第1位 さようなら、ギャングたち
さようなら、ギャングたち (講談社文芸文庫)/講談社
¥1,260
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高橋源一郎『さようなら、ギャングたち』(講談社文芸文庫)
現実をそのまま写した写実的な小説もあれば、現実を独特の感覚でとらえた詩的な小説もあります。しかし、この『さようなら、ギャングたち』のように、文章のレトリック(修辞・技巧)で、現実そのものを変質させてしまったような不思議な小説は、他には見当たりません。映像化や漫画化不可能の、小説が到達した一つの記念碑的名作。
第2位 蹴りたい背中
蹴りたい背中 (河出文庫)/河出書房新社
¥399
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綿矢りさ『蹴りたい背中』(河出文庫)
クラスで浮いていながら、自分の方がみんなを拒絶していると思っているハツは、同じくクラスで取り残されているにな川に奇妙な感情を抱くようになって……。にな川を見つめるハツの心理は非常に歪んでいてうまく説明できません。そうした説明出来ない複雑な心理が、小説を読むとストレートに伝わって来るのが、何より素晴らしい傑作。
第3位 羊をめぐる冒険
羊をめぐる冒険(上) (講談社文庫)/講談社
¥500
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村上春樹『羊をめぐる冒険』(上下、講談社文庫)
背中に星型の斑紋のある羊を探すという、チャンドラーのハードボイルド(『ロング・グッドバイ』など)を思わせる物探しの物語でありながら、単なるミステリと一線を画している不思議な雰囲気の作品で、個性的な登場人物、おしゃれな会話の魅力もさることながら、現実とは違うある種の精神世界が描かれていることに圧倒される長編。
第4位 GO
GO (講談社文庫)/講談社
¥470
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金城一紀『GO』(講談社文庫)
「青春小説でおすすめは?」と聞かれたら、ぼくは迷うことなくこの『GO』をあげます。何故かって、ずば抜けて面白いから。ポップでありながらも、決して軽すぎない魅力的な文体でシリアスな問題が描かれた作品。アイデンティティに迷う在日韓国人の高校生の物語なんです。青春ならではの喜びと苦しみが紡がれていく、直木賞受賞作。
第5位 哀愁の町に霧が降るのだ
哀愁の町に霧が降るのだ〈上巻〉 (新潮文庫)/新潮社
¥700
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椎名誠『哀愁の町に霧が降るのだ』(上下、新潮文庫)
食べ物や旅を綴ったエッセイははちゃめちゃでユーモラス、私小説的だったりSF風だったりする小説も個性豊かで面白いのが椎名誠。中でもおすすめなのが友達みんなと六畳一間のおんぼろアパートで貧乏暮らしをしていた時代を描いた『哀愁の町に霧が降るのだ』。ご飯を食べる、ただそれだけで大騒ぎの、どこか懐かしい雰囲気漂う長編。
第6位 四畳半神話大系
四畳半神話大系 (角川文庫)/角川書店
¥700
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森見登美彦『四畳半神話大系』(角川文庫)
もしも違ったサークルに入っていたなら、もっと楽しい生活が遅れていたんじゃないかと後悔している大学生。やがて物語では、別のサークルに入っていた場合の、パラレルな学生生活が描かれていくことになるのですが、それがなんとも面白いのです。森見登美彦ならではの、独特のユーモラスな筆致で描かれていく四つの平行世界の物語。
第7位 鹿男あをによし
鹿男あをによし (幻冬舎文庫)/幻冬舎
¥720
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万城目学『鹿男あをによし』(幻冬舎文庫)
荒唐無稽な設定で物語を紡ぐことにかけては、右に出るものがいない万城目学。特におすすめなのが奈良にいる不思議な鹿をめぐるこの『鹿男あをによし』。夏目漱石の『坊っちゃん』が下敷きになっているので文学好きにもおすすめです。ちょっとだけリンクしている『かのこちゃんとマドレーヌ夫人』も、あわせて読んでもらいたい作品。
第8位 僕は模造人間
僕は模造人間 (新潮文庫)/新潮社
¥380
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島田雅彦『僕は模造人間』(新潮文庫)
誰かを好きになったから恋愛するのではなく、恋愛のために恋愛をし、ありのままに生きるのではなく、普通の人が生きるように生きようとする模造人間、亜久間一人の物語。三島由紀夫の『仮面の告白』や太宰治の『人間失格』など、日本文学でもたびたび取り上げられてきた自意識の問題をパロディ的に取り上げた、心に突き刺さる傑作。
第9位 博士の愛した数式
博士の愛した数式 (新潮文庫)/新潮社
¥515
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小川洋子『博士の愛した数式』(新潮文庫)
事故の後遺症で80分しか記憶が持たない博士と、幼い子供を抱えた家政婦の交流を描いた物語。ベストセラーになり映画化もされたことでストーリーだけで語られがちな作品ですが、実は小川洋子は文章が何より素晴らしい作家。美しく繊細な筆致で、独特の感覚がとらえられた、とてもやさしい、素敵な雰囲気の小説です。本屋大賞受賞作。
第10位 サマータイム
サマータイム (新潮文庫)/新潮社
¥420
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佐藤多佳子『サマータイム』(新潮文庫)
小学生の姉弟と、その夏に知り合った左腕のない男の子との交流をみずみずしい筆致で描き、童話の賞を受賞した「サマータイム」。それを少しずつ発展させた四つの連作からなる一冊ですが、詩的で、読んでいてはっとさせられる、素敵な文章で紡がれている小説なのです。気だるく鬱屈した感情が美しい文章で包み込まれた心に沁みる名作。
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