『懐疑論者の事典』と並んで@阪大図書館 | ほたるいかの書きつけ

『懐疑論者の事典』と並んで@阪大図書館

 kikulogで、『懐疑論者の事典』が阪大図書館に寄贈されたとの告知 があった。そこにつけられていたリンクの先は、阪大図書館への教員寄贈図書の一覧。なんとなく上にスクロールしていくと、どこかで見たような名前が…。

 そうです、奥健夫氏。今は別の大学に移られたが、少し前まで阪大産研のスタッフだった。

 挙がっている本は二冊。
  奥健夫(産研)
  Consciousness, life and cosmology 三恵社 2004
  Hologram of mind and life 三恵社 2005

それぞれクリックしてあげると、前者は

  Consciousness, life and cosmology : harmony of human beings and the universe = 意識・生命・宇宙論 : 人間と森羅万象の調和 / 奥健夫監修 ; 奥健夫,西脇篤史,今西貴之著

後者は

  Hologram of mind and life : spirituality encounters superstring = 心と生命のホログラム : スピリチュアリティーと超弦の出会い / 奥健夫監修 ; 奥健夫 [ほか] 著

「ほか」はすぐ下にリストがあって、
  水木太喜、井上誠哉、尾崎真奈美
となっている。

 強引に量子力学と意識を結びつけるあたりは既にご紹介したとおりだが(ここ とかここ とかここ )、今回は奥氏本人ではなく、共著者の方々をちょっとググってみた。
 …尾崎真奈美氏、なかなか強力。(^^;;

 本人のブログがある。
 心理カウンセラー 尾崎真奈美 天使語同時通訳します
うーん。(^^;;

 最新エントリ(10/31)は、クリスタルチルドレンのこと。ありゃ。クリスタルチルドレンについては、PSJ渋谷研究所Xの「○○の歌が毎日さりげなく放送される。オッケー? 」「クリスタルチルドレンとはなにか 」「クリスタルチルドレンの問いかけるもの 」あたりが参考になると思います。
 というわけでまあ見たままの内容なのだけど(本人プロフィールによると、日本トランスパーソナル学会理事、とか書いてあるし、まあアレ系の学会が並んでいる。ところで国際ポジティブ心理学会ってなんだ?^^;;)。

 ただ、一つ前のエントリがちょっと読ませる。

個と集団に対する誠実さ 」より一部抜粋。

科学主義が問題なのではない。
神秘的で目に見えないものを重んじる昔からの日本人の傾向は、どんなに表面的に科学主義に見えようとも、変化していないことは、宗教意識調査などでわかる。
ほとんどの人が非科学的な儀式などを大切にしているからだ。
信じていないなどと言いながら、従わないことに居心地悪さを感じるのは、どこか深いところで何かを感じているからに違いない。


問題になるのは、むしろ集団意識だ。
個の確立がないままスピリチュアルに行くと、仲間を見つけて安心する。
群れたがる。指導者を探す。自分の意志で行動しない。
スピリチュアルな意識が集団のものとなる。
これはうまくいくとすばらしいけれど、間違ってしまうと、相当に危ういことは、歴史が物語っている。

この問題意識は正しいと思う。必ずしも日本だけの問題ではないと思うけれども、でも少なくとも現代日本において、「自分の意志で行動しない」つまり思考停止につながり自分を集団に合わせる方向に作用している。為政者や経営者にとっては実に都合のよい思想。

 スピリチュアル内部でもこのような発想を持っている人がいるのだなあ、というのは、ちょっと安心でもある。

 ただ、私はいわゆるスピリチュアルというものは自ずからそのような思想を内包するようにできているのではと思っている。尾崎氏は、そういう「俗」なスピリチュアルから脱却すべし、ということを言いたいのだろうけど、でもクリスタルチルドレンなんか言ってるぐらいなので、御本人の意思とは裏腹に、やっぱり「俗」なスピリチュアルにとどまっているのだと思う。


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あ、『懐疑論者の事典』、こないだ入手しました。パラパラとしか見てないけど、面白そう。日本独自のニセ科学も多いので、これだけで足りるというわけではないけれども、手元に置いておきたい一冊(って上下二冊だけど)だと思います。