全てのプロダクトは見かけが美しい方が機能が高いと認知されやすく、利用される傾向にあります。
これを“美的・ユーザビリティ効果”と言いますが、この法則はプレゼンテーションであっても一緒であり、コンサルティングのプレゼンテーションが見かけにもこだわる理由はそこにあります。
(以前、コンサルのプレゼンが見かけにこだわる理由を書きました。こちら。)
もうひとつ、私がプレゼンテーションを作る際に気にしていることがあります。
それは、同じことを伝えるのであれば、可能な限りシンプルかつ簡潔に伝えるということです。
14世紀にオッカム村出身で哲学者でもあったオッカムのウィリアムと呼ばれているイギリス人がいましたが、彼が語ったとされる“オッカムの剃刀”と呼ばれている有名な原則があります。
同じことの伝達には、なるべく少ない情報や単純さで伝える方が望ましいという考えで、そぎ落とすことの重要性を強調したために“剃刀”と言われていますが、ウィリアムは多くの余計な仮定や情報があるために、同じことを伝えようとしても伝わりにくくなってしまうデメリットを何度も語っています。
プレゼンテーションにおいても同様で、同じコンテンツを伝達するのであれば、できるだけシンプルに伝達する方が望ましいわけです。
例えば、プレゼンテーションが寂しいという理由で絵を加えたり、グラフに装飾を加えたりすることはノイズを増やし、不必要な情報によって伝えたいことのインパクトがなくなり、情報の精度を毀損するため、ビジネスプレゼンテーションにとってはまさに“蛇足”だと言えます。
一番言いたいことを伝えるためには何を残し、何を削るべきか、ギリギリまで考慮することが、パワフルなプレゼンテーションを作るためには重要です。
“形態は機能に従う”という言葉を残したのは、19世紀後半の建築家であるルイス・サリヴァンの言葉ですが、14世紀の哲学者であったウィリアムは、すでにその本質を見ぬいていたと言えます。