写真が撮りたくなる「恋愛寫眞」 | 映画バー「銀幕酒場」オフィシャルブログ[バーの紹介とか、映画やDVDやドラマやアニメや演劇のハナシ]

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 恋愛寫眞

監督:堤幸彦
脚本:緒川薫
撮影:唐沢悟
編集:伊藤伸行
製作国・制作年:日本・2003年

恋愛寫眞 [DVD]/松竹ホームビデオ
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 ■ シナリオの緻密さは感動もの

思い出は突然やってくる……。

思い出というヤツはどうしてこんなに力強いんだろう。

決して変えることができない時間だろうか。
逃れられない過去だからだろうか。
それとも、自分の一部だからだろうか。

見終わって、はじめに思ったのは「写真が撮りたいぃー」だった。

なぜ、この瞬間にシャッターボタンを手にしていないのか、それが不思議なくらいな衝動だった。

それほど写真と一体化した映画ではないかな。

撮りたい! この瞬間を残したい! 切り取りたい!

昔、写真部にいたことあるけど、これほど“撮りたくなる”映画”ははじめて。

しかも主人公・松田龍平の持っているカメラがまた「キャノンF-1」で、実にうらやましい。

ちなみに、前半は「ケイゾク」「トリック」の堤幸彦らしいショットの連続で、広末涼子のイメージビデオという感じ(そのため批判も多いけど)。

と思っていたら、ホントの物語のキホンはサスペンスが縦軸で、そこに青春恋愛モノが横軸でからみ、まんまとハマってしまったという映画でもある。

そのうえで、雑誌「月刊シナリオ」に掲載されていたシナリオも読んだ。これがまたスゴイ。

伏線とか小道具とかの使い方がうまくて、読めば読むほど感動もの。

なにしろ、劇中でパラパラと出るだけの写真1枚1枚もちゃんとシナリオに書いてあるのだ。

ゆえにまだ見ていなかったら、雑誌「月刊シナリオ」のバックナンバーをまず読んでいただきたいです。

表面的な印象はどこへやら、より深く物語を味わえるハズ。

再編集版@あとがき

まだまだ失恋を引きずっていた頃なので、見た当時は結構泣けました。

広末涼子が料理として作った、カップヌードルのマヨネーズがけも商品化されたことも懐かしいけど、まずシナリオがよかった。

また、後半の緊張感をフラットにした大根だった小池栄子が、のちのち映画「八日目の蝉」で評価されるとは驚き。成島出監督グッドジョブ!

それと小説家・市川拓司によるコラボ書き下ろし小説「恋愛寫眞 もうひとつの物語」は、のちに、玉木宏、宮崎あおい主演「ただ、君を愛してる」として映画化。

同じ琴線がピンピンで泣けました。

市川拓司といえば、小説家デビュープロセスも興味深いし、映画「いま、会いにゆきます」も泣けましたが、愛妻家になりたい自分としてはかなりリスペクト。

特に市川拓司の「キジバトの夫婦」が泣けます。

あなたを愛するために、
ぼくは生まれてきた。
どちらかがこの星を去るまで一緒にいる、
そのおおらかな安らぎ。

全文読みたいけど、どの雑誌に載っていたか忘れてもた。
ご存じの方がいましたら、教えてくださいませ。

また、恋愛モノとしては以前載っけた韓国映画「永遠の片思い」とほとんど同じとこもあるんですよね、これ。