介護の事例 | 池上秀司のブログ

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ファイナンシャルプランニングに関することを中心に、好き勝手に書きます。

“ちきりん”という知ったかぶりブロガーが、以前住宅ローンについてトンチンカンなコメントをしていたので、指摘したことがあります。先日、介護について適当なことをツイートした結果、現役のケアマネージャーさんに論破されるという事態がありました。そこで、介護について少し書いてみたいと思います(私的な話です)。

ちきりん9年前の自ブログ記事を紹介、現役ケアマネさんに反論される

私は父が2010年3月に寝たきりになり、その年の6月から約3ヶ月間、自宅介護をしていました。そのとき「胃瘻」というのを経験しました。胃瘻についてもあれこれいわれますが、我が家にとってはそれが最善の選択(というより、それ以外の選択肢がなかった)でした。私は胃瘻を選んだことに一切の後悔はありませんし、父には申し訳ありませんがいい経験だったと思っています。

母が2013年末から2014年は一年中、骨粗鬆症と肝機能障害による入退院を繰り返し、合間は自宅で介護をしていました。私が不在の時に何かがあったら不安だということで、今年の1月下旬から近所の老人保健施設にお世話になっています。現在母は「要介護3」。今日は、昨年自宅にいたときに買ったもの、借りたものをご紹介します。

まずはお風呂のすのこを介護保険で作りました。写真は我が家に納品していただいたものです。


介護される側にとっては数センチの段差が大きな負担になりますし、転倒の危険にもつながります。既製のすのこもありますが、介護に関してはそういった安全面などへの配慮から、各家庭の浴室の広さに合わせて特注で作るようです。我が家も事業者の方が自宅に寸法を測りに来てくださり、幅も高さもピッタリのモノを作っていただきました。費用は70,000円を最初に支払い、後日その9割が介護保険から給付されました。実質負担は7,000円程度です。

それとポータブルトイレも購入しました。これは23,000円位だったと思いますが、すのこ同様、その金額を一旦支払った後に9割の給付を受けたので、実質負担は1割、3,000円未満です。


ちきりんがイスについて「ドンキで1,980円で売ってるものと同じ」という主旨の発言をしていましたが、父の介護のときに購入していたのをずっと使っていました。前述のように要介護状態となれば数センチの差が大きく感じます。ですから、脚の高さが小まめに変えられるようになっていますし、当然浴室ですべらないような配慮もされています。


参考までにその程度の値段でドンキホーテで買えるのは以下のようなイスです。


月々レンタルしていたのは、ベッド関連、トイレの手すり、歩行器でしょうか。月2,000円で借りられました。詳細は以下です。

介護ベッド(月額1,300円・購入実勢価格20万円~) 
ベッド手すり(月額100円:定価49,000円)
・ベッドサイド柵(月額48円:定価17,000円)
マットレス(月額200円:定価44,000円)
トイレ手すり(月額204円:参考価格50,000円)
歩行器(月額150円:定価15,200円)

人的な部分は訪問看護を週2回、月1回かかりつけ医の往診、週1回整形外科で骨粗鬆症の注射(テリボン)。こんな感じだったと思います。母の骨粗鬆症は以前からでしたので、こういった事態は想定でき、そのため、父の他界後は1階が整形外科というマンションを選んでいました。

ウチの母もできれば特別養護老人ホームにお世話になりたいのですが、皆さんご承知のように大変多くの方が入所待ちをしていらっしゃいます。かかりつけ医の先生にとある施設をご紹介いただきましたが、1,200人待ちとのことでした(申請は出してみましたが…)。

今の老人保健施設に関しては、入所後約1ヶ月は個室でした。病院に入院した際に「差額ベッド代」というのがかかりますが、個室と2人部屋にはその類の費用が発生し、個室で5,000円/日、2人部屋で3,000円/日。今は4人部屋になり、その費用は発生していません。入所すれば至れり尽せりですから、私がやっていることは洗濯だけです。

2、3日おきに引き取りにいって、自宅で洗ってまた持っていく。例年5月以降は出張がちになるので、それもできなくなります。そういった場合は施設にお願いすれば月4,000円程度で洗濯していただけるとのことです。その施設は元々住んでいた家からひと駅しか離れていませんが、施設に歩いていける距離に私も引っ越ししました。

ちきりんは知ったかぶりですが、一方、似非専門家の代表、自称保険コンサルタントの後田さんは適当(どちらも無責任)。先日相変わらずの「民間介護保険なんか不要」という主旨の記事を掲載していました。私も確かに「これ!」という商品がパッと思いつく訳でもありませんが、要・不要を決めるのは本人(家族)です。

「介護状態というのは、こんなことが想定される」「民間の保険商品はこんな感じ」という議論を端折って「不要」と決め付けることなど言語道断。自称にしても保険コンサルタントを名乗る資格も資質もあるとは思えません。後田さんなど所詮は思考停止して、考えることを放棄しただけです。「確率が低いから不要」で切り捨てておしまいなのですから楽な仕事です。しかし、困った人の不安は解消しません。

確率1ケタでも頼りたい? 要介護に備える保険

このように、介護に関しては圧倒的に情報が不足しているので、まずは実態がよくわからないということではないでしょうか。私は母の自宅介護に関しては、父もお世話になったケアマネージャーさんに全面的にお任せしていました。我が家のことを親身になって考えてくださり、施設入所に関してもアドバイスを頂戴し、いくら感謝しても足りないくらい感謝しています。反面、FPの介護に関する役の立たなさも実感し、大変勉強になりました。

これは単なる一例です。世の中には私なんかより大変な方はたくさんいらっしゃいます。ですが、こういった情報が共有されていないので、ちきりんや後田さんのような知識不足の連中が偉そうにできるのではないでしょうか。我が家のケースが1軒で構わないので別のご家庭のお役に立てればと思い、恥を忍んで私的なことを書きました。

そんじゃーね。