DIOR HOMME 2014-15 FW !!! | ダイコ★ブログ

DIOR HOMME 2014-15 FW !!!


 昨日は東京でも雪が降るという不思議なお天気でございましたが、皆様はいかがお越しでしたか?こうやって三寒四温を繰り返しながら春へ向かうのですね。。。ってか、月末にはそろそろ桜が咲くのか。。。。なんか不思議ですね。。。



 さぁ、パリコレのリポートを続けていきましょう。今日お伝えするのはパリメンズで話題のビッグメゾン、DIOR HOMME(ディオール オム)でございますよ。会場は恒例の16区にあるテニスコート。ほんの通り1本通り先からパリの20区、中心部と言われるエリアから外れますが、地図で見ると左側、西でございまして、ブローニュの森の近くですね。


 今回、会場にはなにやらクラシカルなフローリングの床が用意されています。毎回様々に姿を変えるこのスペースですが、普段行った事は一度もありません。。。テニスもしませんし。。。。一体どんな感じなんですかね。。。


 この日のメインゲスト、ウィル・スミスを迎え、会場は一気に華やかなムードになりました。




 2014-15 FW、ディオール オムは実に端正でエレガントなコレクションを見せてくれました。クリエイティブ ディレクターのKris Van Assche(クリス・ヴァン・アッシュ)は今回そのイメージソースをこのメゾンの創設者、ムッシュ ディオールへと向けています。


 こちらのブログでも様々な情報をご紹介させて頂いているクリスチャン ディオールは、現在のファッションを語る上で必要不可欠な存在、むしろディオール=ファッションと言っても過言ではないくらい常にトレンドを生み出し、コレクションの動向は経済界にも影響し、常に注目され続けているフランスのビッグメゾンですね。もちろん、このブログの読者で知らないなんて方がいらっしゃったら、、、そいつはモグリです!!!!


 偉大なるディオールの、フランスのファッションの父、ムッシュ ディオールへイマジネーションを広げる中、クリス・ヴァン・アッシュはそのムッシュ本人のエレガントな佇まいに興味を抱きます。沢山残されているムッシュのポートレート。自身のエレガントなオートクチュールを着たエレガントなモデルの横で、きちんとピンストライプのスーツを着て時には真面目に、時には笑顔を見せるスタイルに、魅力を感じない人は居ない筈でしょう。



 まさにムッシュが愛用していたような美しいピンストライプのスーツからコレクションはスタートします。ブラックにホワイトでストライプの織りで表現されたウールは、遠目に見てもそのラグジュアリーさは一目瞭然です。こんなクラシカルなファブリックはクリス・ヴァン・アッシュのテーラリングによってコンテンポラリーなシルエットに生まれ変わります。狭めのショルダー、上品なボックスシルエット、完璧なラペルと襟のバランス、、、、そしてコーディネイトされるのはストリートなムードすら漂う、クロップドパンツです。


 ジャケットの胸ポケットからチラリと覗くのは、なんとすずらん。。。これ、刺繍です。。。すずらんはムッシュ ディオールが愛した花の一つでディオールを代表する花です。今回のインビテーションにも登場していましたし、昨年参加させて頂いたグランヴィルのミュージアムツアーの際のエクスクルーシヴなランチのテーブルウエアもこの花でした。。。しかもこの日、会場のゲストシートにも小さなすずらんのブーケまで添えられていましたよ。。。


 美しいサヴィルロウとオートクチュールがメランジェしたファーストルックから、なんだかムッシュは現代に蘇り、キャットウォークを歩いているのような、そんなムードを感じさせながら、静かにコレクションはスタートします。。。



 こちらもピンストライプのスーツですが、そこにはクリス・ヴァン・アッシュのフレッシュなセンスが取入れられます。ピンストライプの中に1本だけ太いラインを作り、出来上がったスーツにチョークで一本描いたような、コントラストになるラインを施しています。


 これ、もちろんファブリックの段階で行う作業でして、最初に生地を織った後に裁断をして行く訳ですから、一反のファブリックから生産出来る量は限られています。右前にはさらに二本のストライプが施されているため、なんともラグジュアリー。。。。


 是非全身で、ジャケットとパンツのストライプの位置を合わせて、アーティスティックに着て頂きたいルックですね。。。



 ファーストルックのジャケットの胸元にエンブロイダリーで表現されていた、すずらんのモチーフのように、今回はムッシュ ディオールが愛した様々なアイコンが実にチャーミングにウエアに落とし込まれます。こちら、ドットに目えますが、これ星のモチーフなんです。。。しかもエンブロイダリー。。。。


