医学ニュースの深層 -36ページ目

深層分析:生活習慣の改善で脳卒中4割減 2型糖尿病、指導が効果

 2型糖尿病の患者に食事や運動など生活習慣の改善指導を強化すると、合併症である脳卒中の発症が、強化しなかった場合の62%にとどまったとする研究結果を厚生労働省研究班(主任研究者、山田信博筑波大学長)がまとめ、欧州糖尿病学会誌(電子版)に8日、発表した。

 糖尿病発症後でも生活習慣改善によって合併症を減らせることを示す結果で、研究班の曽根博仁筑波大教授(内科学)は「患者にとっても励みになるのではないか」と話している。

 専門的な糖尿病治療をする病院に通う40~70歳の患者約2千人を、無作為に2グループに分け、インスリン投与などの治療内容は同じまま、一方には血糖やコレステロール、血圧などの目標を設定。医師が生活習慣を強く指導したり、保健師らが定期的に電話したり、目標を満たさない患者に教育入院してもらったりして、平均8年間追跡した。

 指導を強化したグループでは脳卒中の発症が少なかったが、血糖、体重、血圧、喫煙率や、網膜症などの発症率に差はなかった。(共同)



コメント:


 こうした結果は、われわれからすれば、こんなもんだろうという「想定内」のこと。

患者さんになっても、なかなか、今までの「生活習慣」を律することは「わかっちゃいるけど、止められない」というものである。しかし、実験群では、まあかなりの「強化療法(指導)」をしたみたいで、これだけ医療スタッフが真剣に張り付けば、そこそこの「改善効果」が何か出なければおかしいではないか(笑)。


 ただ・・・


 論文によれば「脳卒中」は「38%」減らせた(HR 0.62, 95% CI 0.39-0.98, p = 0.04)(といっても統計上は「ぎりぎり」)ようだけれども、網膜症だけではなく、CHD(冠動脈疾患)や糖尿病性腎症という「2型糖尿病」からの「重大な疾患」の発症リスクは変わっていない。(上記の報道は、なぜか、この重要な部分を省いている。)

 要は、これほどの最重要疾患の予防には「強化指導」の効果がなかったわけである。これじゃ「患者にとって励みになる」とまではいえないのではないだろうか。

 

 喫煙率が実験群(強化指導された群)とそうでない群で変わっていないが、実験群に割り付けられた患者に対して、これだけは、徹底的に全面禁煙させれば、もっと「良いデータ」が出たのではないかと思う。

小児の感染リスクは20~30代の2.7倍 新型インフル

 豚由来の新型インフルエンザウイルスに対する感染のしやすさは年齢によって異なり、小児の感染リスクは20~30歳代に比べて2.7倍前後になるとの分析結果をオランダなどの国際研究チームがまとめた。逆に高齢者は感染しにくく、60歳以上の感染リスクは20~30歳代の5分の1以下だった。

 オランダ・ユトレヒト大学の西浦博研究員(科学技術振興機構研究員)と米アリゾナ州立大学などの共同チームの成果。英国発行の国際学術誌2誌に論文を発表した。(日経)



コメント;


 この結果をみても、ワクチン接種後死亡率の高い「高齢者・基礎疾患あり」に、わざわざ、ワクチン、ワクチンというのがわからん!上記対象者では、ワクチンによる重症化リスク減どころか、増になってるし。


 小児でも、もう、重症化軽減の決定打としての新治療薬が出るなら(さっさとやれ)、わざわざ、「今の新型ワクチン」はいらんというところまで言えるのに。

 

リスク2・5倍の遺伝子を特定 肥満でない人の2型糖尿病

 生活習慣や生まれつきの体質などによって起きる2型糖尿病のうち、太っていない人の発症に特に強く関連する遺伝子を特定したと、東京大や東京女子医大などが7日付米人類遺伝学会誌(電子版)に発表した。肥満でない日本人では、この遺伝子の違いによる発症リスクは2・5倍という。

 欧米では2型糖尿病は肥満の人に多いが、日本などアジアではやせた人も発症する。徳永勝士東大教授(人類遺伝学)は「この遺伝子は、その違いにかかわる要因と考えられる」と話している。

 この遺伝子は、血糖量を下げるインスリンの分泌を抑える「KCNJ15」。研究チームは、塩基配列1カ所の違いによりインスリン分泌が必要以上に抑制され糖尿病になりやすい“リスク型”があることを突き止めた。

 日本人の2型糖尿病患者約1600人と健康な人1700人を調べると、リスク型は患者の10%、健康な人の6%。体重と身長から算出する体格指数(BMI)が24を超える肥満になったことがない患者に限ると14%。

 リスク型の人が糖尿病を発症する危険性は通常型の1・8倍、肥満でない人に限ると2・5倍との結果になるという。(共同)


コメント:


