たかが便秘、されど便秘 その2 | 春月の『ちょこっと健康術』

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おはようございます ニコニコ


昨日の続きです。便秘の話をいずれ書きますね…と言っていたのは、「身体の反応を大切に」 の記事でした。このときに、「直腸がいじけて」習慣性便秘になる話をちょっとだけ書いておりました。


私たちが食べた物は、口→胃→十二指腸→小腸(空腸・回腸)→大腸(上行結腸・横行結腸・下行結腸・S字結腸・直腸)の順に進んで、消化され、栄養素と水分が吸収されて、残ったものが便として肛門から出ていきますよね。つまり、便は残りかすであり、からだに必要ないもの。そんなものを長く体内にとどめておく便秘は、からだにとってやはり負担となるはずです。


大腸は、消化・吸収の最終工程で、便をつくる場所です。小腸から大腸に送られた食物は、水分が90%あって、ドロドロの状態。大腸を通過する間に、水分が吸収され、100兆個もの腸内細菌の働きで発酵され、次第に便としての形を成していきます。そして、便が直腸にある程度たまると、便意を感じるようになっています。


「たかが便秘、されど便秘 その1」 でみていただいたように、常習性便秘には3種類あります。このうち、弛緩性便秘と習慣性便秘には食物線維が効果的であるけれど、痙攣性便秘には不溶性食物線維は逆効果であることは、『養生訓』の 「便秘を防ぐには」 に書いたとおりです。


一般に食物線維は便秘にいいと聞きますが、すべての便秘にいいわけじゃないんですね。その違いはどこにあるのでしょうか?それぞれのタイプがどういうもので、日常生活の中で何に気をつけていけばいいのか、タイプ別にみていきましょう。


1 弛緩性便秘(結腸性便秘)


結腸の緊張が足りない、すなわち結腸が弛緩していて、蠕動(ぜんどう)運動が弱いために、便を押し出せない状態。つまり、直腸だけでなく、結腸にもとどまる時間が長いために、便の水分が必要以上に減って、便がかたくなり、ますます排便しづらくなります。腸管移送時間遅延型便秘ともいいます。


原因: 腹筋力がないために、腹圧をかけにくい。内臓下垂がある。病気やけがで体力が衰えている。

特徴: 女性に多い。若いころから継続する。からだがだるい、手足が冷えるなどの症状を伴うことがある。

対処: 腹筋をきたえる。運動する。冷やさない。

     食物線維と水分をきちんととる。腸内の善玉菌を増やす。


2 習慣性便秘(直腸性便秘)


正常な排便反射が起こらない、つまり直腸の感度が鈍くなって、便意を感じなくなっている状態です。直腸に便がたまります。左下腹部を押すと、ゴロゴロした触感があります。弛緩性便秘と同様に、便がかたくなって、排便しづらくなります。


原因: 便意があってもがまんすることが多い。便秘薬や浣腸の誤用・乱用。

特徴: 朝食抜きの人に多い。悪化すると、痔が出たり、体臭が気になったりする。

対処: 朝食をとる。決まった時間にトイレにすわる。便意があったらがまんしない。下剤や浣腸をやめる。

     食物線維と水分をきちんととる。腸内の善玉菌を増やす。


3 痙攣性便秘(過敏性腸症候群便秘型)


弛緩性便秘とは逆に、結腸の蠕動運動が強すぎるために起こるものです。結腸の一部が痙攣(けいれん)を起こして、中がせまくなっているために、便が通過しにくくなっています。便意があっても、なかなか便が出てこないで、出てくるとしてもコロコロした便がとぎれとぎれに出ます。


原因: ストレスや精神的な緊張が強い。睡眠不足。疲労がたまっている。自律神経のアンバランス。

特徴: 便秘と下痢をくりかえすことが多い(過敏性腸症候群)。

対処: ストレスや精神的な緊張を解消する。睡眠をとって生活リズムをととのえる。

     水溶性の食物線維をとる。腸内の善玉菌を増やす。香辛料を控える。


食物線維は一般に不溶性のものが多く、これを多くとると、弛緩性便秘や直腸性便秘に対しては、腸への刺激となるのでいいのですが、痙攣性便秘の場合は余計につまらせることになります。なので、痙攣性便秘の方は、食物線維は水溶性(海藻類やきのこ類、こんにゃくなど)でとるようにして、ココアや豆類など不溶性はとりすぎないでくださいね。


一天一笑、今日もいい1日にしましょう。


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