107.済州島皇室リゾートⅡ~目を閉じてても感じる…あの唇が… | かおり流 もうひとつの「宮」

かおり流 もうひとつの「宮」

「チュ・ジフン&イ・ジュンギな毎日」のまほうの手・かおりが
こっそり書き溜めた「宮」の二次小説を今更公開(四十の誕生日2013/08/18にOPENしました)
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前のお話→105.済州島皇室リゾートⅠ~愛しいと思う気持ちと 憐れむ気持ちに揺れながら
このお話は104.ふかふかのベッド~まだベッドの上だなんて驚きだ に続くチェギョ目線のお話です


「きゃ~ やったわね~!?」
「よ~し!今度はこっちの番よ~」
みんなとプールではしゃぎながらも あたしの胸の中には靄が掛かっていた
最近すっかり打ち解けたつもりだったのに…
シンくんはやっぱりあたし達のこと遠くから冷やかに見てる…
と思ったら
プールサイドで本を読んでたシンくんが どっか行っちゃった…

すっかり冷えた体を温めに スパに行こうかとユル先輩が誘ってくれた

スパに続く廊下の向こう側から シンくんが歩いてくるのが目に入り あたしは声を掛けようとしたのに
イキナリシンくんがすれ違いざまにミノの腕を掴んだ
捩じり上げられたミノの右手から あたしの左手が放れて気が付いたの
さっき転びそうになったあたしの手をミノがずっと握ったままだった事…
マズい…なんか…すごく怒ってる…?

「俺はコイツとハナシがある 皆は先に行ってくれないか?」
「だ!ダメだよ!殿下なんだか喧嘩腰だよ?どうしちゃったの?!」
「俺は冷静だ いいからとにかくお前も皆と先に行け」
「行こうかチェギョン 大丈夫だよ ね?シン ね?ミノ?」
ユル先輩は大丈夫だよって言ったけど 心配で振り返ったらシンくんが「あたしの考えてる事くらい解ってる」と言いたげにコクコクと頷いた
それでもあたしは心配で さささっとシャワーを浴びて着替えを済ませ 呼び留めるガンヒョンの声に手を振るだけで応えて とにかくシンくんの部屋へ向かった

部屋の前で躊躇した… どうしよう…なんて言うつもりなの?
そもそも何をあんなに怒ってたんだろう…やっぱりミノがあたしの手を握ってたのが…マズかったんだよね?
でも…それだけで…?え~い もう!ウジウジ考えてもしょうがない!
トントントンとドアをノックした
「殿下?」
少し間が有ったけど ちゃんとドアを開けてくれた
「なんだ?」
うっ!やっぱり不機嫌そう…
「入ってい~い?」
思わず顔が引きつり 笑顔を作る
シンくんは小さく溜め息をついて「ああ」と入れてくれた
「どうしちゃったの?…ですか?」
あ…笑った?でもすぐに元の皇子の顔に戻る…
「どうもしない…」
「だってなんか怒ってた デショ?」
「怒ってない…」
「むうぅ…ホント?」
怒ってたくせに…
「ああ…ホントだ…」
ついと窓の外を向くシンくん…ホントはあたしに何か言いたいくせに…
「だったらいいけど…あんな風にみんなの前でミノの腕を捻り上げたら みんなびっくりするじゃん…」
「お前の手を握っていたからやめさせただけだ」
ほらねやっぱり
「…そんなの!」って反論しようにもすぐに遮られた
「今までは良くても これからはダメだ…
お前は俺の妃になるんだ 気安く触らせるな
まだ解ってないのか? 靴擦れだって大騒ぎだっただろう?」
「あ…うん…」
そうだった…チェ尚宮お姉さんにも もうあたし一人の躰ではないのだと言われた…
「お前の躰はもう俺や皇帝皇后同様 尊いもので 容易く他人が触れられる躰じゃないんだ それをいい加減解って行動しろ」
言ってる意味は解らなくもない…でも…あたしなんて…ただのあたしでしかないのに…
「…」
「それから…髪も乾かせ…濡れたままうろついて風邪をひかれては困る」
困る…か…そうだよね…あたしに勝手な事されると…殿下の立場ってもんがあるんだもん…
困るんだよね…
「…」
「なんとか言え」
そんな言い方しなくても…いいじゃん…
「…はい…」
も…もう限界…涙…がまん!あたしは急いで立ち去ろうとしたのに 腕を掴まれた
「どこへ行く」
「部屋に…帰ります…」
急いで部屋に戻らなきゃ…泣いてるとこ 誰かに見られちゃ拙いよね
今にも泣いちゃいそうで 逃げ出したいのに 腕を引っ張られて強引にドレッサーの前に座らされる

ドライヤーを手に取りスイッチを入れ 無言のままあたしの髪に温風を当てるシンくん…
あたしはナニも言えずに 涙を堪えて目を閉じてた…
ただのシン・チェギョンが…あなたの妻になって尊い存在になるなんて…
あたしなんて…あたしなんて…ただの…女子高生でしかないのに…
ドライヤーの温風と共にシンくんの指があたしの髪の間を潜る…
尊い存在になるというより…あたしは彼の所有物になるんだ…
そういう 重た~い感情が ふつふつと湧き出す…
無理やりキスしたり まるで脅すように返事を強要したり…
ああしろこうしろ あれはダメこれもダメ…と冷たくしておいて
今度は優しく髪を乾かしてくれるの?
あたしは彼の新しいおもちゃ?きっとお人形なんだわ…
あたしの気持ちなんてこれっぽっちも考えてくれないのね…
ううんお人形なんだもの…必要ないんだ気持ちなんて…
惨めで…哀しくて…なのに心地よくて…抵抗できなくて…

ああ…涙… 零れちゃった… また叱られちゃう…
ブォ~~~~
「泣くな…」
「…はい…」
「お前はもう 今までのお前じゃいられないんだ」
「…はい…」
あっ!シンくんの行動に驚いたあたしの躰がビクンと揺れる
目を閉じてても感じる…あの唇が…涙に沿って ひとつ…ふたつ…みっつ…

どうしよう…あたし…ドキドキして…る…?
優しくされながら こんなに惨めなのに…
止まらない涙をそのままに 彼のなすがまま…
これがこれからのあたしの人生になるんだ…
引き返すなら今「やっぱりやめる」と言わなきゃいけないのに 言えない…
だってあたしは もう…
あたしの心はすでに 彼に支配されてる 冷たくされても 優しくされても 抵抗できない…
怖いのに…もう引き返せない…もう抜け出せない…

「まだ泣くのか?」
ドライヤーのスイッチを切って 小さく溜め息をつくシンくん…
「俺は少し散歩してくる ベッドを使っていいから 少し休め」
泣きやむまで部屋を出るなって事よね…
あたしは小さく頷いて 彼の目を見れないままベッドに潜り込んだ
優しいのに 怖い… 怖いのに… 好き…
もう何がなんだか解らない涙は…なかなか止まらず
あたしは いつのまにか眠ってしまった


今日もお読み頂き ありがとうございます
書いてて切ないです なので番外編へ逃避しました
次のお話は2/16→108.二学期~小さな悲鳴を上げて俺に抵抗を示すが
の前に
ひとりバレンタイン企画 またまたジャンプして結婚後のお話です
明日2/13に番外編をチェギョ目線で一つ
番外編Ⅸサンキンサンヨク ~お帰りになるまでお菓子は禁止でございます
もうひとつは2/14にシンくん目線で R18(//0// アメンバー限定とさせて頂きます
番外編Ⅹ 三釁三浴の成果 ~いつの時代のハナシだよ

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