101.パーティーⅠ~ダロ?アイツ面白いんだ | かおり流 もうひとつの「宮」

かおり流 もうひとつの「宮」

「チュ・ジフン&イ・ジュンギな毎日」のまほうの手・かおりが
こっそり書き溜めた「宮」の二次小説を今更公開(四十の誕生日2013/08/18にOPENしました)
「宮」~Love in palace~のYouTube自動再生を止めたい方は
画面右側サイドバーに貼っています 停止して下さい

l初めての方は是非 はじめまして から順に読み進めて下さい
前のお話→100.疑惑と別れⅡ~そんな顔して見ないでくれ頼む…
このお話は 前話に引き続き シン目線です*星*


パーティーが始まり 最初に俺に近付いて来たのは少し焦った様子のチェ・シネだった

「私…殿下と結婚する資格なんて無いんです…その…私…純潔ではありません…
殿下のご友人 リュ・ファンくんと交際しています 彼とすでに…男女の仲なのです…」
それでイキナリこの発言
「はぁっ?!」
あまりの驚きに茫然としかけたが ふっ それを早く言わなきゃと思って焦って近付いて来たのかと思ったら 堪らなく可笑しくなってきて ふつふつと笑いだす俺に 困ったように眉を寄せるチェ・シネは…どことなくシン・チェギョンに似ている…目元か…?
「で…殿下…あの…」
「ああ…失礼…」一旦笑いを堪えて顔を上げる
「大丈夫ですよ… うん… ここだけの話 相手はもう決めているんです ファンも悪い男だな… 君の焦りを利用して手を出すなんて… 後で僕が懲らしめましょう」
顔を真っ赤にして俯くチェ・シネ… まあ…いいんじゃないか?せいぜいお幸せに

チェ・シネが去り 俺はファンを見つけ目で合図する 俺の元に来たファンは呑気に
「やあシン お招きありがとう」なんて言う
「おい聞いたぞファン… おまえ チェ・シネと シたんだってな…」
「げっ…シネ…言っちゃったんだ」
手で顔を仰ぐファン…どうやらホントのハナシらしい
俺は本気でキレそうになるのを必死で堪える
「心配しなくても真っ先に除外すると言ったのに…俺がそんなに信用ならなかったのか?
ふん…まさかお前に先を越されるとはな…」
「ちぇ…なんだよ…シンが言ったんじゃないか…チェ・シネはまだ俺の妃候補なんだぞって…俺ホント焦っちゃったんだから…
許嫁がチェギョンだったと聞いてホッとしたのに あんな事言うなんて…
でも今シンはチェギョンにメロメロだもん 結局チェギョンを選ぶんデショ?
なんでさっさと決めなかったんだよ?
こんなに妃候補が押し寄せて面倒な事になって…
おかげでこっちが振り回されたじゃん!」
はあ?!
俺をダシにしてチェ・シネを食っといてそんな事を言うのか?!寧ろ礼を言えこの馬鹿!
「おまえ!ふざけるな!」
「だから~ ホントごめん チェギョンと付き合ってると思ってたんだよね?
誓ってチェギョンには手出してませんから! 安心してチェギョンと結婚しなよ!ねっ♪」
お…まえっ!シン・チェギョンの気持ちを考えて見ろって何度も言っただろうが!
カフェでも保健室でも お前に泣き縋ったの覚えてないのかよ!?
ふざけやがって 今更俺には彼女が居ます?チェ・シネですだと?!
くそ!納得できん!去っていく背中に言い放った
「リュ・ファン!この大バカ者!」

冷静になれ…
良かったじゃないか…少なくともチェギョンはファンに手出しされてはいなかったってことだろう?
いや…でも ランチタイム 雪掻きのときもイチャイチャ カフェや保健室での涙 その他もろもろ… どうみたってアイツはファンを好いていた…
付き合っていると噂されながら好きになった相手は 自分を好きだとは言わず 終いには他の女と寝た?!いつだ?いつのハナシだ?まさか…アイツも知ったのか?
てっきり俺が無理やり「はい」と言わせたと思っていたが
そんなことになれば 自棄になって皇太子とでも結婚でも何でもしてやるさ!って気になったんだろう…
馬鹿だな 失恋を忘れる為には次の恋とは言うが… その相手に俺を選ぶなんて 大それたことを… 俺が相手だったばかりに次の恋が一生だぞ?もう少し考えろよな…

「皇太子殿下…少し…お話できますか?」
「ん?…ああ…構いませんよ…」
ファンが離れてひとりモヤモヤする俺にそう声をかけたのは ソ・ジュヨン その後を追ってキム・ミルもやって来た
やれやれ…アイツはわかっているのか?
この場でアイツに決めたことにするには それなりにそんな素振りを見せなければならないのに…
おばあ様の選んだ純白のドレスからスラリと伸びた脚
頭には小さなティアラをわざとなのか斜めに付けている
左腕にはボディペインティングってやつだろう…とても美しい女神が描かれていた…
さっき東宮殿で会った時 驚きで何も言えなかったほどだ だってその女神は…俺と再会したあの美術館で 俺にぶつかる直前にアイツが見ていたアルフォンスミュシャのあの絵だったから…
愛らしくも上品に着飾ったアイツは一人で壁の花になってやがる…

