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エリア(2);聖書における預言者(ナービー) 3-2

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 聖書における預言者(ナービー)1

 聖書における預言者(ナービー)2

 聖書における預言者(ナービー)3-1 エリア


 アハブ王の后イゼベルは謀略によって葡萄畑の所有者ナボテを殺してしまった。それを聞いたアハブは、持ち主がいなくなった葡萄畑を取り上げようとエズレルへ下った。そこへエリアが出現した。


<列王記〔ナボトのぶどう畑〕21章17-27節 口語訳>

17:そのとき、主の言葉がテシベびとエリヤに臨んだ、

18:「立って、下って行き、サマリヤにいるイスラエルの王アハブに会いなさい。彼はナボテのぶどう畑を取ろう としてそこへ下っている。

19:あなたは彼に言わなければならない、『主はこう仰せられる、あなたは殺したのか、また取ったのか』と。    また彼に言いなさい、『主はこう仰せられる、犬がナボテの血をなめた場所で、犬があなたの血をなめる

であろう』」。

20:アハブはエリヤに言った、「わが敵よ、ついに、わたしを見つけたのか」。彼は言った、「見つけました。

あなたが主の目の前に悪を行うことに身をゆだねたゆえ、

21:わたしはあなたに災を下し、あなたを全く滅ぼし、アハブに属する男は、イスラエルにいてつながれた

者も、自由な者もことごとく断ち、

22:またあなたの家をネバテの子ヤラベアムの家のようにし、アヒヤの子バアシャの家のようにするでし

ょう。 これはあなたがわたしを怒らせた怒りのゆえ、またイスラエルに罪を犯させたゆえです。

23:イゼベルについて、主はまた言われました、『犬がエズレルの地域でイゼベルを食うであろう』と。

24:アハブに属する者は、町で死ぬ者を犬が食い、野で死ぬ者を空の鳥が食うでしょう」。

25:アハブのように主の目の前に悪を行うことに身をゆだねた者はなかった。その妻イゼベルが彼をそそ

のか したのである。

26:彼は主がイスラエルの人々の前から追い払われたアモリびとがしたように偶像に従って、はなはだ

憎むべ き事を行った。

27:アハブはこれらの言葉を聞いた時、衣を裂き、荒布を身にまとい、食を断ち、荒布に伏し、打ちしおれ

て歩 いた。

聖書協会より


21:17 The word of Yahweh came to Elijah the Tishbite, saying,
21:18 “Arise, go down to meet Ahab king of Israel, who dwells in Samaria. Behold, he is in the vineyard of Naboth, where he has gone down to take possession of it.
21:19 You shall speak to him, saying, ‘Thus says Yahweh, “Have you killed and also taken possession?”’ You shall speak to him, saying, ‘Thus says Yahweh, “In the place where dogs licked the blood of Naboth, dogs will lick your blood, even yours.”’”
21:20 Ahab said to Elijah, “Have you found me, my enemy?”
He answered, “I have found you, because you have sold yourself to do that which is evil in the sight of Yahweh.
21:21 Behold, I will bring evil on you, and will utterly sweep you away and will cut off from Ahab everyone who urinates against a wall, and him who is shut up and him who is left at large in Israel.
21:22 I will make your house like the house of Jeroboam the son of Nebat, and like the house of Baasha the son of Ahijah for the provocation with which you have provoked me to anger, and have made Israel to sin.”
21:23 Yahweh also spoke of Jezebel, saying, “The dogs shall eat Jezebel by the rampart of Jezreel.
21:24 The dogs will eat he who dies of Ahab in the city; and the birds of the sky will eat he who dies in the field.”
21:25 But there was none like Ahab, who sold himself to do that which was evil in the sight of Yahweh, whom Jezebel his wife stirred up.
21:26 He did very abominably in following idols, according to all that the Amorites did, whom Yahweh cast out before the children of Israel.
21:27 It happened, when Ahab heard those words, that he tore his clothes, and put sackcloth on his flesh, and fasted, and lay in sackcloth, and went softly.
The World English Bible (WEB)より

そのとき、主の言葉がティシュベ人エリヤに臨んだ。
「直ちに下って行き、サマリアに住むイスラエルの王アハブに会え。彼はナボトのぶどう畑を自分 のものにしようと下って来て、そこにいる。彼に告げよ。『主はこう言われる。あなたは人を殺したうえに、その人の所有物を自分のものにしようとするのか。』また彼に告げよ。『主はこう言われる。犬の群れがナボトの血をなめたその場所で、あなたの血を犬の群れがなめることになる。』」

