シネポン! vol.3 「踊る大捜査線 THE MOVIE」 | 映画バー「銀幕酒場」オフィシャルブログ[バーの紹介とか、映画やDVDやドラマやアニメや演劇のハナシ]

映画バー「銀幕酒場」オフィシャルブログ[バーの紹介とか、映画やDVDやドラマやアニメや演劇のハナシ]

映画バー「銀幕酒場」のマスターによるブログです。バーからのお知らせをはじめ、映画やブルーレイやDVDやテレビやアニメや演劇やシナリオや映画業界のお話をお届けします。

※某映画サイトで発行していた携帯メルマガ「 シネポン!」を再編集して登録しています。

今週のお題 2000/12/04
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
雨に唄えば
Singin' in the Rain(1952・米)

  ↓ ↓ ↓

踊る大捜査線 THE MOVIE(1998・日)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
踊る大捜査線 THE MOVIE [Blu-ray]/ポニーキャニオン
¥4,935
Amazon.co.jp

傑作ミュージカル「雨に唄えば」の劇中劇として「踊る騎士」という映画タイトルが出てくるんだけど、“踊る”つながりということで、今回は「サラリーマン刑事」というタイトル案もあった、あの大ヒット作です。

ふと思うに、昔のミュージカル映画のタイトルって“踊る”ってフレーズが定番みたい。

例えば「踊るプロードウェイ」「踊る結婚式」「踊る不夜城」「踊る奥様」「踊る三十七年」「インドの踊るシェイクスピア」「踊る騎士」などなど……。

どんだけ踊るねん!とツッコミたくなるほど。

まぁ、肝心の「踊る大捜査線」については、もう何の説明もいらないっすよね。

そのヒット理由として、インターネットを活用したとかで、その具体例が一冊の単行本にもなるほどだし、映画宣伝の手法について歴史的な意味を持つタイトルだと思います。

ところが、映画としての評価は賛否両論。

やっぱテレビ版の映画化ってことで、純粋に映画として見られないっていう人も多いんだけど……。

実はオープニングといい、ゴルフ場や水死体発見シーンなど、テレビと違って、カメラワークは結構映画的なとこあるんですよ、これが。

グッとカメラを引いて、風景の中に人物がいるというシーンなんて、まさに“映画”ならではの表現。

そもそも、テレビドラマと映画の最大の違いは、画面の大きさ。

そこで、テレビ=家庭芸術、映画=劇場芸術なんて区別されたりもするんだけど、映画版「踊る大捜査線」はテレビとは違った視点でカメラが動いているシーンがちょこちょことあります。

青島刑事を撮っていても、ちょっとカメラ視点を低くして、天井を写して、奥行きを見せたり……ちゃんと“映画”しているんですよー。

まぁ、そんなこんなで、演出の本広克行はホントに映画が好きな人なんだなぁと、見るたびに思っちゃう。

青島刑事と和久指導員が「セブン」のブラッド・ピット(デイヴィッド・ミルズ刑事)とモーガン・フリーマン(ウィリアム・サマセット刑事)をモデルにしているというのは有名な話で、テレビ版ではそれを思わせるセリフもありましたよね。

なんか全編映画へのオマージュにあふれている映画なんだなぁと、ヒシヒシ。

……てなわけで、次回もこの映画に関わりのあるキーワードと“秘密のつながり”のある映画をご紹介します。

ほな。


再編集版@あとがき

ただいま完結編「踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望 -」が上映中ですが、はじめの劇場版が公開された頃は、まだまだ「日本映画はつまんないから見ない」という人が多かった時代だったように思います。

宮崎駿監督の「もののけ姫」が1997年公開で、これが大ヒット。

そして、翌年の「踊る大捜査線 THE MOVIE」は公開後わずか10日で400万人を動員。インターネットを活用したプロモーションやグッズ販売などで、大成功。

ほんで、2006年には、やっと1985年以来21年ぶりに、日本映画の興業収入が外国映画を上回り、最近ではもう「日本映画はつまんないから見ない」なんて声もあんまり聞かない。

この「踊る大捜査線 THE MOVIE」が公開された頃って「ドラマの映画版なんて、テレビで見れば十分」なんて声も多かったけど、いまや「海猿」のさらなる大成功で、ドラマの映画化も当たり前。

なんだかんだと、この「踊る大捜査線 THE MOVIE」って、日本映画のターニングポイントだと思うッス。

■シネポン! 連載
シネポン! vol.1 「映画の作り方教えます」
シネポン! vol.2 「雨に唄えば」
シネポン! vol.4 「リーサル・ウェポン」
シネポン! vol.5 「フォーエヴァー・ヤング」