 星のモチーフもディオールでは度々登場する大切なアイコンで、これはムッシュ自身のあるエピソードとリンクしています。ムッシュはある日ブランドを創設するための資金援助の為にマルセル・ブサック氏という大富豪の元を訪れます。行く途中、ムッシュは道路でつまずきますが、それがこのスター。。。これは元々馬具のパーツの一つで、星の形をしているそうですで、ムッシュは何を思ったかそれをポケットに入れマルセル・ブサック氏の元で自分の熱い想いを語り、めでたくメゾン創設となったそうです。。。小さなエピソードから巡り会った星形の馬具のパーツは、ムッシュのジャケットのポケットの中で本当のラッキースターになった訳です。


 このスターは表参道や銀座のディオールのブティックの屋根の上で、今でもこのメゾンを見守りながら光輝いています。。。お近くにお寄りの際はチェックしてみて下さいね。
 



 はい、、、ほんとこのメゾンのやる事と言ったら、、、、鼻血が出そうな程ラグジュアリー。。。。こちら、スーツの後に続くコートのシーンで登場したファーのコートです。。。かなりビッグシルエットで仕立てていて、2m級のモデル君が着てこのバランスです。後ほどre-seeの際に袖を通させて頂きましたが、正直、このまま死んでもイイ!と思ってしまいました。。。。


 スーツにコーディネイトしてるのもなんともエレガントで、個人的にこういう王道のクラシカルスタイルは大好物でしたね。。。ヨーロッパの冬のパーティー等、ほんとに素敵なムッシュがこんな姿で登場するんですよね。。。黒塗りの車で。。。withもちろん美女。。。


 こちら、表はブラックでシックに仕立て、内側にゴージャスなファーを使ったアイテムも登場していましたね。そちらもオーバーサイズでしたので、ファーの分量はたっぷりで実にラグジュアリーでしたね。


 他にもスーツと同じファブリックで仕立て、ビジネス等にも使えそうなアイテム等、今シーズン、コートはバリエーション豊富に登場していましたよ。




 現在ではビジネスマンくらいしか常にキチッとスーツを着て、タイを絞めるというスタイルはあまり街中でも見る事が無くなりましたが、ムッシュが活躍した50年代は、紳士はプライベートでもきちんとスーツを着るのは鉄則でした。


 そのクラシカルな時代、男がちゃんと男だった時代にコンシャスして、スーツスタイルとホワイトシャツにタイというエターナルなルックが実に素敵だった今回でしたね。


 こちらもその制限されたデザインの中に、複雑なテクニックを施したルックで、幾つかの種類のピンストライプをパッチワークしていて独特ですね。左右アシンメトリーに配置されたストライプは、バイカラーを用いラインを強調した物や、織りのみで表現した物等、ファブリックのマテリアルや光沢の違いを細かく計算して、ジャケットとパンツに配されます。


 注目して頂きたいのが、左身頃のウエストのポケットのフラップ。。。身頃をパッチワークしているため柄合わせをしているのですが、前立て側のギリギリの部分に一本だけ引っかかる強いストライプも柄合わせしています。はい、小さなフラップにまでパッチワークしています。。。。。こういうディテールはさすがクチュールメゾンならではで、個人的にはアガりまくりですね。。。
 



 50'Sの時代、スーツが男性の一般的なスタイルだったとしたら、現代において男性のエターナルなファッションの一つがデニムではないでしょうか?今回実にユーズフルなデニムのアイテムが沢山登場したのも注目でしたね。


 こちらはピンストライプのスーツ上に羽織ったコートで、デニムでダッフルとはあまり見ないデザインで新鮮でした。フードやポケットのディテールは実にこのメゾンらしくエレガントに整理され、トグルのディテールもチャーミングでしたね。


 この丁度良い感じにウォッシュをかけたデニムが沢山登場し、後ろのルックのようにスーツの中にジレとしてコーディネイトしたり、もちろんディオールのエレガントなブラックスーツにデニムパンツをコーディネイトしてるルックなんかは、ほんと鉄板でしたね。。。




 ミリタリーのアイテムもいろいろ登場して素敵でしたね。デニムと並んで男子的にはお馴染みの取入れ易いアイテムですね。カーキをベースに使ったフライトジャケットは今回日本製だそうで、こちらなんかはすぐにでも着れそうなフレンドリーなアイテムなのに、フードのファーや端正な仕立てがエレガントです。


