進歩のない後田さん その2 | 池上秀司のブログ

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ファイナンシャルプランニングに関することを中心に、好き勝手に書きます。

前回の続きです。

損保ジャパン日本興亜ひまわり生命(長いので以下「ひまわり生命」)の収入保障保険とライフネット生命の定期保険で比較してみます。ひまわり生命のパンフレットに書いてあった事例は【35歳・男性・60歳満了・年金月額30万円】です。月払保険料を調べたところ、標準体で10,050円でした。この保険料が25年間続きます。


一方、ネット生保として登場したライフネット生命の保険料はいかがでしょうか。ひまわり生命の収入保障保険の加入直後の死亡時一括受取額は約7,286万円なので、7,200万円で加入したとします。


35歳・男性・死亡保険金額7,200万円・保険期間10年の場合、月払保険料は10,193円。これは10年更新ですから、現状の保険料率を維持したとして、45歳から10年間の月払保険料は24,362円。さらに、55歳からは55,697円になります。




以上の保険料だけを比較した表が以下です。


説明不要ですね。ひまわり生命の保険料は「保険料を半額に」がスローガンのライフネット生命の半額以下で済んでいます。ライフネット生命は定期保険なので時間の経過に伴い保障が過剰になり、さらに更新によって保険料負担が増加するからです。また、ライフネット生命には「60歳満了」がないため、35歳から60歳までという25年間で考えたときには、「10年更新」では保険期間が合いません。ミスマッチとはこういうことをいうのではないでしょうか。

ひまわり生命の「非喫煙健康体」というのがありますが、身長と体重の割合(BMI)が保険会社指定の範囲内、かつ、非喫煙検査で喫煙反応が出なかった場合に適用される保険料です。標準体より3割程度保険料が安くなり、ライフネット生命の30%未満で済んでます。この状況で「付加保険料」や「代理店手数料」の開示が必要でしょうか。保険料がいくらかで答えは簡単に出ます。

そして、このひまわり生命の収入保障保険の販売方法はというと「対面販売」です。

ライフネット生命は「純保険料は大して変わらない」と主張してきましたが(下図参照)、ひまわり生命の標準体と非喫煙健康体の保険料の違いこそが「純保険料の違い」です。対面販売で手間を掛けることによって、非喫煙健康体のような保険料が実現するのです。このようなライフネット生命の主張は事実に反しているという点も、後田さんが注意喚起するべきです(現状は推奨しているのですから情けない)。


安易なネット契約はこのような保険料負担増大という事態を招きます。ひまわり生命の収入保障保険は保険金の受取方法も、年金形式、一時金形式、年金と一時金の組み合わせなど、お客様の状況により選択可能です。一方のライフネット生命はどうでしょうか。こういう情報は世間に伝わっていますか?保険選びは保険料だけではないのです。

後田さんが最優先で伝えるべきは「お子さんが大きくなれば高額な死亡保障はいらないでしょう。ですから、収入保障保険が合理的です。もし、健康状態が良好ならば、保険料負担はもっと少なくできます。それは対面販売で可能(ネットは一部)。」ということです。

そして、このケースでは収入保障保険の年金月額が30万円ですが、30万円でいいのか?遺族年金などを考えながら年金月額を決め、保険期間は60歳でいいのか、お子さんの年齢やご家族の状況などを考えながら決めていく、ここが肝心要で、これが「保険のコンサルティング」です。これをやろうとしない(やらない)後田さんが保険コンサルタントを名乗っても、肩書き詐称以外の何モノでもありません。

また、後田さんのような資質を備えていない人間を「専門家」と崇め、低俗な情報を世の中に垂れ流し続ける日本経済(音痴)新聞も、消費者の足を引っ張ってばかりで迷惑です。マネー関連のコラムは欠陥だらけです。というか、このコラムの主張と真逆の商品に、日経優秀製品・サービス賞の「優秀賞」とか与えているんですよね。


読者を欺くのもいい加減にしろというもの。ナメんなよって話です。こんな新聞に払うお金が一番ムダです。