 日本人の・・・ということが重要。

まあ、この発見から、2型糖尿病の新薬を創りだすことは、まだまだ難しいが、この新しい発見と既存の治療薬・治療法との融合で、新しい治療法の突破口は開けるだろう。


 2型糖尿病の患者さん及び健康人の皮膚繊維芽細胞からiPS細胞を創って、「KCNJ15」を「基点」にしていろいろ調べてみればいい。私でさえ、いろんなアイデアが浮かぶが、ここでは書きません(笑)。

 ただ、iPS細胞から膵臓細胞への分化誘導は難しかったが、米国では、その方法の1つがすでに特許申請(本出願)されていることもあり、上記のiPS細胞利用の「2型糖尿病研究」は、糖尿病・代謝内科の医師らが「本気」で取り組む価値がある研究だと思う。

自閉症の人の脳、神経伝達物質の機能が低下 厚労省研究班確認

 発達障害の一種である自閉症の人の脳は、神経伝達物質「セロトニン」にかかわるたんぱく質の機能が自閉症でない人と比べて約3割低下していることを、厚生労働省研究班(主任研究者=森則夫浜松医科大学教授)が脳画像分析で突き止めた。セロトニンの異常と自閉症との関連は以前から取りざたされてきたが、脳画像で関係を確認したのは初めてという。

 研究班の中村和彦浜松医大准教授、辻井正次中京大学教授らの研究成果。論文を米医学誌に5日、発表した。

 自閉症は「自分の気持ちをうまく伝えられない」「こだわりが強い」などの特徴を持つ発達障害。研究班は18~26歳の自閉症の20人とそうでない20人の協力を受け、陽電子放射断層撮影装置(PET)で脳画像を撮影し比較した。 (日経)



コメント:


 セロトニン・・・元気物質とか巷では言われているようですね。

これ、増やそうと思えば・・・牛乳を飲むといいよ。

一説には、「背脂ラーメン」がいいらしいが・・・ついでに体重も増えます。

特に、夜中に食べれば更に「一回り大きく」なれますよ(笑)。

・・・メンタルではなく、肉体的に(笑)



 

 

さて帰国したが、アラアラ・・・新型インフル「沖縄で流行再燃」 厚労省警戒

 厚生労働省は7日、12月27日までの1週間に新たに医療機関を受診したインフルエンザ患者が推計約100万人と、4週連続で減少したことについて「過去のシーズンには、流行のピークが今(の数値)より低かった年もある。まだ、新型インフルエンザは流行のただ中にある。沖縄では流行が再燃している」と警戒感を示した。

 定点医療機関1カ所当たりの患者報告数は38都道府県で減少したが、9県では増加。特に沖縄では前週の26・07人から43・40人へと大幅に増え、8月のピーク時(1機関当たり46・31人)に匹敵する報告数となった。

 8月の沖縄では20代の患者が目立ったが、今回の報告では0~9歳が中心。厚労省は「まだ感染していない子どもがいれば、ほかの地域でも沖縄のように再び流行が起こり得る」としている。

 全国的には20歳未満が前週より12万人減少したが、20代は3万人、30代は1万人増えた。


コメント:


 無事に帰国しました(めちゃくちゃ、大変だったが、かなり有意義だった)。いつもの成田空港とは異なり、関西空港から、まず関西の実家に立ち寄り、それから「お餅入りの七草粥」を食べて、今、大学へ・・・。


 ここでの予想どおりの流れで進みそうだな「インフルエンザ」(新型・季節)。






 


 








 


 

中国の死者数659人に 新型インフルエンザ

 【北京共同】中国衛生省は4日、中国本土での新型インフルエンザによる死者数が2日までの累計で659人になったと発表した。

 同省は「今後しばらくは死者数が増え続けるだろう」と予測、妊婦や慢性疾患の患者など重症化のリスクが高い人に重点を置いて感染拡大防止を図る考えを示した。


コメント:


 今、帰国途上で、試しに書いてるのです・・・。

さて、上記の報道。まあ、中国のことだから、数字はいい加減でしょう(笑)。

死亡者が増えるというのは、まあ、残念ながらその通りなんでしょうが、

先月あたりに、中国って、新型インフルの「特効薬」となりうる漢方を見つけたと報じられたんだが、効果のほどはいかがなんでしょうかね?


 まあ、強がらないで、とりあえず、今の最新の治療薬を使ってみませんか?


