106.済州島皇室リゾートⅠ~愛しいと思う気持ちと 憐れむ気持ちに揺れながら | かおり流 もうひとつの「宮」

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「チュ・ジフン&イ・ジュンギな毎日」のまほうの手・かおりが
こっそり書き溜めた「宮」の二次小説を今更公開(四十の誕生日2013/08/18にOPENしました)
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前のお話→104.ふかふかのベッド~まだベッドの上だなんて驚きだ
このお話は101.パーティーⅠ~ダロ?アイツ面白いんだ  に次ぐシン目線のお話です


「きゃ~ やったわね~!?」
「よ~し!今度はこっちの番よ~」
ったく…よくもまあそんなにはしゃげるもんだ…

「シンはみんなと遊ばないの?」
ユルが髪をタオルドライしながら俺の側へ来て座った
「いいよ…そんな気分じゃない…」
「何?なんで機嫌悪いの?」
「別に悪くないダロ?いつも通りだ」
「ううん悪く見えるよ?」
「だとすればアイツだ…誰がアイツを呼んだんだ…?」
「もしかしてミノの事?」
「他に誰が居る?」
「ホントに嫌いなんだ…」
「違う 俺が嫌ってるんじゃなくてヤツが俺を嫌ってるんだ それが見え見えなのにヘラヘラ笑ってるのが気に入らない…
見ろよ アイツ シン・チェギョンが俺の妃になるんだと解ってないのか?」
プールの中で イン・ギョン・ファンとファンの彼女 チェギョンと白鳥 皇室マニアの二人に交じり ヤツも一緒に戯れている…  なんなんだ…なんでアイツが居る?
イ・ミンホ…美術科で美術部で…いちいちチェギョンの回りをウロウロするアイツは…見るからに俺を嫌っている
どうしてそう思うのかと聞かれると上手く答えられないが…チェギョンに近付き過ぎだし イチイチ俺をチラ見したり 挑発的な言動に苛つく…
さっきまでそこにユルが居たんだ これが一般人の居ない皇室リゾートじゃなければ 端から見れば男五人女五人のカップルに見えただろう…

「ミノ~!こっちこっち!」
ビニールボールで戯れる皆を遠目に プールサイドで本を読んで居たが… はしゃぎ声に限界を感じて立ち上がる
「どこ行くのシン!?」
「スパだ…ここは煩すぎる」
「もう…遊びに来たんだから一緒に遊びなよ~」
「無理だ 解るだろう?」


半身浴の後更にサウナで汗を流し 水風呂を浴びて着替えを済ませ 部屋に戻ろうかという所でスパへ向かう皆とすれ違おうとしたとき イ・ミンホの右手がチェギョンの左腕を掴んでいるのが視界に入った 女神は今は無くともあの夜確かにそこに在った…
俺は頭の中で何かが千切れる音を聞いた
次の瞬間 無言でイ・ミンホの腕を捻り上げ チェギョンの左腕を解放させる
皆が一堂に驚いた様子で振り返る しくじったか…?
まあいい…この際コイツとケリを付けよう

「俺はコイツとハナシがある 皆は先に行ってくれないか?」
「だ!ダメだよ!殿下なんだか喧嘩腰だよ?どうしちゃったの?!」
鮮やかな水色のセパレート水着 白いパーカーを羽織ればいいのに右腕に掛けていたチェギョンが可愛い顔して俺に食って掛かる…ふん…
「俺は冷静だ いいから兎に角お前も皆と先に行け」
「行こうかチェギョン 大丈夫だよ ね?シン ね?ミノ?」
ユルは俺を良く知っている こんな些細な事で騒ぎを起こす俺じゃない…
皆はユルに従い 先にスパへ向かう…
それでも心配そうに振り返るチェギョンに 俺は 心配は無用だと 数回頷いて見せる

「シン・チェギョンはもうすぐ俺の妃になるんだ 気安く話し掛けたりしないでくれないか?
ボディタッチなんてもっての他だ」
気分が悪い…そう口に出さずに頭の中で続ける
「あんた チェギョンの事どう思ってるんだ?」
俺はギリリとヤツを睨み付けて
「お前には関係の無いことだ」
そう言い捨ててヤツに背を向けた
「俺はチェギョンが好きだ!
あんたが チェギョンを なんかワケありで 形だけ嫁にしようとしてるんだったら 俺は最後まで諦めないから!」
ふん…やっぱりか…
「そんなことは本人に言え
俺とアイツは結婚すると合意済みだ アイツがお前になびくとは思えないがな」
そう言い捨ててもう一度背を向けた

