やっちゃんのmy Pick
もしビジネスパーソンや学生さんのあなたが、後輩からこう質問されたらどう答えますか。
「先輩、為替の円高・円安と、物価はどういう関係があるんですか。」
「まあ、物価が高くてもオレの値切り術で安くするから、オレに円高・円安は関係ないよ。」
「はぁ・・・。(一応感心したふり)」
そんな、強引な。その結論でいいなら、今日の話が終わってしまいます。少しは円高・円安を関連させて説明しましょうよ。少しは。
『・・・いつも強引なボケやオチを入れる人、説明をお願いします。』
為替(かわせ)レートと物価の関係を結論からざっくりいうと、
一般的には、日本の物価が上昇すると為替レートは円安になります。
逆に、日本の物価が下落すると為替レートは円高になります。
以下、具体的に説明しましょう。
ここに、日本の鉄鋼メーカー、ルナツー社(仮名)に勤務する、ワッケインさん(仮名)がいます。
ワッケインさんは資材の調達(ちょうたつ)部門で働いているのですが、資材の価格が為替レートに左右されることがあるため、あらためて為替レートと資材価格との関係を調べてみました。
話をわかりやすくするため、日本とアメリカで全く同じ資材(Aとします)が、
1ドル=100円のときに、日本でもアメリカでも1個買えるとします。
その後、日本の物価だけが上昇して、日本の資材Aの価格が1個120円に値上がりしたケースを考えてみましょう。
日本では当然1個120円出さないと資材Aを買うことはできません。
一方アメリカでは今までと同じように1個1ドルで資材Aを買うことができます。
日本の物価が上昇して1ドル=100円から120円になったということは、
1ドルが100円から120円の価値に上がった、つまり、円の価値が小さくなったということができます。
いいかえれば、100円だったものが120円出さないと買えなくなったのですから、円の価値が下がったということです。
これがすなわち、円安ドル高になったということなのです。円安というのは円の価値が安くなったと覚えておくとわかりやすいと思います。
ワッケインさんが1ドル100円の時にアメリカで資材Aを買っていたら、日本では120円の価値になったため、1個あたり20円分得した(為替レートの変動による利益が出た)ともいえます。
逆に日本の物価が下落して資材Aが1個80円になった場合は円の価値が高くなる、つまり円高ドル安となります。
ワッケインさんが1ドル100円の時にアメリカで資材Aを買っていたら、1個あたり20円分損することになります。
一般的には、このように日本国内の物価が上がると円安・ドル高に、逆に、日本国内の物価が下がると円高・ドル安になります。
このような考え方を「購買力平価(こうばいりょくへいか)説」に基づいた考え方といいます。
ただ、これは中長期的な為替トレンドを説明する際によく使われる考え方で、短期的には、かならずしもこの考え方は当てはまりません。
実際に日本では、デフレによって物価が下がっていたにもかかわらず、2007年7月にサブプライム問題が露呈(ろてい)するまで1ドル=120円台という円安が続きました。
2011年に入ってから3月までは1ドル=80~85円の間で推移(すいい)していて、円高だといわれてますが、購買力平価説にしたがえば、物価が下がっている(デフレ状況にある)ときに円高になるのはある意味で正しいともいえます。
為替レートは政治に左右される部分も大きいのですが、今回紹介した購買力平価の考え方を知っておいて損はないと思います。
ちなみに、「機動戦士ガンダム」に登場した、ルナツー司令のワッケインは、テレビ版・劇場版とも階級は少佐でしたが、安彦良和さんのマンガ、「機動戦士ガンダム THE ORIGIN」では基地司令に相応の少将という設定になっています。
(参考:橘玲/著,『黄金の扉を開ける賢者の海外投資術』,ダイヤモンド社,
2008)
紹介記事へのリンク↓
http://ameblo.jp/chottonodoryoku/entry-10822935864.html
利率と利回りの違いを説明した記事へのリンク↓
http://ameblo.jp/chottonodoryoku/entry-10756686721.html
ガンダムでビジネス知識を説明した記事へのリンク集Ⅷ↓
http://ameblo.jp/chottonodoryoku/entry-10846044406.html