ヘシングループの末娘ホン・モネは近づいて来ない ギョン達の耳にした噂に聞く通り 他に本命が居るんだろう…
「殿下 本日はお招きありがとうございます」
と普通に始まったWK財閥のひとり娘キム・ミルの 止め処も無く続く弾丸トークに 俺とソ・ジュヨンはうんざりしていた
「ミル嬢 あちらに義誠大君殿下がひとりで居る 少しお相手を頼めるかな?」
難色を示すどころか 思いっきり嫌な顔を隠さないキム・ミルも 面白くは有るが 皇室には向かないだろう
お嬢様育ちで 何不自由なく育ち 誘拐されたことも一度や二度ではないらしい
成り上がりの両親は 変わり者で ミル嬢に護身術に語学数カ国語 ビジネスや人間心理 ありとあらゆる事を学ばせ 自分の身は自分で守れと育てたらしい
娘は少しどころかかなりな変わり者だ
俺の事も 皇太子妃位のパッケージくらいにしか見えていない
皇位は元々ユルのもので 譲位する可能性だって考えられる その時の為に親切にしておいた方が良いと 暗にほのめかせば 掌を翻して飛んで行った くっくっく 面白い ユルが面食らっている…

さて…残るは大物はソ・ジュヨンのみか…
ファンの言うとおり 俺も面倒な事をしたもんだ…
くれるというのに要らないと突っぱねてみたところで… 手放すことも出来ない心に縛られ 結局欲するんだったら… さっさと受け取っていれば こんな厄介な手続きをせずに済んだのにな
だがまさか こんなにも利己的にアイツを我が物にしようと臨むとは 思いもしなかったんだ
元はといえばファンのものだと思っていたわけだし ファンが早く言ってくれれば…
アイツの気持ちを想えば 胸が痛むが この際…流れに身を任せて見ても良いだろう
まだ少し アルフレッドの見せたいくつかの厳しい夢の恐怖は残っているが…
時には良い夢を見ることも有るんだし…
何しろ俺は知っているんだ 気を付ければいいじゃないか…

上の空の俺に向かって ソ・ジュヨンが切り出した
「あなたに会って ハッキリしたわ 私 あなたが好き」
げ…そうきたか…
「あの会見で国民に知らしめたかった権力欲しさに皇太子に群がるキタナイ王族
私の父はまさにそれだもの 候補者の中でも私はあなたの中で最低に位置づけられているんでしょう?」
俺は敢えて否定せず ゆっくり瞬きと同時に微かに頷いてみせる
「私の父ソ・ジョンナムは 自分の野心の為に私を皇太子妃にしようと教育してきたわ
私は中等部一年のとき その事を偶然知ったの イギリスに追われた父の妹の代わりなんだってねそれからは猛反発したわ
二年の頃には進路を医学部に決めたし 王族の身分に縋り付いたりせず 自立してみせると意気込んだ
だけど 幼い頃からずっと皇太孫イ・シンを植え付けられてきたの 父の野心を知りながらも ずっと頭の片隅で あなたを見る度未来の夫かもしれないと意識し続けてきた
私は 貴方が好きだわ でも…」
俺はこれ以上聞くのはヤバイ気がして割り込んだ
「僕の何を知っている?君の知ってる僕は 周りからの刷り込みでしかないのに?」
「いいえ 知ってる それこそ反発心に反比例して惹かれて行くあなたのことをずっと見て来たんだもの」
「知らないさ なんでも公開されてしまう僕にだって 秘密がある」
「心の中?」
「ああ…心の中までは公開していないんでね…」
「ミン・ヒョリン?シン・チェギョン?」
「ふん…君が知ってるのはたぶん 噂程度だな…」
「そうね…でもミン・ヒョリンは友達の恋人なのでしょう?許嫁のシン・チェギョンは 違うのかしら?」
しばしの沈黙を割いて俺の背にアイツの声が届いた
「殿下 あの私…っと…ごめんなさい…お話し中だったみたい…
お邪魔しました…あの少し疲れてしまって…控え室に下がらせてください…」
テラスで立ち話していた俺達… きっとソ・ジュヨンが俺に隠れて見えなかったのだろう
済まなそうに眉を下げたチェギョンがもごもごと口篭もり背を向けた
「待て」俺は 慌てて立ち去ろうとするチェギョンの女神の描かれた左腕を捕え 後ろから抱き竦める
「えっ?」
面倒なことはさっさと片を付けよう…
俺はチェギョンの顎をグイと持ち上げて その唇に俺の唇を向かわせる
「え? ちょ! ぃや…」
ガツッ!
額に激痛が走った
「な…何考えてるのよ!ひ…人前で! 変態っ!王子病っ!ばかっ!」
カタカタと靴を鳴らして走り去るチェギョン…額を押さえる俺…
ちょっと 唇を借りようと思っただけなのに…くそ!マイナス10ポイントだぞ!
頭突きされて情けなく蹲る(ウズクマル)俺に
「彼女…強者ね…貴方が皇太子だって解ってるのかしら…」
目を丸くしたソ・ジュヨンが手を差し出す
俺はそれをさりげなく断り自力で立ち上がる
まあ 今のチェギョンの台詞から 俺たちが人前でなければキスする仲だと聞こえなくもなかった筈…
「ダロ?アイツ面白いんだ…僕はアイツに夢中なんでね 君の出る幕はナイってことだ」
「でも もし私が皇太子妃になったとしても 医者になる夢は諦められません
そう 言うつもりでいたのに その必要はなかったんですね ふふふ…」

