深層分析:生活習慣の改善で脳卒中4割減 2型糖尿病、指導が効果
糖尿病発症後でも生活習慣改善によって合併症を減らせることを示す結果で、研究班の曽根博仁筑波大教授(内科学)は「患者にとっても励みになるのではないか」と話している。
専門的な糖尿病治療をする病院に通う40~70歳の患者約2千人を、無作為に2グループに分け、インスリン投与などの治療内容は同じまま、一方には血糖やコレステロール、血圧などの目標を設定。医師が生活習慣を強く指導したり、保健師らが定期的に電話したり、目標を満たさない患者に教育入院してもらったりして、平均8年間追跡した。
指導を強化したグループでは脳卒中の発症が少なかったが、血糖、体重、血圧、喫煙率や、網膜症などの発症率に差はなかった。(共同)
コメント:
こうした結果は、われわれからすれば、こんなもんだろうという「想定内」のこと。
患者さんになっても、なかなか、今までの「生活習慣」を律することは「わかっちゃいるけど、止められない」というものである。しかし、実験群では、まあかなりの「強化療法(指導)」をしたみたいで、これだけ医療スタッフが真剣に張り付けば、そこそこの「改善効果」が何か出なければおかしいではないか(笑)。
ただ・・・
論文によれば「脳卒中」は「38%」減らせた(HR 0.62, 95% CI 0.39-0.98, p = 0.04)(といっても統計上は「ぎりぎり」)ようだけれども、網膜症だけではなく、CHD(冠動脈疾患)や糖尿病性腎症という「2型糖尿病」からの「重大な疾患」の発症リスクは変わっていない。(上記の報道は、なぜか、この重要な部分を省いている。)
要は、これほどの最重要疾患の予防には「強化指導」の効果がなかったわけである。これじゃ「患者にとって励みになる」とまではいえないのではないだろうか。
喫煙率が実験群(強化指導された群)とそうでない群で変わっていないが、実験群に割り付けられた患者に対して、これだけは、徹底的に全面禁煙させれば、もっと「良いデータ」が出たのではないかと思う。