更新を理解する | 池上秀司のブログ

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ファイナンシャルプランニングに関することを中心に、好き勝手に書きます。

前回の続編です。「更新」というしくみについて考えてみたいと思います。

ライフネット生命の出口会長は、

最初の10年は3,000万円の定期死亡保険を買って40才の更新時点で2,000万円の定期死亡保険に逓減する方が現実の教育費のニーズに合うと思いませんか

といっています(以下グラフの緑のラインに合うように保険設計をする)。



では、同じ保険金額を別の方法で調達した場合はどうなるでしょうか。別の方法といっても難しくありません。【1,000万円・10年】と【2,000万円・30年】を組み合わせるだけです。

それぞれの概要を図にして、保険料の推移をグラフにしてみました。図の中の数字は月払保険料です。

【更新パターン】


【組み合わせパターン】


【月払保険料推移】

(縦軸:円/横軸:歳)

【保険料累計推移】

(縦軸:円/横軸:歳)

こやってみると、更新パターンの50代が気になりますが、これこそが更新です。結局、それが総支払額にも影響し、同じ定期保険で同じ保険金額の推移であるにも関わらず、最終的な総支払保険料は約40万円もの差になります。

数字合わせをしても仕方がないのですが、更新パターンは50歳以降の保障を1,400万円まで減額すると月払保険料は7,450円まで下がるので、30年間の総支払額は約182万円。総支払保険料は組み合わせパターンと近い数字になります。



結局、こんな感じで減額するくらいなら、最初から収入保障保険に加入していればいいのではないでしょうか。

「更新」という制度が加入する側にとって長い目で見ていかに不利になるか、これでお判りいただけると思います。もちろん、好きで更新型の定期保険を加入することは否定しません。考え方次第では必要な場面も出てくるでしょう。

しかし、本件は元々「教育費」をテーマにしています。私達にはお客様の好き嫌いを尊重しつつも、ご存知ないこともあるかも知れないので、様々な情報をお伝えすることが求められます。その際、一歩を引いて「なにが合理的か」という視点も欠かせません(ここがFPの主観になっているケースが多い)。数字の面から考えた場合、出口会長の考えはお客様の負担が多くなる要素を含んでいるので、組み合わせるという別の選択肢を提示するのは必然です。

お客様の考えをお聞きし、様々な選択肢を提示した上で、それぞれの特徴をご理解いただいて、最終的にはお客様に選んでいただくことが重要ではないでしょうか。それこそ考え方次第では、収入保障保険と定期保険の組み合わせパターンがあってもいいのですが(下図参照)、やはりその際は、定期保険の「更新」を念頭に入れながらプランニングすることになるでしょう。



ということで、真打ち登場。リンクを貼っておいてなんですが、時間の無駄なので読む必要はありません。

発想を転換 保険の更新、実は怖くない

保険コンサルタント(自称)を名乗る後田亨さんの提供する情報が世の中に対していかにマイナスか、タイトルだけで判断がつくでしょう。「更新は怖くない」など到底受け入れられません。彼の存在価値や存在理由はどこにあるのでしょうか。長期的な視点で保険を考えることの重要性の認識不足です。発想を転換しなければいけないのは、後田さん本人とこんなコラムを続けている日本経済(音痴)新聞。低俗です。

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