(ビジネス知識)急激な円高を食い止めた、「為替の協調介入」をざっくり説明したいの巻 | ちょっとの努力(仮)

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もしビジネスパーソンや学生さんのあなたが、後輩からこう質問されたらどう答えますか。


「先輩、ニュースで協調介入って言葉を聞いたんですけどどういうイミですか。」
「まあ、協調って付くぐらいだから、協調性が求められるんだよ。仕事でも協調性が重要だしね。」
「はぁ・・・(一応感心したふり)。」


とりあえず言いました、みたいな説明はやめてください。仕事の協調性の話はとりあえず横に置いといてもらえますか。


『・・・いつもとりあえずボケ・ツッコミを入れる人、説明をお願いします。』


為替(かわせ)の協調介入(きょうちょうかいにゅう)」とは、ざっくりいうと、


主要国の中央銀行が、為替相場の安定をはかるために同時に外国為替市場で外貨を売買すること」で、一国でおこなう為替介入よりも効果が高いといわれています。


以下、先週おこなわれた、為替の協調介入の経緯に沿って具体的に説明します。


3月16日夕方(日本時間17日朝)のニューヨーク外国為替市場で急激な円高が進み、円相場は一時1ドル=76円25銭という戦後最高値をつけました。


本来、巨大地震や原発事故が起こったら、日本経済の減速や財政赤字につながるため、円安になってもおかしくありません。


しかし逆に円高になった理由は、「日本の保険会社や企業が海外投資に慎重になったり、海外の保有資産を売って円に戻す」との思惑(おもわく)から買われたという見方があります(実際には、保険会社が海外資産を売る動きは出ていません)。


ただいずれの理由にせよ、この急激な円高が長く続くと、震災と原発事故の影響が憂慮(ゆうりょ)される中で、自動車などの輸出産業の業績を悪化させ、

日本経済がさらなる打撃を受ける可能性が強くなります。


日本経済の低迷は、世界の為替相場や株式市場の混乱を招き、回復基調にある世界経済にも悪影響を及ぼしかねません


そうした事態を回避するため、先進7カ国G7)の財務相・中央銀行総裁は緊急電話会談をおこない、


日本からの要請に基づき、協調介入を実施する」と言う共同声明を発表し、各国の中央銀行は円売り介入をおこないました。


G7の協調介入がおこなわれたのは、ユーロ安を阻止する目的で2000年9月に実施して以来、約10年半ぶりで、市場に大きな影響を与えるため実施には慎重な判断が必要とされます。


普段は為替政策で対立することもある国が協調して介入するので、今回の措置は特例中の特例だといえます。


「機動戦士Zガンダム」の世界でいえば、アナハイム・エレクトロ二クス社で事故が起こって危機におちいったときに、エゥーゴ・ティターンズ・アクシズがとりあえず手を組んで、アナハイム社を助けるようなものです。


『・・・今回もムリヤリガンダムを入れましたね。』


トレーダーによると、日銀だけで推計250億ドル以上の円売り・ドル買い介入をおこない、米連邦準備理事会(FRB)、イングランド銀行、カナダ銀行、欧州中央銀行(ECB)も同日、それぞれ円売り介入をおこなったことが確認されました。


野村証券の試算によると、ECBの介入額は50億ユーロ(71億ドル)相当、BMOキャピタルの試算によると、カナダ銀行の介入額は1億─1.5億カナダドル(1億0150万─1億5230万米ドル)相当とみられています。


この協調介入を受けて、円相場は翌日には81~82円台に値下がりし、

東京株式市場にも安心感が広がり、株価も大幅に値を戻しました。


ただ、この円高をさらに修正してほしい日本に対して、日本以外のG7各国が今後どの程度の円安水準を容認するかは不明です。


原発問題の収束や、日本の本格的な復興計画の策定によって、容認する水準が変わってくるのだと思います。


ちなみに現在、カリフォルニア州アナハイムに、Anaheim Electronicという名前の企業が実在しますが、ガンダム世界で出てくるアナハイム・エレクトロ二クス社とはまったく関係がありません


 

 

 

 

 

 

 

 


(参考:日本経済新聞社/編,『ベーシック金融入門<第6版>』,2009)
紹介記事へのリンク↓

http://ameblo.jp/chottonodoryoku/entry-10836285807.html


為替レートと物価の関係を説明した記事へのリンク↓

http://ameblo.jp/chottonodoryoku/entry-10822611758.html


デリバティブを説明した記事へのリンク↓

http://ameblo.jp/chottonodoryoku/entry-10807973072.html


ガンダムでビジネス知識を説明した記事へのリンク集Ⅸ↓

http://ameblo.jp/chottonodoryoku/entry-10880346700.html