 こちらは内側にダウンを使い、防寒的にもバッチリなアイテムですが、インナーにブラックのウールを用い、モッズコートとしても有名な、M51のデザインをアレンジした物も登場し、どちらもやはりスーツにタイのコーディネイトで取入れていたのが、伝統的なハイエンドとストリートのハイヘンドをクロスさせていて素敵でしたね。。。



 ミリタリーウエアに見られるユーズブルなポケットのディティール等も今回フィーチャーされていて、カーキのカラーでポケットだけブラックジャケットのスリーブに施された物や、ジャケットの上に羽織るジレ等でも登場し、ユニークでしたね。


 こちらはラグジュアリーなウールのファブリックで仕立てたジップブルゾンに、ミリタリーテイストのポケットのデザインが施されていますが、なんと前身頃に6個も、、、もう、バッグは必要ないですね。。。しかも6個の付けているのに実にスタイリッシュで、こういう所にもクリス・ヴァン・アッシュのバランスの良さが感じられますね。




 コレクション後半はムッシュ ディオールを物語る上において欠かせない、Haute coutureテクニックを施したアイテムが登場します。こちらはファーストルックで登場したすずらんのエンブロイダリーを、ピンストライプのジャケット全体に施したアイテムで、実はこちらパンツもあります。。。


 すずらんはムッシュが愛した花であると同時に、ラッキーフラワーでもあったそうです。実際にすずらんのモチーフを飾ったドレスを幾つか制作していますが、それは『身震いのするように』緻密にドレスに刺繍されたそうです。すずらんの花の色、ホワイトはムッシュにとってスペシャルな色で、何度と無く特に可憐に、繊細にソワレ等に扱われていますし、1956年にムッシュ自身がプロデュースした香水、ディオリッシモの香りもこの花が使われとても、縁の深い花となっています。


 ピンストライプとコーディネイトされたエンブロイダリーはやはりウィメンズと比べて、フラットなテクニックで施されていますが、とてもナイーブなムードを醸し出し魅力的でしたね。。。


 あっ、私が着るとナイーブさ0ですね。。。しかも私、巨乳なんでなんだかスペインの極悪オヤジみたいになりますが、実際はもっとセンシティブな感じになりますのでご安心を!!!




 クチュールメゾンとしてのアイデンティティーを感じさせるアイテムはアクセサリーでも登場し、コレクションを華やかにしていましたね。こちらのスニーカーにはドッドのパターンがエンブロイダリーで施してありましたよ。トレンドのスニーカーもディオール オムの手にかかるとなんともエレガントで、このテクニックを施したクラシカルなレーザーソールのレースアップ等もありましたね。個性的なスーツ等とコーディネイトされて、足元に軽さを演出していました。


 スニーカー好き、バイカラー好きの私的には。。。。。もう、溜まらんアイテムですね。。。



 はい、どんどん続きます。こちらもHaute coututeのテクニックをサヴィルロウ的に表現した素敵なルックで、遠目に見るとスタイリッシュなドレススーツに見えますが。。。。


 ジャケットのピンストライプはなんと刺繍。。。少し太めの光沢の美しいゴールドの糸で規則的に施されていて、触ると刺繍ならではのテクスチャーが感じられます。インナーにコーディネイトしたシャツには、同じくゴールドの糸でローズのモチーフのエンブロイダリーが施されています。メンズウエアに刺繍を取入れると大災害になる事が多いのですが、綿密に考えてデザインされている為に、クールで素敵でしたね。。。




 こちらはローズモチーフをジャカードで施したニットで、グラフティのようにデフォルメされたパターンがアーティスティックな印象でしたね。


 ムッシュが幼少期を過ごしたグランヴィルの邸宅の庭には、ムッシュのお母様が大事にしていたバラ園があり、去年訪れた7月には、沢山の種類の薔薇が咲き乱れていて、夢のような情景でした。小さい頃からその美しい色や花びらのディテールも観察し、甘い香りを堪能し、クチュリエとなったムッシュにとって、バラは永遠のモチーフであり、パリのアトリエにも常に絶やさず飾っていたそうです。


 現在、ディオール ファイン ジュエリーのクリエイティブ ディレクターを務めるヴィクトワール・ドゥ・カステラーヌもその意志を受け継ぎ、ジュエリーでも何度も登場し、常に人気を集めています。