その後も 控え室にアイツの様子を見に行こうにも絶え間なく続く女子達のアプローチを なんとか軽く躱したが…
終に ロクにハナシもしないまま ダンスの時間を迎えてしまった…マイナス2ポイントだな
弦楽楽団がヴォリュームを絞り静かに奏でるワルツの中 俺は向けられたマイクを受け取り
「それではまず 僕からダンスの相手を 選ばせて頂いても構いませんか?」と断りを入れてマイクを返す
壁の花だったシン・チェギョンはユルがガッチリガードしてくれている ふふふ
約束通り俺に恥をかかせるなよ シン・チェギョン 俺は真っ直ぐに彼女へ向けて進み その目の前で歩みを止める
ざわめく会場
「シン・チェギョン嬢 僕と踊って頂けますか?」
「は…はい…」
差し出した俺の右手に白い手袋のチェギョンの小さな手が乗せられた
「では参りましょう」
するりと彼女の手を自分の腕に絡めてホールの中央へ連れて行く
曲が変わってヴォリュームが上がり 俺たちは曲に乗せて踊り始める…
ワンツースリー・ワンツースリーとステップを踏む
流れるようにクルクルと回る俺とチェギョン
うん…いいんじゃないか?昨日の最終確認の通りだ
曲に乗って気持ちよく踊れているチェギョンを見れば ぎこちなく俺の胸元に視線を泳がせている
こっち向けよ… こっち向けって… ったく俺の気持ちなんてコレッぽっちも解ってないんだな…マイナス1ポイントだ
「あっ…」
おっと… つま先がぶつかって躓きかけたチェギョンの腰をクッと引き寄せる 間一髪
「あ…ありがとう …ございます…」
俺をやっと見上げたシン・チェギョン… 今日はほどよく化粧を施している…やっぱり可愛い…
「ふん…またマイナス2ポイントだぞ…」
俺はアイツの耳元で意地悪く囁く
「え?なんのカウント?」
「後でな…」「はい…」
一曲目が終わると 皆それぞれにパートナーを見つけて二曲目を踊り始める
「ほら グズグズするな もう一曲踊るぞ」
「え?まだ踊るの?…ですか?」
「なんだよ 嫌なのか?」
「いえ!…」
二曲目が終わる頃には チェギョンはふらふらになっていた
「行こう」
「え?ドコに?!」
「いいから…黙って付いて来い」
俺はチェギョンの腕を掴んで 三曲目の演奏の流れるホールから出た
テラスは夜風でひんやりと涼やかな風が吹いていた
「ここに座れ」
「え?」
俺はチェギョンをテラスの長椅子に座らせ その前に跪く
「え?ナニ?!」
靴を足から脱がし 踵を見ると やっぱりな 両足共マメが潰れて血が出ている
「痛かったか?」
「あ…バレちゃった?…ですか?」
「ああ…こんなになるまでよく頑張ったな…」
「あ…ありがとう…ございます…」
「でも…これからは色々と こんなもんじゃないぞ
無理せず適当なとこでギブアップしろ そうじゃないと ハードルはどんどん上がって行くぞ?」
「は…い…」
「まあいい…今日の出番はもう少しで終わりだ ドレスの裾が長ければ低い靴に履き替えられたものを… こんな短い丈…いくら夏だからといっても足を出しすぎだ」
「あ…はい…ごめんなさい…」
「しばらく此処で待っていろ」
「はい…」


今日もお読み頂き ありがとうございます好
ファンとシネ あら~(///∇//) 詳しくは↓
Love is revolution 3~花束にして俺にくれるなんて馬鹿だな勘違いしちゃうじゃん  で crystal*

にほんブログ村 ←or↑ポチ ちゃるぷったっかむにだl
くりご ↓ペタ ちゃるぷったっけプッタクヘ

次のお話は明朝→102.パーティーⅡ~さあ急ぐんだお開きにする前にお前を皆に紹介する