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古典を読むと宣言しつつ、なかなか読めていないのですが(;^_^A
今回から数回にわたってカール・ヤスパースの『哲学入門』(新潮文庫/草薙正夫訳)をまとめていきたいと思います。
本書はコチラ↓
哲学入門 (新潮文庫) ヤスパース著/草薙正夫訳
http://www.amazon.co.jp/dp/4102036016/
ヤスパースはハイデッガーと並び称されるドイツの実存哲学者なのですが、本書においては彼の思索のエッセンスと「哲学すること」の意義を平易に説いてあるとのこと。
私に読みこなせるか分かりませんが、頑張って読んでいきたいと思います(^-^)/。
第一講 哲学とは何ぞや
第一講という表現からして、どうやら本書は講義スタイルで話が進んでいくのでしょうか(実際にラジオ講演だったらしいですね)。それにしても、のっけから「哲学とは何ぞや」ときましたか(^_^;)
これは楽しみですね。
哲学に関しては見解が一致しない
えΣ(゚д゚;)?
つまり、哲学とは何ぞやということに対して、統一的な見解はないということでしょうか。
哲学は科学とは違って普遍妥当的な成果を持たず、進歩発達する類の物でもないと。そして、哲学とはすべての人間が(学習や練習を経ずに)手にすることができるものであると。
さらに言うと、哲学とは根源的でなくてはならず、哲学的思惟は自分自身で行わなければならないのだと。そもそも人間とは哲学するようになっているらしいです。いつの世も子供がたどり着く疑問・・・「自分とは何か」、そして「○○って何?」という「無限の問い」の経験。
触れるものすべてが不思議で、その謎について色々考える。子供の頃にそんな経験はありませんでしたか?
もしかすると子供たちが一番の哲学者なのかもしれませんね。
年を取るにつれて「それは、そうなんだからそうなんだよ!(`Δ´)」ってな感じでだんだん思考停止になっていくものです。何にでも疑問を持っていたあの頃が懐かしい(>_<)
ちなみに子供の他にも精神病者も根源的な哲学をよくするようです。
それから、哲学は諺や世間一般の主張、そして神話のなかにもエッセンスが潜んでいます。つまり、人々は哲学することから避けれないわけです。(哲学していることを意識しないということは起こり得るのですが、哲学をしていないことにはなりません。)
哲学者とは知を愛する者とはよく言ったものです。哲学とは真理を得ることではなく、真理を探究することなのです。つまり、ゴールではなくその過程が哲学なんですね。
哲学とは何ぞや・・・ヤスパースはこう言います。
・現実を根源においてみること
・内的行為において現実をとらえること
・包括者の広い世界に対して自分の心を開くこと
・あらゆる心理の意義を通じて愛の闘争において人間と人間との交わりを敢行すること
・もっとも疎遠なものや反抗者に対しても、忍耐強く常に理性を目覚めさせておくこと
・人間が現実と関係を持つことによって、人間自身となるために必要な「集中すること」
哲学は永遠に答えにたどり着けない、この永遠にたどり着けないただ一つの哲学がいわゆる真理というものなのでしょうね。
哲学は自分で探究するしかないものですが、特にまわりに役に立つものではありません。
それでも人間は哲学せざるにはいられないのですが(;^_^A。
第二講 哲学の根源
哲学はどうやって生まれるのでしょうか。ここでは、哲学の根源的動機を3つ挙げてあります。
①驚異
驚異→無知を意識→これはなんだ?
②懐疑
複数の知識→対立→何が正しいのか?
③喪失
死・偶然・罪・世界は頼りにならない→挫折・無力感→私とはいったい何だろう?