P.S; なんで、ヒトiPS細胞関連研究の重大な打ち合わせにいって、仕事の30%は(向こうの)新型インフルの治療に割かれなきゃならんのだ・・・。

出張先(米国)からでも更新:新型インフルネタ

福井で新型インフルの男性死亡 40代、持病なし

 福井県は1日、新型インフルエンザに感染した40代男性が肺炎で死亡したと発表した。男性に基礎疾患(持病)はなかった。

 県によると、男性は昨年12月8日に感染が確認された後、呼吸が困難になり1日午前に死亡した。(共同)


コメント:


 このケースは、おそらくウイルス性肺炎による死亡例でしょうね。

12月8日から元旦までの現場の奮闘が目に浮かぶ。


 今、私は仕事でアメリカにいますが、この類似のケース(人工呼吸器装着後から関与しましたが)・・・今までここで書いていた治療薬の組み合わせで、患者さん(米国人)は、回復途上にありますよ。私が治療法を提案して、実施したのは私の同僚(米国人)。


 これが、日本と米国の「超一流機関」との差・・・。(ちなみに、米国でも並なら、日本「並」以下)。なお、われわれは「謝礼」云々で仕事してませんから、誤解のないように。


 だから、さっさと使える薬・治療方法は、前からいっているように、まずは「限定承認」でいいから、使えるようにしてね。


「第1波」のワクチンなんて、もうどうでもいいではないか・・・。

iPS細胞と印刷技術

 出張先にて・・・更新するのはたぶん、最初かも。


 さて、表題は、一見なんの関係もないように見えるでしょ?

実は、そうでもないんだな、これが・・・。


 昨年、京大の山中先生が、あるバイオ系の雑誌(日本語)のインタビューで次のように答えられていた。


 「iPS細胞は、医学だけではなく、幅広く、いろんな研究に使ってもらいたい。

たとえば印刷会社に供与することも、ありうる・・・。」(注:発言要旨です。)


 これ、最初に読んだとき、次のように思った。

「あっ、また、頭の中で考案中のことを公表してるなあ(笑)」と。


 京大CiRAの広報担当・・・このあたり、ちゃんとコントロールしたほうがいいぞ・・・

特許を守るためには・・・。

 1流の研究者は、大体、ワクワクするようなことを思いついたりしたら、そのときにタイミングよく記者さん等が取材にきたら、ついついボロッとしゃべってしまうもんなんだよ。たとえ注意していてもだ。


まあ、それはそれとして・・・。


 印刷技術にiPS細胞を?という方に・・・以下、解説。


 今、大日本印刷という大手の印刷会社が次のようなことをやっている。

「光で基板上に微細加工する方法で、培養したくないところに細胞が培養するのを防ぐ技術開発。」・・・これで、高分子がないところだけに細胞が育つようになると、顕微鏡でしか見えないような小さな文字も細胞で描くことができるようになると思われる。


 特に今、もうiPS細胞で、この研究をやられているわけでもないようだが・・・将来、印刷技術はもとより、軍事技術に転用可能だな・・・iPS細胞テクノロジー(笑)。


 ネエ、(本件では「蚊帳の外」だった)防衛省さん、経済産業省と合同で、お金出しませんか(笑)?

 私も、ちょいと考えている(ほとんど、できかけている大変良い「技術」との融合戦略ですが・・・)ことと、あわせれば、かなり面白いことができますが。患者さんのために大いに役に立ちます。

 えっ?、「まずは国家」に役立てるように少し練り直せ?・・・お前ら、そういう発想を根本から変えろ。


 あっ、CIA(ラングレー)は、もとより、そこの中国人、パクルなよ(笑)。

必読;トラ年の科学技術Newsの傾向

 過去のトラ年に国内外で起こった科学技術のNewsを見てみると・・・。


1974年・・・原子力船「むつ」放射線漏れ事故。

1986年・・・チェルノブイリ原発事故。

1998年・・・北朝鮮ロケット「テポドン」の日本上空通過


 いずれも科学技術の負の側面ばかり。しかも、トラ年には「核」・「原子力」がらみの事故・事件がおきている。

 核は核でも、体細胞の核の初期化は、すでになされ、世界で激烈な競争が起きています。ご存知ですよね?こういう良いNewsは、ない・・・かもね。


 やはり2010年は・・・日本の原子力発電所が地震で大変なことになるとか、北朝鮮のロケットが日本の陸地に着弾するとか、中国の原子力潜水艦が日本海沖で事故るとか・・・。

 あるいは、日本に持ち込まれた米軍の核爆弾が、おかしなことになるとか・・・。


阪神タイガースの新「核弾頭」が活躍し、優勝するとか。


最後のだけは、絶対に無いけどな・・・科学技術関連のNewsじゃないし(笑)。


さて、仕事しようっと。

新型インフル第1波用ワクチンについて

さて、アメリカに「弾丸 出張」する前に、一言書いておくわ。

(むこうでも、記事更新しようと思えばできるけど・・・)


詳細は、過去記事(昨年)をちゃんと読んでもらいたい。

それを読まずに、まったく見知らぬ個々のケースに対する意見を言われても、困ります。


その上で、参考になるか否か微妙だが敢えて・・・。


 私が、大事な家族・友人・知人など(老若男女問わず、日本人)に、今の時点でワクチンを打ったほうがいいか否かたずねられたら、「やめておけ」と言います!


 理由・・・無駄だから。もはや何の意味も無いことが明らかだから。

本当に重症化を防げるのは「治療薬」です。


これ以上、わかりやすい回答はないだろう。


なお、この件で、コメントしないでね・・・イライラするから(笑)。