オーストラリアで障がい児を育てている人、もしくは障がいのある家族を面倒見ている人以外は興味がないであろうNDISシリーズ第六弾です。
前回までの記事はこちらから・・・
④ NDISがやってくる 4 《一番最初のプロセス~申請の仕方は?》
最近FBのNDIS関連グループで読んだ質問が興味深かったです。
10歳のLD(学習障がい)のあるお子さんをお持ちのお母さん、お子さんのNDISミーティングを終えてプランを待っていたところ、NDISから手紙が届き・・・
「審査の結果、あなたのお子さんの障がいは永久的なものだという確認は出来、早期にサポートをしないと将来にわたって影響が出ることは認めますが、お子さんにサポートを提供するのはNDISの責任ではありません」
という内容が書かれていたそうです。
つまりはこの子のケースは申請自体が却下されてしまったのです。
障がい自体は永久的なものだとNDISも認めているし、年齢もちゃんと資格のある年齢です。
では、なぜこんな結果になってしまったのでしょうか?
その質問に寄せられたコメント欄をいろいろと読んでいくうちに、その謎が解けてきました。
そのお母さんはどうやらプランニングミーティングで、お子さんの学校での学習においての困難などを色々と訴えていたようです。
NDISについて考える時、忘れてはいけないことがあります。
それは、NDISは障がいのある人の日々の生活をサポートするものだということです。
オーストラリアにも色々な政府機関がありますが、それぞれ担当の管轄を持っていて、その中でサポートなどをしています。
そして、どこかの機関の担当分野は、他の機関はタッチしません。
そうしないと、いくつもの機関から二重、三重ものサポートを受ける人が出てきて、公平ではないからです。
障がいのある場合は、主に3つの分野で政府からのサポートを受けることが多いかと思います。
その3つとは、障がい福祉・医療・教育です。
例えば自閉症児なら、
スペシャルスクールに通っているかも知れません。これは教育分野。
MedicareのMental Health Planを使ってセラピーを受けているかも知れません。これは医療分野。
そして、州の福祉部門からのファンドでレスパイトサービスなどを利用しているかもしれません。これは福祉分野。
このように、ひとつの障がいでも、3つの分野からサポートを受けていたりするわけです。
先に挙げた例のLDのお子さんの場合、「学校での学習に困難があるのは、NDISじゃなくて教育分野の担当になるので、こちらは責任がありません」ということになってしまったのです。
学習障がいなだけに、「学習」にフォーカスした訴えをした結果でした。
では、どのようにすればこのお子さんはNDISからのファンドを貰える可能性が出てくるか?
お子さんのLDが、日々の生活にどのような影響を与えているか?を証明して申請すればいいのです。
これはLDに限らず、他の障がいでも同じです。その障がいによって、日々の生活にどのような困難が生じているか?と考えます。
学校での困難や問題などはNDISに訴えても管轄が違ってしまうのです。
このようにサポートの管轄が違うためにNDISのファンドが出ない例は他にもあります。
例えば、障がいの為に呼吸を助ける医療器具などをつけないといけない場合。これも医療の分野になるのでこの医療器具を購入するファンドはNDISから出ません。
または、iPadなどのデバイス類。
通常、楽しむために使うiPadは自分で購入するものですが、これがもし、障がいの為に言葉が出ずiPadをコミュニケーションのツールとして使うと言う場合。
これは認められればファンドが出てiPadを購入できます。
ただ、ここでコミュニケーションの目的以外のことについて触れてはダメです。
iPadは「アルファベットや数字を覚えるのに良い」などということを言うと、とたんに「教育のためのツール」となってしまいます。
NDISのファンドでiPadを申請したい場合は、それがコミュニケーションなど「日常生活をサポートする目的である」ということを証明しないといけません。
NDISではこうしたEquipment系を購入するのがFaHCSIAファンドなどよりも難しくなってると聞きます。
もしiPadをリクエストする場合は、この辺りも気を付けてプランニングミーティングに臨んでくださいね。
また例えばセラピーの費用も、Mental Health Planなどで補助が出ている分は除いてNDISのファンドが支給されます。
障がいのある本人や家族からすると、そんな境目なんてあいまいだし困ってるのは確かなんだから、どれでもいいから助けて~!という感じですけどね・・・・。
今回は、このように「このサポートはどの管轄か?」を意識して考えることが重要という話でした。
また続き書きますね☆