これらの3つの動機により哲学がなされるのですが、言ってみれば人間を襲う様々な衝撃に対し、救済を求めることが哲学なのかもしれません。
しかし、これら3つの経験が哲学につながるのですが、それだけでは不十分です。
哲学の前提条件は人間と人間の交わりなのです。もし、自分しかいなければ、そこにあるのは無のみ。哲学をする意味すらありません。
人間と人間の交わりが基礎にあって初めて哲学はなされるのです。
ここで述べられた哲学の目的とは存在の覚知・愛の開明・完全な安静の獲得ということになります。
第三講 包括者
このパートは内容が難しくて私もちゃんとは理解できてないかもです(;^_^A
哲学は、何が存在するか、という問いをもって始まるのですが、何が本来的な存在か(本来すべてのものは火から生まれた、水から生まれたetc.)というのには色んな説があります。
しかし、それを客観的なものとして捉えようとすると間違いを犯してしまいます。何かを捉えようとするときに主観が客観的に捉えるように主観と客観が分裂した状態にあるのですが、主観のない客観はなく客観のない主観はないということからも、存在とは主観でも客観でもない包括者とでも呼ぶべきものなのだろうと。
存在とは包括者であるということは客観(特定の対象)ではないということ。
ある対象を思惟するということは自我(主観)と分裂していることを意味すると同時に、ある対象とその他の対象との分裂をも意味します。
対象ではない包括者について思惟することなんてできるんですかね(;^_^A?考えただけでも気持ち悪くなりそうです。
その一つの方法としては主観と客観が「分裂」しているということを意識することによって包括者を思惟する、つまり対象を思惟することで非対象のものを想定するというわけですね。対象は非対象を表す一種の暗号だということです。
包括者とは何かを直接表現することはできませんが、存在それ自身として考えられた場合は超越者(神)とか世界と呼ばれたり、私たち自身であるものとしては、現存在・意識一般・精神・実存と呼ばれるようです。
主観と客観の合一、これは神秘主義に通じるところがあります。そう言えばユングも正反対の物の統合が神話的な元型として表れていることを指摘しておりましたね。
『分析心理学』・Lecture4
http://ameblo.jp/claemonstar/entry-11950640778.html
神秘的なものについては言語によって語ることができないものです。言語によって語られた時点で主観と客観が分裂していることになりますからね。しかし、対象でないものを対象とするといことで、必然的に対象的な形態を求めざるを得ないわけですが・・・。
包括者の存在を意識することで哲学的探究が広がっていくのですが、それまでよってきた価値観の崩壊はニヒリズムを招きます。しかし、真理への到達のためには必ず通らなければならない道なのです。ニヒリズム、そしてそこからの再生、これが本来の存在へと至る道というわけです。
第四講 神の思想
ヨーロッパにおける神の思想の源泉は聖書とギリシャ哲学ですが、その超越した存在である神とはいったい何なのでしょうか。哲学者であれば、その答えを出さなければなりません。
啓示があるから神は存在するのだという考えもあれば、存在が証明されうるから神は存在するのだという考えもあるようで・・・。ただ、証明された神は神ではなく一つの事物にすぎないとも言われますが。
神の証明として宇宙(世界)論的アプローチ、目的論的アプローチなどがなされておりますが、それは神を証明するものではありません。
神とは対象ではないし、不可視ですし、推論もできません。しかし、人間が自由である時、そこに神の存在が確認されるのです。私が私自身を強制的に自由にすることはできないけど自由である、とするならば私を自由にしている存在がいる。つまり、神は存在するというわけですね。
私自身が存在していることが神が存在していることの証拠というわけです。
神はどうやら間違いなく存在するようですが、その存在を知覚することはできません。聖書にも偶像崇拝を禁じることが書かれています。神とは表象することも考えることも不可能な存在なのです。
また、聖書には神は唯一の存在であることも書かれています(もともとは異邦の神々の排斥の意でしたが)。一なるものへの集中というわけですね。そして、不可解なものは理解可能なものより上にあるということ、汝の心にあることをなせということも書かれております。
信仰とは神の存在を信じることですが、神については知らない、信じているかどうかも知らないということを認識しなくてはなりません。ややこしいですね。
神について考えることは本質的な哲学の一例ですが、本来の「哲学すること」は知の確実さをもたらさず、本来の自己存在にそれの決断の自由な空間をもたらすものだと。
「人は誰でも哲学において、彼が本来既に知っていたものを理解するのであります。(P75)」
というわけで、小難しい話が続きましたが、哲学とは何ぞやということについて薄ぼんやりですが理解できてきたんじゃないでしょうか。考えれないものについて考えるって吐きそうな作業ですが(笑)。
分かりにくかったという人のために、今回の話をかなーーり噛み砕いてまとめてみました。
・哲学は誰にでもできる。
・哲学とは真理を探究すること(その過程)。
・哲学には人と人との交わりが必要。
・哲学は衝撃により生まれる。
・本来の存在とは考えることができないもの(考えることができるものは本来の存在ではない)。
・神はいる。しかし、その正体は不明。
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