 そんなディオールの象徴とも言えるバラをクリス・ヴァン・アッシュが手がけると、、、しかもメンズウエアで、、、、なるほど、こういう洗練されたテイストなんですねぇ~。。。 



 今回、アクセサリーでも登場しているムッシュが愛したラッキーモチーフですが、レザーのウォレット等にも登場していて気になりましたね。スター、ハート、クリスチャン ディオールのエンブレム、ムッシュのレリーフ等、ラッキーアイテム全部盛りのご利益ありそうなチャームが素敵ですね。。。財布って事はお金もガッポガッポですかね。。。失礼!お里が知れる!!!

 
 このチャームはカフスボタン等のホワイトメタルのジュエリーでも登場していて、結んだタイのノット上に飾るカラーアクセサリーや、すずらんのブーケを立体的に作り、そこにラッキーチャームを飾ったブローチ等も素敵でしたね。スーツにプラスして、自分らしいスタイリングを楽しめるアクセサリーは、次シーズンは話題になりそうな可愛らしさでしたよ。

 



 はい、図々しくラストルックも袖を通させて頂きました。。。。こちらは先ほど登場したグラフィカルなローズのモチーフを、大胆にオーガーサイズのコートに施したアイテムで、かなりインパクト大なアイテムでしたね。。。


 ベースのストライプもそうですが、バラのモチーフはなんとニードルパンチ。。。手仕事の温もりが感じられつつも、スタイリッシュにまとめられたオシャレなコートです。このニードルパンチのバラのアイテムは、他にジャケットに1個、もしくはいくつか配されたアイテム等もあり、男らしくバラを身にまとうエレガントなアイテムが素敵でしたね。。。


 



 若いクリス・ヴァン・アッシュにとってディオール オムのクリエイティブ ディレクターを務める事は、このメゾンの伝統と最高のテクニックを学ぶ事でもありました。世界中が厳しい目を向ける、最高でなければならないこのメゾンのコレクションをクリエイトする事は、毎回想像を絶するプレッシャーでしょうが、その嵐の中で確実に結果を出して来た彼は実に素晴らしいですね。。。


 クリエイションを進める中で恐らく彼は、イマジネーションの中でムッシュと対話を続けて来た事でしょう。いつしか想像はまるで彼のすぐ側に、今でもムッシュが居るようなそんな錯覚すら覚えているのかもしれません。対話は新しいコミュニケーションツールとなり、まるでクリス・ヴァン・アッシュの身体を借りて、ムッシュ自身がクリエイトしているような、そんな不思議な感覚を覚える程、今回のコレクションは実にムッシュらしい、素晴らしいものでしたね。




 いつも以上に遊び心に溢れたコレクションです。基本がきちんとしているからこそオリジナリティ溢れるスタイルを取入れる事が出来る訳で、バックグラウンドがあるからこそスタイリッシュに着こなせる訳です。。。


 いやぁ、、、、中身が無いと似合いませんよ。。。。そして、中身が無いと、とっても残念な結末を迎えそうですね。。。ムッシュ ディオールとクリ・ヴァン・アッシュがタッグを組んだこのレベルの高い挑戦状。。。。受けて立つには申し分のない2014-15 FWシーズンになりそうですね。。。。




 最後にプレスリリースに記してあったクリ・ヴァン・アッシュ自身の言葉を残して、本日のリポートを終了したいと思います。



「あらゆる意味において、男性とは何か、個性とは何か“ディオール オム”を象徴する男性とは何かを考えています。個性や、ユニークな感覚、真のラグジュアリーとは何かという点に、あらためて注目したかったのです。」




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 2014 SS Christian Dior PARIS Prêt-à-Porter COLLECTIONはこちらからどうぞ。
 東京で開催された2014 SS Prêt-à-Porter COLLECTIONのリポートはこちらからどうぞ 

 2013-14 FW Christian Dior PARIS Haute Couture COLECTIONのリポートはこちらからどうぞ。


 2013-14 FW Dior FINE JEWELRY @PARIS Haute Couture COLECTIONのリポートはこちらからどうぞ。
 


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 今回のリポートしたChristian Diorの素敵なお話も掲載されている私の初の著書、『ブランドパスポート』は、現在絶賛発売中です。シグネチャーのバッグのMISS DIOR、バージャケットのお話等も楽しめます。


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