『新・人は皆「自分だけは死なない」と思っている』・その3 | くらえもんの気ままに独り言

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 今回も前回に引き続き、山村武彦氏の『新・人は皆「自分だけは死なない」と思っている』(宝島社)を取り上げたいと思います。


前回までの話はこちら
『新・人は皆「自分だけは死なない」と思っている』

その1 http://ameblo.jp/claemonstar/entry-12160893061.html

その2 http://ameblo.jp/claemonstar/entry-12160898268.html


Part3 地震に備えられない人々


 緊急時への備えが大事だということを前回書きましたが、本書によれば人間は現時点でわが身に実際に降りかかっていない危機に対して備えることができないようです。


 なぜ防災ができないのかって?

 災害の怖さをイメージできないからです。できるのは実際に経験した人くらいでしょう。


 だから、大地震に備える必要があるといくら言っても行政も個人も備えようとしないのです。というか何をどう準備すればいいのかのイメージもできないというわけです。


 そもそも人間は自分の望まないことを洞察したり真剣に考えたりしないようにするようにできているようです。本書は例としてバブル時代を挙げておりましたが、多くの人はバブルが崩壊するまで景気が悪くなるなんてことは想像だにしていなかったようです。


 国土強靭化のような防災対策が一向に進まないのにもこのような心理的要因があるのでしょうし、移民がヨーロッパなどでひどい問題になっているのにもかかわらず、その危険性が日本ではまったく考慮されないのもこういった要因があるのでしょう。そして、実際に困った事態になってから気づくというわけですね。


 そして、災害対策は誰か(たとえば行政)がしっかりやってくれるだろうという集団的心理が存在するのですが、みんなそう思っちゃうから、結局誰もやらないという事態に陥るのだと。


 つまり、「考えられない災害でした」「想定外の災害でした」というのは実際は「考えられるのに考えなかった人災」であるケースであるというのが実態のようです。


まさか、本当に○○が起こるとは思っていなかった


 なんて後悔しても後になってからでは遅いということも災害対策にかかわらず色々あるかと思われます。起こるかもしれない事態に対して、特に取り返しがつかないことになる可能性があるものに関しては、本当にそれが起こることをイメージして事前に対策しておくことが重要になるのではないでしょうか。


 さらに、いくら危機を想定していたとしても、それを上回る危機がやってくる可能性も念頭に入れておき、想定を上回ってしまった時にはどういう行動をとるべきかということもシミュレートしておくとフリーズ防止に役立つかもしれません。


 もちろん防災に関する知識も生き残るためには重要になります。(本書で紹介してあった事例では「津波」というもの知らなかった現地の人たちが、スマトラ沖地震の際にまったく逃げようとせずにのんびりしていたら津波に巻き込まれて命を失ったようです。)


 さて、本書では日本人の防災意識のなさについても指摘してあります。


 特に都市生活者においては普段から自由や安全を何をせずとも手に入る生活を送ることができますし、食料や衣服も店に行けばすぐに手に入ります。つまり、何かに対して備える必要に迫られることが普段の生活において少ないというわけです。(危機に備えるための経済的余裕がない方も多数いるとは思いますが。)


 つまり、日本における災害対策の最大の問題は災害大国であるということでもなければ、政府が国土強靭化をやらないことでもなく、日本人の危機管理意識のなさであるということのようです。


 国民の危機管理意識を育てることなく仮に政府がトップダウンで国土強靭化を進めていったとしても、想定を上回る災害が起きてしまったら、住民たちは全滅してしまいかねません。むしろ、より危機管理意識の欠如を増大してしまうかもしれません。国土強靭化を進めれば進めるほどに日本人は脆弱化してしまうというわけですね。


 国土強靭化をするのなら、日本人の危機管理意識を育てたうえで国民全体で取り組んでいくべきでしょうね。


 さらに日本人には「空気を読む」という特有の性質がありますが、この集団同調性バイアスは集団の危機回避行動を抑制します。山本七平氏によれば、戦艦大和の出撃もデータや根拠ではなく空気で決まったということのようですし、ここ数十年の緊縮財政や構造改革騒ぎも空気によるところはかなりあるのではないでしょうか。職場における会議などでも同様に物事の決定に際し、空気が優先されることはありませんか?

 空気を読むことに重点を置いて、自分や大切なものを危険にさらすというのは本末転倒です。何が大切で、それを護るためにはとうすればよいか、ということに重点をおくべきでしょう。


Part4 自分だけは逃げ切れると思っている人々


 実際に緊急事態が起こった時にとうすればいいか?

 シミュレーションではうまくできると思っていても、実際にはそのように対処できないこともよくあります。


 緊急時のマニュアルについては明確化・単純化しておくのがよさそうです。(トラブル時の最優先事項は「知らせる」だそうです。)


 また、災害時にはデマが拡散されることがよくあります。今回の熊本地震でも多数のデマがネット上では飛び交っていたようです。特に不安状態に「○○だって専門家が言ってたよ」的な信憑性のありそうな情報が結びつくと、爆発的に広がりを見せるようです。


 デマには注意して、ソースについてはよく確認する必要がありそうですね。


 さらに、不安や緊張した状況では普段何気なくやってることでもできなくなったりします。練習のときはできるのに試合だと実力が発揮できない的なものでしょうか。災害の時ほど落ち着く必要があるのでしょうね。(まぁ、実際には思考回路が正常に働かないかもしれませんが…。)


 ということで、今回のまとめ


自分のところにも大災害は起きる

防災意識が足りずに失うのは、自分の一番大切な人(モノ)

緊急時は思うとおりに動けない


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