2012.3.15参議院予算委員会
自民党の丸山和也議員の質問と玄葉光一郎外相の答弁。
丸山議員の質問は短くまとめ、玄葉外相の発言は忠実に起こした。
http://www.youtube.com/watch?v=01g7jcxlYI0
18'25"までがこの話題。17'50" 以下は省略した。
丸山和也議員
「最近日本の国益が問われている事案が多いと思う。たとえば、一昨年の尖閣事件、外国人あるいは外国による土地取得、ロシアの北方領土をめぐる動き。国益を守るという点から、土地問題について質問したい。報道によると、中国が総領事館拡充のために新潟市中央区の県庁近くに、約1万5千㎡の民有地を取得したということが報道されているが、これは事実か?」
玄葉光一郎外相
「はい。今、丸山委員がおっしゃいましたように、在新潟中国総領事館は、昨年12月に新潟市内の民有地を購入したと、いう風に承知をしております。」
丸山「どういうふうに考えているか、思われているか。」
玄葉「今ですね、領事関係のウイーン条約というのが、ご存知のようにございますけれども、その中のですね、第55条。これに領事機関の公館は、領事任務の遂行と相容れない方法で使用してはならないと、いう風に規定がございますので、まず、一般論として申し上げれば、外国公館の規模について、特に、おそらく規模の問題などでですね、議論が起きているという風に聞いておりますので、まあ、あえて申し上げますけれども、一般論として、この規模は派遣国が決定するものですが、他方ですね、ただいま申し上げましたように、ウイーン条約でそのような定めがございますので、この観点から、我が方より中国側に土地の使用目的、そして広大な土地が必要な理由について、説明を求めていると、いうのが現状でございます。」
丸山「それについて回答がございましたか」
玄葉「今ですね、ちょっとこの場にどんなやり取りの詳細かというのは、持っておりませんけれども、やり取りをしているという風に聞いております。」
丸山「使用目的の他に、広さの問題もある。なぜ、これを取り上げるかというと、名古屋市においても国家公務員宿舎跡地を総領事館用地として取得を目指している、その他に民間でも日本の森林、北海道、いろんなところを民間人を通して買っているということもございます。こういうことでお聞きしているんですが。」
玄葉「はい。先ほどのですね、やり取りについて申し上げれるところを申し上げたいと思いますが、先ほど申し上げましたように土地の使用目的とか広大な土地が必要な理由について説明を求めて、これに対して中国側からは、総領事館事務所に加えて、総領事の公邸、および館員宿舎、市民との交流ができるふれあいの場、駐車場併設する旨の説明があったところであります。現在、当方よりですね、免税プロセスの中でのですね、より詳細な説明を今、求めているという状況にございます。今またお尋ねの名古屋でありますけれども、名古屋につきましては、これは中国の総領事館がですね、国有地の取得の希望を有しているということを聞いております。同取得の要望につきましては名古屋市、そして地元住民の了解を、中国側が、得ることが必要であると、いうことで、この後、手続きが進んでいないという風に承知をしております。」
丸山「中国は近いうちにGDPにおいても世界一になるのではないか。中国の広大なプレゼンスは世界の安全保障の上で非常におおきなテーマになってくる。中国のやることは非常に戦略的であり、長期的に考えてやっていると思う。・・・日本国内においてどれだけの物理的なプレゼンスを示すかということも戦略の中に当然入っていると思う。そういう観点から、外務大臣として危惧があるかないか、総理大臣の立場でお答えいただきたい。」
玄葉「外務大臣という立場でですね、お答えを申し上げたいと思いますけれども、中国とですね、どう向き合うか、特に長期的視点からですね、どう向き合うかっていうのは、日本国にとって極めて重要な大テーマであるという風に思います。おっしゃる通りですね、中国の経済がどんどん伸びている、ただそれがですね、ま、果たして順調に今後も伸びていくのかと、いうことについては、まだまだですね、わからないところがある。基本的には我々は中国の発展というのはチャンスであると、いう風に捉えて、ま、どなたかが呪文という風に話をされましたが、お互いのwin-winの、互恵的な関係を築いていく。