オーストラリアで障がい児を育てている人、もしくは障がいのある家族を面倒見ている人以外は興味がないであろうNDISシリーズ第三弾です。
前回までの記事はこちらから・・・
前回、NDISって今までの仕組みとこんな風に違いますよという記事を書きましたが、今回の内容もNDISならではの新しい考え方についてです。
今までは、障がい福祉サポートを受けるのは、例えば、
障がいがあるために
- こんなことが出来ない
- 日常生活でこういうことに困っている
- 早いうちにサポートを受けることで、将来的に必要になるであろうサポートが軽減される見込み
こんな理由でサポートが必要なんです、と認められればファンドがもらえたりしました。
また、例えば自閉症だと診断がつくと、自閉症児向けの国のファンドが一律の額で出たりもしました。
イメージとしては、障がい=出来ないこと→サポートが必要、という感じですね。
NDISは障がいのある人の人生にとって何が重要か?を考え、人生のゴールを設定し、そのゴールを達成する為にどんなサポートが必要なのか?という視点から考えていくのです。
ここで大切なのは、これは「障がいのある本人」の人生のゴールであるということ。
そして、そのゴールは一人ひとり違っていていいのだということ。
私たち一人ひとりが違っているように、人生で大切にしたいと思うものも一人ひとり違うもの。
だから、自分だけの人生のゴールについて考えるのです。
なんだか、今までのサポートの在り方と随分違いますよね!
今までは・・・・
「自閉症の診断?じゃあ全員同額の12,000ドルね。7歳の誕生日までに使ってね」
「このNPOにこういうサポ―トがあるから、欲しい人は申込みしてね」
こんな風に、すでに決まったサポートやファンドが存在していて、それが欲しければ申し込みするという形が主でした。
でもNDISは、個人のゴールを達成する為に必要なサポートを、ある意味で「カスタマイズ」できるということです。
だから、NDISではゴールを設定するってすごく大切なことになるというのは分かりますよね?
貰えるサポートの内容に直結してくるのですから。
でもいきなり人生のゴール何て言われても分からない・・・・と思ってしまう人も多いかと思います。
ゴールと言っても、日常的な小さなものでいいんです。
あなたにとって、もしくはお子さんにとって、一番大切なことは何ですか?
ある人にとっては、ソーシャルな面が大切かも知れないし、自立することが大切だという人もいるし、また別の人にとっては仕事に関することが大切かも知れない。
それぞれ違っていいし、ゴールは一つだけに絞らなくてもいいんです。
ソーシャルな面でのゴールの例としては・・・
- 家族のイベントや、マーケットなど地域のイベントなどに参加する
- 定期的に外出して、色々な人と会う機会を作る
- すでに参加しているサポ―トグループ・クラブ活動などに引き続き参加する
- 一人で外出できるようになる
- 周りに頼らないでもっと自分で身の回りのことが出来るようになる
- 料理が出来るようになる
- ビヘイビアが大変で連れて行くのが大変だから?
- 体に不自由があって自力で移動できないから?
ビヘイビアが大変で連れて行くのが大変な場合
→ 一緒に外出してくれるサポートワーカーが必要、
もしくはビヘイビアセラピーなどでビヘイビアの改善が必要
体に不自由があって自力で移動できない場合
→ 目的の場所まで連れて行ってくれるトランスポート専門のサポートワーカーが必要
現地では車いす、電動スクーターやウォーキングフレームなどが必要
さらに車いすごと乗れるような車の改造が必要
こうやって考えていけば、自然と必要なサポートは浮かび上がってきますよね。
大切なのは、これは障がいのある本人のゴールであり、サポートであるということ。
お子さんの場合はもちろん親御さんが代わってミーティングに出席して、お子さんのゴールや必要なサポートについてプランナーと話し合うことになると思いますが・・・
その場合も、あくまでも「お子さんの人生のゴール」であり、親の視点から「私の息子のゴールは・・・」といった書き方はしないということです。
また、親が休息を取る、などということも「障がい者個人のゴール」ではないのでこの場合は含まれません。このことについてはまたそのうち書きますね。
プランニングミーティング当日に、慌てて「息子の人生ゴールって何だろう?」と焦って考えるより、事前にこういったことを少し自分でまとめて準備しておくとスムーズにいくし当日慌てずにすむかな?と思います。
ということで、このゴール設定の考え方はNDISの大きな特徴ですね。