もしビジネスパーソンや学生さんのあなたが、後輩からこう質問されたらどう答えますか。
「先輩、ニュースでよく『〇〇が優勝したら△△億円の経済効果』とかいうのを聞きますが、どうやって計算しているんですか。」
「あんなのテキトーだよ。テキトーに考えても数字が思い浮かばない場合は、占い師のところに行って、数字を占ってもらうんだよ。」
「・・・。(一応感心したふり)」
・・・あのー、いくらなんでも占い師に聞くのはジャンル違いだと思います。
しかも「占い師」といってもピンキリで、雑誌やテレビの占いでは「××座の人は急なトラブルに注意」など、どう対応すればいいのかわからないアドバイスをしている占い師もいます。
『・・・占い師の話はそこまでにして、「経済効果」の説明をお願いします。』
結論からざっくりいうと、「経済効果」とは
「その人やモノ、現象などによってどのくらいのお金が動くか」
を数字に置き換えたものです。
具体例を挙(あ)げて、説明してみましょう。
ここに、架空のシンクタンク、ムラサメ社(仮名)があると仮定します。
ムラサメ社の新入社員、フォウさん(仮名)は、上司のナミカーさん(仮名)から、「ロンドン五輪で日本代表の選手が活躍(かつやく)した場合の経済効果」について調べるように言われました。
そこでフォウさんはまず、過去に発表されたさまざまなデータを検索してみました。
すると、ゴールドマン・サックス証券が2004年のアテネ五輪の際に、
メダル数に応じた経済成長の予測をまとめていました。
それによると、アテネ五輪で33個(金20・銀8・銅5)のメダルを獲得した場合、最大で6.4%のGDP押し上げ効果が期待できるというのです。
フォウさんはこのデータを日本に当てはめてみました。
2010年度の日本のGDPは、約475兆円です。
そして日本代表がロンドン五輪で33個(金20・銀8・銅5)のメダルを獲得し、6.4%のGDP押し上げ効果があると仮定すると、
その経済効果は
475兆円×6.4%=30.4兆円
と計算できます。
バブル全盛期の1988年でさえGDPの増加率は6.7%だったので、6.4%はかなり大きな数字です。
つまり、オリンピックで代表選手が活躍した場合の経済効果は、バブル期をも上回る可能性があるということです。
この例のように経済効果はさまざまな仮定をもとに計算されますが、
注意すべき点もあります。
それは、「〇〇億円の経済効果がある」という場合に、すべての家庭や企業、国、地方自治体に経済効果があるわけではないということです。
たとえば阪神タイガースが優勝した場合に経済効果があるのは、阪神とその周辺の企業・個人などです。
逆に、阪神タイガースが優勝したことで他球団の入場者数や関連グッズの売上が減少した場合、その球団にとっては「優勝すれば得られるはずだったお金が得られなくなってしまった」状況になります。
この状況は、(阪神タイガースが優勝したことで)他球団にとっては「経済損失」が発生した、と言い換えることができます。
つまり、ある一面から見たら経済効果になることでも、別の一面から見たら経済損失になることもあり、このことも押さえておく必要があります。
ちなみに、「機動戦士Zガンダム」に登場したフォウ・ムラサメの過去の話が書かれた「フォウ・ストーリー」という小説があります。
これはZガンダムの脚本家の1人、遠藤明範(えんどう あきのり)さんによるオリジナル作品で、
この作品では、フォウと名付けられる前は「キョウ」という名前だったり、「機動戦士ガンダム」に登場したミハル・ラトキエの弟ジルがムラサメ研究所に拾われ、強化人間の被験者(ひけんしゃ)になったという設定になっています。
(参考:平野和之/著,『斎藤佑樹選手の経済効果は34億円!?』,
ダイエックス出版,2012)
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