一方で、安全保障についてはですね、ご案内のとおり、2桁の国防費の伸び、しかも内訳はよくわからない、もっと言えばですねえ、試算では、その倍の国防費ではないかという試算が、一部あるというのが現状でございますから、そういった動きに対して、しっかり注視をしながら、向き合っていく必要があると。ただ、これは隣国です、で、こういった、その、いわゆる領事館をどうするかっていうのも、その根底はですね、二国間関係を良くしていくと、いうものが根底に流れて、まさにああいった接受国の義務などを定めたですねウイーン条約などがあるわけでありますので、ま、ここはですね、今回の土地の購入の問題と、まあ、言わば、長期的な中国との向き合い方と、どこまで直接的な関わりあいを持ってですね、我々が考えていくべきかということはありますが、ただ外国人による土地取得の問題、あるいはこの、そういった問題含めてですね、広範に今後検討していくテーマになるのではないかという風には考えています。」
丸山「長期的にwin-winでやっていくんだと、言葉としてはまさにそうだと思う。しかし、なみ大抵のことで実現できない。たとえば一昨年の尖閣諸島の事件をみても、あれwin-winの関係で処理できましたか?まさに屈辱的な処置に終わってしまったじゃないですか。土地の問題にしても、不備な点は国内法の整備をするとか・・・今の内閣にそういう意向はないんですか」
玄葉「たしかこれはですねえ、おっしゃるように外国人土地法というのは大正時代にできていて、おそらくそれは政令でですね、定められることになっているものという風に記憶していますけれども、これに対してですねえ、まさに今も野田内閣の中で、内々と言いますかですね、問題意識を持って、どうあるべきなのかということについて検討がなされているというのが現状だという風に考えております。」
丸山「日本の土地取得に関しては野放しになっている。中国だけではない、韓国にある(韓国による)対馬の土地取得が非常に問題になったことがある。全般的に内閣で真剣に取り組んでいただきたい。」
玄葉「いまおっしゃったようにですねえ、たとえば公館の土地の取得の話、そしてまた広い概念でいえば、おっしゃった通り外国人の土地取得の問題、これ合わせて広く検討したら良いと思うし、検討すべきだと私も思います。で、たとえば国によっては、確かに相互主義を取っているという国もございます。あるいは事前の承認を必要とするという国もございます。我が国としてどうあるべきなのかと、しかし、合わせてですね、そのウイーン条約の精神に照らしつつですね、どうなのかということも含めて総合的に検討していかなきゃいけない、そういう風に思ってます。」
丸山「アメリカでは領事館の土地を売り渡すということをしない。日本はどうして躊躇しているのか。」
玄葉「あの、おっしゃた通りですね、いわゆる領事館、公館の土地の取得について、米国は、つまりそういう国内法を持っているということなんですね、ですからそういう国内法で規制するかどうかということです。で、現実、おそらく、私も全部の国を調べたわけではありませんですけれども、相互主義をとっているという国は、おそらく現状はまだ、非常に少ないのではないかと、それが現状ではないかという風に思います。他方、おっしゃった通り、たとえば中国の場合は、いわゆる土地の売買っていうのは基本的にできませんので、いわゆる使用権を認めるという形でありますから、そういったことについても、含めてですね、どう考えていくのかっていうことについては、確かに、今後の大切なですね、検討課題であるという風に私も考えております。」
丸山「当然、言われなくても大切な検討課題であることはわかっている。外務大臣の姿勢なり気概は特に必要。日本は気概なき国家になっている。良き日本人の気概を持たないと強大な人口、国土、軍事力を持った国とwin-winの関係なんて築けない。小さなことでも毅然とした態度で処置していかないと。気概を示してください。」
玄葉「今まで、その、外国人の土地の取得に対する日本国の考え方っていうのは、基本的にどうやって投資を受け容れるか、こういう観点、一方通行だったんだと思うんですよ、で、それが今、まさに、ほんとに党派を超えて、こういった問題に対してどう考えていくのかっていうことが問われているという風に思ってます。国益というのは領土、領海、領空、当然、国民の安全、確保するっていうのがまさに最初に来る話でございますので、そういったことに対して、気概を持って対処したいという風に考えております。」
17'50" 以下略
答弁の要約はこちら
http://ameblo.jp/consulate/entry-11201657580.html