再び、決勝へ…。 | 元U-20ホンジュラス代表GKコーチ・山野陽嗣の「世界一危険な国での挑戦」

再び、決勝へ…。


「日本→中国→アメリカ→イングランド→ホンジュラス→ジャマイカ→パナマ→オーストリア→南アフリカ→日本→シンガポール→?」 -シンガポール杯・準決勝VS Hougang!1



 筆舌に尽くしがたい、壮絶な試合でした。正に、「死闘」…。



 「アルビS創設以来、初のタイトル獲得」を成し遂げた「リーグ杯優勝」から、約2ヶ月。今季2つ目のタイトル獲得に向け、「シンガポール杯」の準決勝・第2戦を昨夜、戦いました。



 1回戦は3ヶ月前に行われ、世界クラブ選手権にも出場した事のあるオーストラリアの名門サウス・メルボルンに「3-0」で完勝


 続く準々決勝から、「ホーム&アウェー」方式(「アウェーゴール2倍」ルールは無し)。相手は一昨年まで「Sリーグ4連覇」の強豪SAF。アウェーでの初戦は前半に退場者を出す苦しい展開ながらも、何とか相手の猛攻を凌ぎきり価値ある「0-0」引き分け。…ホームで迎えた第2戦は、点の取り合いの末、「2-2」同点からのPK戦勝利


 準決勝の相手は、「リーグ杯・決勝」でも対戦した因縁のHougang。ホームの第1戦は前半に幸先良く2点を先行しながらも、その後、まさかの2失点で「2-2」の引き分け…。

 そして昨日。迎えた「準決勝・第2戦」。アウェーゴール2倍ルールは無いので、勝った方が問答無用で<決勝進出>。我々の力を発揮できれば勝てると信じていましたが…これまでの対戦でも格闘技まがいのラフプレーや、不可解な判定で大いに苦しめられてきたHougangとのアウェー戦…。やはり、一筋縄ではいきませんでした…。

 前半終了間際の44分。FW井畑翔太郎の素晴らしいヘディングで先制点を奪ったアルビSでしたが、その後は想像を絶する試練の連続でした。

「日本→中国→アメリカ→イングランド→ホンジュラス→ジャマイカ→パナマ→オーストリア→南アフリカ→日本→シンガポール→?」 -シンガポール杯・準決勝VS Hougang!4



 まずは後半開始10分に、謎の判定からPKを取られてしまいます…。不穏な空気に包まれますが、この絶体絶命の大ピンチをGK松下泰人がスーパーセーブ!!

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 度重なる「謎の判定」、そして相手の悪質な反則に苦しまされながらも、どうにか1点リードを耐えて守って「1-0」で迎えた、後半終了12分前…。

 またしてもアルビSのペナルティエリア内で、審判の笛が鳴る…。ゴールまで「3m」の距離でFKを与えると、これを相手に決められ勝利目前の試合終盤に悪夢の同点ゴールを奪われる…。「1-1」…。2試合合計スコア「3-3」の同点で延長戦に突入…。

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 迎えた延長前半5分。決して心が折れないアルビSは、怪我から復帰のFW斉藤陽介が、途中出場から見事なゴール!!「2-1」!!再び勝ち越しに成功!!

 このゴールで勝負は決まったかに思われたが…。「死闘」はまだまだ、終わらなかった…。

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 この日、何度目か分からない「試練」が、またしてもアルビSに襲いかかる…。何と、先制点を決めたFW井畑翔太郎が、このゴールの僅か3分後に1発退場!!報復行為という事なのだが、翔太郎に悪質なファールをしてきた相手選手は、なぜかイエローカードで済んでいる。何で翔太郎だけが退場なのか!?

 想像を絶するに過酷な展開が続く中、ここにきて、さらに10人で戦うハメに…。それでも、全員で勝利を信じて戦っていたが…。

 延長後半10分。「2-1」と1点リードで迎えた試合終了5分前…。勝利を十中八九、手にしていたアルビSに、またしても…またしても悲劇が…。

 CKのこぼれ球から、相手選手の強烈なシュートがアルビSゴールに突き刺さってしまう…。

 「2-2」…。あと少しというところで、勝利が手元からこぼれ落ちてしまう…。あまりにも信じられない展開の連続に、茫然自失のアルビSの選手たち…。


 しかし、この日のアルビSは、何があっても心が折れませんでした。


 数的不利ながらも、最後の気力を振り絞って攻めるアルビS…。

 悲劇の失点から、2分後…。試合終了、3分前…。

 延長前半に「2-1」となる勝ち越しゴールを決めたFW陽介が、再び「同級生」MF下野淳のアシストから、魂のゴール!!「3-2」!!この日、3度目のリードを奪う!!

「日本→中国→アメリカ→イングランド→ホンジュラス→ジャマイカ→パナマ→オーストリア→南アフリカ→日本→シンガポール→?」 -シンガポール杯・準決勝VS Hougang!8



 ゴールを決めた斎藤陽介が、感極まってピッチに倒れて泣き崩れます…。この感動の1撃が「死闘」に幕を下ろしました!!アルビS「3-2」でHougangを下す!!正に魂の勝利!!今季2度目の<決勝進出>じゃ!!






 度重なる相手の悪質な反則と、審判の不可解な判定、そして悪夢の失点…想像を絶する困難の連続の中でも、選手、スタッフ、オフィス、サポーター、スポンサー…全員が「勝利」を信じて、最後の最後まで心が折れる事なく、戦い抜きました。これぞ、「チーム一丸」の勝利です。アルビSに関わる全ての人が一体となって、また1つ大きな壁を乗り越えました。


 しかし、我々は<決勝進出>だけでは、当然ながら満足していません。


 今年は、獲れるタイトルは全部、獲る。「3冠制覇」を目標に掲げています。そして我々にはその力があると信じている…。

 冷静にこの日の試合を振り返れば、反省点も数多くありました。裏を返せば、我々はもっともっと強くなれる。この日、出た「改善点」をしっかり克服し、さらに成長していかなければなりません。立ち止まってる暇は無い…。

 <決勝戦>は11月。相手は大学サッカー部時代の1つ上の先輩アラケンさんの所属するHomeU。こうして異国の地の大舞台で、大学時代の偉大な先輩と対戦できるなんて本当に光栄ですし、こんな豊かな人生を歩める事に大きな幸せを感じています。

 これからも「アルビレックス新潟シンガポール」の応援、何卒よろしくお願いします!!


 ありがとうございました!!



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