舞台写真その5~「海を泳いだ話」と「音が聞こえてきそうな青空」~ | 舞台裏

舞台写真その5~「海を泳いだ話」と「音が聞こえてきそうな青空」~

みなさま、こんばんはベジータ


職場の方に、とある『俳優』さんの顔に「似ている」と言われたくまはちです。


一応女なのですが、男っぽいのでしょうか・・・謎です。




* * * * * * *




前回記事から舞台写真をご紹介中です。


舞台写真その1~それぞれが必要と考えるもの~

  舞台写真その2~やりたい放題の祖父と孫~

  舞台写真その3~コンピューターの故障?原因不明の停電発生~

  舞台写真その4~大きな台風の話~



今公演は一部Wキャスト。


両チーム織り交ぜながら

前半はAチームメイン、

後半はBチームメインで行こうかと思います。



というわけで、急に写真の役者がチェンジしますので

ご了承ください!


それでは、舞台写真の続きをご紹介していきたいと思いますビックリマーク


(※ネタバレ注意!)




『ザ・シェルター』


舞台写真その5




バトンを受けた「センジューロー」。

静かに語り始めます。




35年ほど昔、とある就航船に乗っていた時のこと。

台風が近づいていたものの、

足は遅いから大丈夫だろうと、船は出港したそうです。




ところが、台風の速度が早まり

あっという間に船は暴風雨に襲われました。




網棚の荷物がブウンと飛び、

太い金属の棒か何かが折れる音がして

水が吹き出し…



乗客は次々に海へ飛び込みました。

溺れないように必死に浮いていたと「センジューロー」。




海域は台風の目の中に入り、水面の波も穏やかになりました。


すると…、ずっと向こうにポツンと見えた灯。

必死に泳いで防波堤に這いあがり、人家にたどり着いたそうです。




もしあの時、灯台の灯が無ければ…。


今こうして目の前にいる人の存在を

奇跡のように感じました。



「泳げて良かったわね」「ああ」




「プールに行きたいな」


話の余韻に浸りながら、つぶやく「カノ」。



この空気を壊したくない、余韻に浸っていたい。



台風の話を通して、家族は何度も同じ景色を見ていました。


「カノ」にせかされ、「センジューロー」に乗せられ、

「センタ」は熱く語ります。


屋根に避難するほど浸水した、大きな台風の話…。



イカダを作ったり、屋根からサオを下げて釣りをしたこと。

折れたプラタナスに腰かけて食べた、炊き出しのカレーライスの味。

倒れたバックネットや松の木は最高の遊び場だったこと。


そして見上げると、音が聞こえてきそうな青空…。



すっかり子どもの頃に帰ったかのような「センタ」。




ふと、台風が通り過ぎるまで、ローソクが持つかどうか

心配する「センジューロー」。


耳をすましても、風の音は聞こえません。




台風の眼に入ったのかもしれません。




「ねえ、今は台風なの」


「カノ」がつぶやきます。





・・・・・・。



そういえば、この状況は台風ではなかったのでした!



「何とか手を打つ」という「センタ」ですが、頼りない…。

このまま入り口のドアが開かなければ、どうなってしまうのでしょう。




舞台写真その6へ続きます。


(くまはち)