「スリーストライク法」と悪循環~日本版プラン・メキシコへの罠(21)~ |   「生きる権利、生きる自由、いのち」が危ない!

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徳冨蘆花「謀叛論」を再発見してたら、
「ソクラテスの弁明」が、なぜ好きなのか、最近になって納得し始めた今日この頃です。


〝「時給40セントでした。
でもそこから部屋代医療費
毎日2ドルずつ引かれましたから、
残高はあっと言う間にマイナスになり
気づいた時には
他の未払い金と一緒に返済可能な額まで
膨れ上がっていったのです。

「刑務所の増設」と「刑務所運営費削減」措置?~日本版プラン・メキシコへの策動(15)~ 

アランは出所して
すぐ仕事を始めましたが、
借金を抱えた前科者という立場では、
どこでも断られてしまう


「刑務所内では
模範的な囚人だったと思います。
作業は丁寧にしましたし、
他の囚人たちともトラブルを起こさないよう
大人しくしていましたから。
ボクはブロンクス出身なのですが、
家が貧しいので、
出所したら真面目に働いて
家計を支えるつもり
でいました。
でも面接に行くと
こう言って断られてしまうのです。
前科があるだけで差別するつもりはないが借金額がちょっとね』と。

 仕事がなければ借金も返せないし
社会復帰なんて絶望的です

そのうちあきらめて
こう思い始めました

結局、
もう一度塀の中に
戻るしかないんだ
って

(引用者中略)

 ブルックリンに住み、
本業の他に
貧困地域の未成年被告法廷弁護
ボランティアで務める
弁護士のマイク・ウォーレンは、
刑務所
もはや「犯罪防止のための場所」
「更生の場所」ではなくなった現状

指摘する。

アメリカ国内の刑務所では、
社会復帰させるための職業訓練教育は、
コスト削減真っ先に廃止されるのです。
技術教育なしに
巨額の借金だけを背負った若者たち
大量に出所させたらどうなるか


あっと言う間に再犯で
Uターン
ですよ。


スリーストライク法>が
このループ(悪循環)
加速させました

今では刑務所存在は、
連邦や州が直面する
財政難の解決策
他なりません

 1994年に州法として成立した
スリーストライク法は、
犯罪者が三度目の有罪判決を受けた場合
最後に犯した罪の重さに関係なく
自動的に終身刑にする
という法律だ。“
(P.157-158)


さきほどのウォーレン弁護士いわく
“「重罪で投獄される犯罪者の8割貧困層で、
経済的困難から犯罪に走るのです。
なのに、その彼ら
刑務所の中で
さらに借金を背負わせる
んですから」“
(P.159)

若者逮捕率上昇は、
他の多くの州でも報告されている。
 そして、スリーストライク法によって
追い打ちをかけられた結果
つぎつぎに終身刑になる若者
増えている
のだ
。“
(P.180)

これまでの一連記事において、
私たちは、
1980年初期に始まった<レーガン政権>
新自由主義」政策により、
中流階級>が底辺に追いやられたり
すくなくとも、
雇用不安定化」や「雇用融解」にさらされ、
また<貧困層>や
生活受給を必要とする人々>が、
市場経済の辺縁」や「路上に放り出された」事で、
社会は荒廃”し、”風紀は乱れ”、
非合法な経済活動」や「軽犯罪を犯す」ことでしか、
生きていけない人々が、続出したのでした。

その事から、
こうした「荒廃」や「悲惨の根源根本原因は、
新自由主義」政策にあるにもかかわらず、
その根本原因見直し是正
つまり「新自由主義政策からの方向転換
行なわずに、
その「新自由主義」政策の煽りを食らった人々
「新自由主義」という<政策の犠牲者たちを、
徹底的に取り締まり監獄にブチ込むという
新自由主義政策フォローする補完品として
機能することで、
”根本原因が新自由主義である”ことを隠したり、
問題のすり替え」に寄与しているのであるが、
ゼロ・トレランス非寛容)」政策は、
新自由主義政策の”あと片付け”的なものとして
機能するばかりではなくて、
囚人労働者>という
海外アウトソーシングのネックである
”「言語の壁」が無くて”、
超々低賃金”で
人権無視の劣悪な労働が可能
偽装請負」と同じく、
企業の使用責任が問われない
)”という、
グローバル企業>にとって、
これほど美味しい労働力なく
しかも、
塀の中刑務所内へのアウトソーシング」により、
塀の外社会)の<働き手>には、
雇用融解」や「雇用不安定化」という、
現時点での労働力究極の買い手市場化”を
もたらしてくれ
そして傾いた企業その部門を、
二束三文で買収することを
可能にしてくれるかもしれない
囚人労働者」を、
ゼロトレランス」政策
およびその政策の下での「刑務所は、
生み出す
つまり、
政府による「新自由主義」政策ばかりでなく
社会
に向けて刑務所
破壊」を吐きだすようになっているし
また<受刑者の若者>を
借金づけの元受刑者”に”再生産”することで、
社会復帰できなくさせ
刑務所に逆戻りさせる運命の奴隷”に、
仕立て上げる再生産する」ような、
けっして「あと片付け的な位置」ばかりでは
ないからです。

