあんまり熱に観てたから 先に帰っちゃった
あ 怒ってじゃなくよ あたし達すっごく仲良しなの 二人で韓国芸術高校を受験するんだ~
ミュシャだけじゃなくて 美術全般が 好きなの!」

あたしはさっきシンくんにぶつかる直前まで観ていたミュシャの『スラヴィア』の前で自分に誓った事を 彼にも堂々と宣言しちゃった
アレ?聞かれても居ない事を打ち明けるあたしに呆れたのかな?目が点になってる?

と ここで さっきのお友達がロビーへ続く階段を降りてくるのが目に入った
「あ お友達 来たみたい じゃあ あたし もういくね バイバイ」

なんだか恥ずかしくなって 急いで立ち去った
もう 会うことも無いよね アルフを拾ってくれたシンくん か…


そういえば小さい頃 大きなお屋敷の広いお庭で遊んでいたあの子も
シンくんだったよね…

あたしの記憶の片隅にかすかに残っている幼い日の記憶
あたしの人生最初の記憶みたいなもの
それはもう どこだったのか 誰だったのか…

ただ記憶に残っているのは 木登りが得意だったあたしが
あまりに高く上りすぎて足がすくんで降りられなくなったことが有って

下で見守る一緒に遊んでた男の子が
「絶対受け止めるから 大丈夫だ 降りて来いよ」
そういって勇気をくれたこと

なんとか降りて行ったあたしを しりもちつきながらも 抱きとめてくれて
「これに懲りて 少しはおとなしくするんだな」
なんて言ったかと思ったら 頬にキスされてびっくりした事
「シンくんありがとう 大~好きっ」ってお返しのキスをした事
たったそれだけ…


その日からあたしは絵を描いた 黙々と絵を描いた
アルフを拾ってくれたシンくんのおかげで思い出した 小さなあたしの懐かしい記憶の絵

一週間後 出来上がった絵をママに見せ もう一度相談した

「これはね あたしの人生最初の記憶かも 小さい頃の記憶って曖昧でしょ?
でもこの時の事はよく覚えてるんだ~ 小さい頃よく一緒に遊んでた男の子
シンくんっていったよね?田舎に住んでた頃かな?大きなお屋敷だったよね…」

ママは何も答えずに ただ
あたしが描いた 大きな木と その下であたしを抱きとめてくれる男の子の絵を 長い事じっと見つめてた
そして 深く長い息をついて
「わかったわ… ママから あの方のご家族に相談してみる…」

あの方 あの方っていったい誰なんだろう…
あたしを王立学校に入れてどうしようって言うんだろう…
ママの雰囲気があたしの質問を受け付けない様子だったから
仕方なく返事を待つことにした


翌朝 パパとママはふたりして一番上等の服を着て 私の描いた 大きな木とちいさなあたしと男の子の絵を ポジャギ(風呂敷)に包んで どこかに出かけて行った
それがあの方のお宅なんだろうな…ってあたしにもわかった
お金持ちのおじいちゃんの知り合いだもん きっと立派なお屋敷なんだわ

不安そうな表情のパパがママと車に乗り込むのがすごく気になったけど
あたしはもう それ以上詮索するのはやめた
気にしても 教えては貰いないみたいだったから

小6の弟チェジュンとふたり お昼はホットックを焼いて食べた

食べ終わった頃 パパとママが帰ってきたから 何も聞かず まずリビングにお茶を運んだ
「チェギョン よかったわね OKを貰えたわ …ただ ひとつ条件があるの」
「やっ…!?…え!?」
あたしは喜んで飛び上がりそうになったところで 固まった
「な なに?」
息を吞むあたしに向かって ママはゆっくり笑った


※今日もお読み頂き ありがとうございます。 
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 ↑ 『スラヴィア』 アルフォンス・ミュシャ

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