違う… 本当はアイツが何故合意したのか 真意は解らないままだ
俺が脅して無理やり「はい」と言わせたのか あるいはファンを他の女に奪われて自棄になったのか どっちにしてもだ…
俺はアイツがいつ「やっぱりやめる」と言い出すか不安で 繋ぎ止める術を探している…

今まで一度も何かを欲しいと望んだ事が無い俺が 一旦は 欲しいのに要らないと突っぱねておきながら やっぱりどうしようもなく欲しくて…
初めて俺の物にしたいと欲(ヨク)したのが アイツだ…
簡単に手放す気などない… 
それでも…アイツが俺に 頼むから手を放してくれと懇願するなら…
考えるかも…しれない…
いや…無理か… 手放せる気がしないな…

部屋に入り ベッドに倒れ込み 何も考えたくなくて目を閉じた
眠れやしない…アルフレッドが居れば…
いや…今はアルフレッドさえも俺を悩ます存在だったな…

ドアがノックされた 
トントントン
「殿下?」
アイツか?…なんだよ…今はそっとしておいて欲しいのに…
「なんだ?」
ベットから這い出し ドアを開けると 何事も無かったような笑顔を向ける…
「入ってい~い?」
小さく溜め息をついて「ああ」と了承するが…解ってる…何事も無かった振りだって事くらい
俺の腕の下をスルリと入って来たチェギョンは シャワーを浴びただけで急いで来たのか髪も濡れたままだった 
シャンプーの香りに 俺はまた不埒な想いが湧きあがりそうな気持ちを制御する

「どうしちゃったの?…ですか?」
ふっ またそんなぎこちない喋り方で俺を笑わせる…
「どうもしない…」
「だってなんか怒ってた デショ?」
「怒ってない…」
「むうぅ…ホント?」
そんな可愛い上目遣いで睨むなよ…あーやばい…お前はホント解ってない…
「ああ…ホントだ…」
俺はチェギョンを直視できずに 窓の外に視線を移す
「だったらいいけど…あんな風にみんなの前でミノの腕を捻り上げたら みんなびっくりするじゃん…」
「お前の手を握っていたからやめさせただけだ」
「…そんなの!」
振り返ればふくれっ面で反論しようとするが そこは譲らない
「今までは良くても これからはダメだ…
お前は俺の妃になるんだ 気安く触らせるな 解ってないのか?
靴擦れだって大騒ぎだっただろう?」
「あ…うん…」
「お前の躰はもう 俺や皇帝皇后同様 尊いもので 容易く他人が触れられる躰じゃないんだ それをいい加減解って行動しろ」
「…」
途端にしゅんとするアイツ…そんな顔するなよ…
「それから…髪も乾かせ…濡れたままうろついて風邪をひかれては困る」
「…」
「なんとか言え」
「…はい…」
やっと返事したチェギョンが俯いたまま立ち去ろうとするその左腕を掴み 思わず引き留める
「どこへ行く」
「部屋に…帰ります…」
涙声じゃないか…部屋に帰って泣くのか?
俺は無言でチェギョンの手を引き 化粧台の前に連れて行き 座らせる
ドライヤーのスイッチを入れ 黙って髪に温風を当てる
言葉も交わさず ただ俺はチェギョンの髪にドライヤーをかけ
チェギョンはされるがままに…目を閉じている
ブォ~~~~
鏡に写るチェギョンをジッと見ていると閉じた瞼の端からツーっと涙が流れた
「泣くな…」
「…はい…」
「お前はもう 今までのお前じゃいられないんだ」
「…はい…」
俺は無言のまま チェギョンの涙を拭うように目尻にキスをした
少しだけビクッとしたアイツは そのままじっとしていた
もう…叩いたり 頭突きしたりしないのか?
お前もやっと 俺が皇太子だと解ったのか?
チェギョンの髪を指で梳きながら シャンプーの甘い香りに酔いしれそうになる…
ダメだ…もっと冷静にならなきゃ…
俺は 愛しいと思う気持ちと憐れむ気持ちに揺れながら チェギョンを たまらなく抱きしめたい衝動を なんとか抑制する
今そんなことをしたら 益々混乱させる…
惑わせてはいけない 今 チェギョンは哀しんでいる… それを解らない俺じゃない…
今は 自分でちゃんと気持ちを整理させなきゃならない時だ… 



今日もお読み頂き ありがとうございます
すみません…
お互い好きなのに かな~り切ないことになってます

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