貧困者>を、
経済奴隷にする工場」という<刑務所>に、
さらに法律面でも、
”どんな罪状であれ、
三度捕まってしまえば「終身刑」になってしまう”
スリーストライク(三振)」を成立させることで、
永久囚人労働者」の烙印を押して、
21世紀型の合法的経済奴隷化構造を、
さらに強固化させるようになっています。

新自由主義」政策グローバル化
ばかりでなく、
社会復帰の道を閉ざされた借金づけ出所者
再生産する「監獄」と
スリーストライク法」の犠牲になって、
終身刑になってしまう<若者たちの数が、
そして勿論、全体的に<逮捕収監者の数が、
増加していくとなれば、
当然に刑務所」の数が増えていく訳であります。
しかし、「刑務所建設運営」には、
カネが掛かるはず・・・

「刑務所の増設」と「刑務所運営費削減」措置?~日本版プラン・メキシコへの策動(15)~
(しかも以上に引用させてもらった
引用文のなかに、
「刑務所」という存在が、
アメリカ合州国政府自治体の州政府
財政難解決策になる”という
奇妙な発言も出てきています。)
以下、堤未果『貧困大国アメリカⅡ』より引用。


“《魔法の投資信託REIT

・・・刑務所自体
それほど費用がかかるとすれば、
国も州政府も
刑務所建設予算を削減しようとしないのは
なぜなのか

ウォール街で
今もっとも価格が高騰している
投資信託商品の一つ

刑務所REIT(不動産投資信託)の
せいですよ」

 そう言うのは、
マンハッタン在住の投資アナリスト、
ロバート・ウィリアムソンだ。
「つまり、刑務所の建設と土地を所有して
テナントに賃貸する
不動産投資信託です。
この場合のテナントとは、
主に州の自治体ですね。
通常これらの刑務所を賃貸する場合
契約期間は10年で中途解約はできません。
管理費修繕費
すべてテナントもち
何とも美味しい商売というわけです」

 財政難州政府
刑務所建設を推進することは、
矛盾するように思える

 だが、
投資信託会社をはじめ、
刑務所建設によって
恩恵を受ける
各業界から
巨額の献金を受け

選挙公約
新規の刑務所建設を
盛り込む
政治家

少なくない
のだ
とロバートは言う。

刑務所
地域住民には職員としての雇用機会を与え
騒音もないから
周辺の環境も静けさが保たれます


囚人
収監されている刑務所

地域住民として数えられる
ため
国からの助成金も増える

刑務所建設
政治家にとって、
公約にする正当な理由
たくさん与えてくれる
のです


建設費用スポンサー
がなるのですか?

ウォール街の金融大手
投資します

たとえば、民営刑務所最大手のCCA
メリル・リンチアメリカンエキスプレス
シェアソン・リーマンなどが
バックアップしています。
さらに<ベッドブローカー>という中間業者もいて、
中間業者CCA投資家たち全員

もうかるしくみになっています」“
(同 P.178-179)

刑務所の中囚人労働者への
国内アウトソーシング」により、
買収合併人員整理に遭ったり
職を失ったり倒産の憂き目にあったりして、
ホームレスになってしまった人>の生の声が、
同書のなかで出てきます。

厳罰化に犯罪を減らす効果があるという理論には
欠陥があると思います。
今この国で急激に増えているホームレス多くは、
私のようなごく普通の労働者だからです。


善良な市民が、
厳罰化によって
市民廃業させられている
名前さえ持たない影のような存在になり、
メディアに不安を煽られた
人々意識によって、
視界から消えることを望まれ
んどん孤立化していくのです。
 
ホームレスになって
警察政府
私たち
もう一度社会に戻ることなど
望んでいないことが
よくわかりました

公共の場から追い出し
炊き出しを違法にすれば

選択肢刑務所以外はない
のですからね
。”
(同 P.189-190)

そうして、コンピューター技師だった
チャック・ニーウェルさんが、
2007年に解雇されて、ホームレスとなってしまい、
ゼロ・トレランス」政策のもと、
刑務所に収監されてしまえば、
チャックさんも、否応なく
雇用不安定」と「雇用融解」、
そして「買収」や「合併」、「倒産」や「失業」を
もたらし、
つまりは「社会」と「人々の人生」を破壊する
刑務所内国内アウトソーシング」に、
従事させられて、
チャックさんと同じ憂き目にあってしまう人々
を、
より増やしてしまう
事になってしまうのでしょう。

こうしたきわめて悲惨な悪循環は、
”偶然に起こってしまった事態”なのでしょうか?