日本が米国に戦争で敗れた時、かつて帝国海軍が誇った戦艦群の中で稼働可能な状態で唯一残ったのが、この戦艦「長門」です。戦時中に竣工した大和・武蔵が軍事機密として秘匿された事もあり、当時の一般国民の知る帝国海軍のシンボルはこの長門でした。
長門は現在、南太平洋・ビキニ環礁の水深約30~50mの海底に眠っており、この付近は有名なダイビングポイントになっています。ネット上にはダイバー達が撮影した同艦の写真が数多くアップされているので、そこから拾ってみます(水中写真引用:「HIJMS Nagato-Bikini Atoll 2005」より)。

 

艦橋部分

 

 

スクリューの巨大さがよく分かります
 

41cm主砲

 


長門の竣工は1920(大正9)年。
同じく長門型戦艦2番艦として建造された「陸奥」と共に、大型戦艦として当時、「世界のビッグ7」と呼ばれ、大和型戦艦が就役するまで陸奥と交互に連合艦隊旗艦を務めて来ました。

 

昭和12年の長門 (Wikipediaより)


しかし大和同様、英米軍との戦いでは艦隊決戦の機会はなく、昭和19年10月のレイテ沖海戦以降は燃料不足により外洋に出る事なく、横須賀で終戦を迎えています。

 

終戦時の長門 (Wikipediaより)

 


 

米軍に接収された長門は、翌年のビキニ環礁における核実験の標的艦となり、1946年7月のベイカー実験で爆発から4日後に海底へと没しました。

 

キノコ雲の根本左部分に映っているのが長門 (Wikipediaより)


冒頭にも書いたように、現在長門が眠る地点はダイビングポイントとなっていますが、放射能の影響を考えて艦体に直接触れる事は許されていないそうです。
また、実験で沈んだため、艦と共に命を失った人がいない事は幸いと言えるでしょうかね。

 


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