アハブがエリヤに、「わたしの敵よ、わたしを見つけたのか」と言うと、エリヤは答えた。
「そうだ。あなたは自分を売り渡して主の目に悪とされることに身をゆだねたからだ。『見よ、わたしはあなたに災いをくだし、あなたの子孫を除き去る。イスラエルにおいてアハブに属する男子を、つながれている者も解き放たれている者もすべて絶ち滅ぼす。わたしはあなたが招いた怒りのため、またイスラエルの人々に罪を犯させたため、あなたの家を ネバトの子ヤロブアムの家と同じように、またアヒヤの子バシャの家と同じようにする。』
主はイゼベルにもこう告げられる。『イゼベルはイズレエルの塁壁の中で犬の群れの餌食になる。アハブに属する者は、町で死ねば犬に食われ、野で死ねば空の鳥の餌食になる。』」

アハブのように、主の目に悪とされることに身をゆだねた者はいなかった。彼は、その妻イゼベ ルに唆されたのである。彼は、主がイスラエルの人々の前から追い払われたアモリ人と全く同じように偶像に仕え、甚だしく忌まわしいことを行った。
アハブはこれらの言葉を聞くと、衣を裂き、粗布を身にまとって断食した。彼は粗布の上に横た わり、打ちひしがれて歩いた。

アハブは時には契約絶対のイエスラエルの王のように振舞い、時にはイゼベルに言われて絶対君主のように振舞い、そして今、エリヤに律法違反を追及され糾弾されるとまた元へ戻ってしまった。
 これがイスラエルにおける王の姿である。そしてこの点で「イスラエルにおける預言者の特質」を持つ最初の預言者・エリヤは、神の命を受け、王が果たして神との契約即ち律法を守っているか否かを常に監視している『監査役』のような位置にいる。


 こうなる理由は、イスラエルの王制はナタン契約という前提に立っているということである。また、それが民の希望による必要悪のように見られていたことにもよる。

 申命記には、民が「王を立てよう」と言わない限り王はないとする理由が記されている。


<申命記〔王に関する規定〕17章14-15節・18-19節>

14:あなたの神、主が賜わる地に行き、それを獲てそこに住むようになる時、もしあなたが『わたしも周囲

のすべての国びとのように、わたしの上に王を立てよう』と言うならば、
15:必ずあなたの神、主が選ばれる者を、あなたの上に立てて王としなければならない。同胞のひとり

を、 あなたの上に立てて王としなければならない。同胞でない外国人をあなたの上に立 ててはなら

ない。

18:彼が国の王位につくようになったら、レビびとである祭司の保管する書物から、この律法の写しを一

つの書物に書きしるさせ、
19:世に生きながらえる日の間、常にそれを自分のもとに置いて読み、こうしてその神、主を恐 れることを

学び、この律法のすべての言葉と、これらの定めとを守って行わなければならない 。
聖書協会より


14:When you are come to the land which Yahweh your God gives you, and shall possess it, and shall dwell therein, and shall say, “I will set a king over me, like all the nations that are around me;”

15:you shall surely set him king over yourselves, whom Yahweh your God shall choose: one from among your brothers you shall set king over you; you may not put a foreigner over you, who is not your brother.


18:It shall be, when he sits on the throne of his kingdom, that he shall write him a copy of this law in a book, out of that which is before the priests the Levites:

19:and it shall be with him, and he shall read therein all the days of his life; that he may learn to fear Yahweh his God, to keep all the words of this law and these statutes, to do them;

 あなたが、あなたの神、主の与えられる土地に入って、それを得て、そこに住むようになり、「周囲のすべての国々と同様、わたしを治める王を立てよう」と言うならば、必ず、あなたの神、主が選ばれる者を王としなさい。同胞の中からあなたを治める王を立て、同胞でない外国人をあなたの上に立てることはできない。

 さらに一種の「律法的憲政」にもなっている。

彼が王位についたならば、レビ人である祭司のもとにある原本からこの律法の写しを作り、
それを自分の傍らに置き、生きている限り読み返し、神なる主を畏れることを学び、この律法のすべ

ての言葉とこれらの掟を忠実に守らねばならない。


 そこで預言者は、その「憲法違反」を追及しかつ糾弾すると言う姿勢になって来る。この意味で預言者は、日本の一部にある「護憲運動」ならぬ「護律法運動」の指導者のような位置にある。
 これがイスラエルの預言者の基本である。聖書にはエリアから始まりイエスで終わる様々なタイプの預言者が登場するが、この基本にはいささかの変化はない。