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今回は佐藤健志さんの新著であります『愛国のパラドックス―「右か左か」の時代は終わった』(アスペクト)を取り上げてみたいと思います。
本書はコチラ
愛国のパラドックス: 「右か左か」の時代は終わった
佐藤健志 著 (アスペクト)
http://www.amazon.co.jp/dp/4757223544/
本書は前半の序論の部分と後半のクエスチョンの部分に分かれているのですが、後半部分は「言志」という雑誌に過去に掲載されたコラムの再掲なので、本書のエッセンスは前半の序論の部分になるかと思います。
佐藤氏は現代日本の「戦後保守」「保守派」「リベラル」「保守主義者」を以下のように分類します。
①戦後保守(代表例:自民党)
反社会主義だが戦後レジームを保守。
規制緩和や自由化を推進したがる。改革大好き。
アメリカに協調。
②保守派(代表例:チャンネル桜)
ナショナリスティック(愛国的)で、反社会主義。
戦後レジームの脱却が合言葉。戦後について自虐的。
別名「愛国的進歩主義者」or「ナショナリズム左翼」
③リベラル(代表例:サヨク)
憲法9条崇拝。平和、平和と唱えれば、地上から戦争がなくなる気分でいる。
戦前について自虐的。
④保守主義者
古いものは大事にする。急激な変化に対しては懐疑的。
理論的に達成可能なことであっても、現実には達成不能であることが多いと考える。
完全な正しさも完全な間違いもないと考える。
上記の①~③は進歩主義つまり左翼とか革新とかいうものに分類されます。(なのに①とか②が現代の日本では右翼とか保守とか呼ばれるところにパラドックスがあるのだと。)
私自身は保守主義者でありたいものですが、「正しいと分かっていることは、とっととやれ」という立場なので完全に保守主義者とは言えないかもですが(;^_^A
あ、もちろん正しいかどうかわからないことに関してはゆっくりやるべきだと思っています。
ちなみにコレが私の保守主義観です↓
漸進主義って実は最速?
http://ameblo.jp/claemonstar/entry-11803495558.html
保守主義とはローリスク・ハイリターンな方法論
http://ameblo.jp/claemonstar/entry-11926195114.html
まぁ、詳しい話は本書に譲るとして、興味深かったのがこの一節。
「特に重要なのは、保守派の間で「疑問の余地なく正しい」とされていること、いわば「愛国の通念」とも呼ぶべき考え方について、果たして正しいのか、正しいとしてもどこまで正しいのか、疑ってみることです。(P83)」
なるほど。
とするならば、「朝日新聞」が正しい可能性、「NHK」が正しい可能性、「中国・韓国・北朝鮮」が正しい可能性、「アメリカ」が正しい可能性、「反原発」が正しい可能性、「憲法護持」が正しい可能性、「イスラム国」が正しい可能性etc.についても考慮にいれておかないと保守主義者ではなく左翼に陥ってしまうことになりますね。全てを肯定するってところが廣宮孝信氏の主張に通ずるところがありますね。
財政健全化などクソくらえだ(実践編)
http://ameblo.jp/claemonstar/entry-11929717034.html
それでは私は「アベノミクス」が正しい可能性について考えてみましょう(‐^皿^‐)。
さんざんボロクソに言っておいて今さらではありますが、私の方が間違っていた可能性も考えなくてはフェアとは言えないでしょう。
アベノミクス(死語)ってなんだったっけ?
http://ameblo.jp/claemonstar/entry-11959300105.html
アベノミクスは地獄への片道切符?
http://ameblo.jp/claemonstar/entry-11967566402.html
アベノミクスという名の治療法はどんなもの?
http://ameblo.jp/claemonstar/entry-11987728697.html
さて、アベノミクスの3本の毒矢は「リフレ」「均衡財政」「ネオリベ・グローバリズム」でしたね。
それでは1個ずつ擁護していくとしましょうか。
①リフレは正しい!
お金をガンガン発行することが可能であることを証明してくれました。これは大きい!
つまり、政府の国債発行を吸収してしまうことが可能というわけですね。
あ・・・でも、実際には国債発行を絞るんでしたね。いかんいかん。アベノミクスを肯定するので均衡財政もセットになってるんでした。
どうやって擁護しようか・・・。
投機に走って、働かなくてもお金が稼げるようになるかもよ(°∀°)b
なんか違う気もするなぁ・・・。
真面目に考えてリフレ政策をやめるデメリットはやはり、世界のどこかでバブル崩壊を起こす引き金を引くことになるかもしれないってころでしょうかね。
あぁ、もちろん金融引き締め過ぎると金利が上がって、投資が起こりにくくなりますのでダメですよ。(もともと、私は金融緩和自体は否定していませんけどね。)
でも、過剰な金融緩和を肯定するのか・・・。
うーーん。
いや・・・、過剰はよくない。
そうか!リフレは正しいと決めつけるのもいけないってことかo(^▽^)o
結論!金融緩和は適切な規模で!
②均衡財政は正しい!
正しいと決めつけるのはなんなので「均衡財政にも正しいところがあるかも!」ってお題の方がいいかもですね。
一つは国の借金が減った方がなんとなく気持ちが落ち着くってもんでしょうか?(日本経済はひどいことになりそうですが・・・。)
放漫財政は過剰なインフレを招く恐れもありますし、給付金みたいな形の財政出動は国民の勤労意欲を削ぐかもしれません。
あえて不景気にすることで国民の節約志向を高めるとか?日本は今のところ資源小国ですし。(資源開発のために財政出動してほしいところではありますが。)
やはり経済成長を低く抑えることによって、不労所得の価値を高めたいとか?
なかなかしっくりこないもんですね(;^_^A
そもそも均衡財政も放漫財政もやり過ぎるとよくないってことで。
結論!財政出動は適切な規模で!
③ネオリベ・グローバリズムは正しい!
あぁ、もう面倒くさくなってきたな・・・。
結論!適度な規制緩和と適度なグローバリズムで!
こうやって改めて見直すと、アベノミクスの3本の毒矢が毒矢たる所以は「過剰」であることですね。「過剰な金融緩和」に「過剰な均衡財政」、「過剰な自由主義」に「過剰なグローバリズム」ってわけです。
アベノミクスの3本の毒矢を真逆にしてみたところで「金本位制」「放漫財政」「社会主義・鎖国」ってわけで、こちらもメチャクチャな政策になってしまいます。(真逆なのにどっちも過剰と言う点で同じだというパラドックス!)
なんとなくアベノミクスの問題点が見えてきた気がしますね。
まぁ、現実は良い方向へ進む兆しはまったく見られませんがorz
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