『ラッシュライフ』  井坂幸太郎 | ページをめくった先に広がる世界と解け合う心

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ラッシュライフ (新潮文庫)/伊坂 幸太郎
¥660
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***この本は2009年8月に読了しました***

泥棒を生業とする男は新たなカモを物色する。父に自殺された青年は神に憧れる。女性カウンセラーは不倫相手との再婚を企む。職を失い家族に見捨てられた男は野良犬を拾う。幕間には歩くバラバラ死体登場―。並走する四つの物語、交錯する十以上の人生、その果てに待つ意外な未来。不思議な人物、機知に富む会話、先の読めない展開。巧緻な騙し絵のごとき現代の寓話の幕が、今あがる。
(Bookデータベースより)



人生については誰もがアマチュアなんだよ。そうだろ?
誰だって初参加なんだ。人生にプロフェッショナルがいるわけがない。
全員がアマチュアで、新人だ。



プロットや時間軸の設定の妙なんかはさすがですし、キャラのたった登場人物も良かったです。黒澤は絶対人気でしょうね。
「オーデュボンの祈り」に出てきた青年や、次作の「陽気なギャングが地球を回す」とも絡まってると言われると、やっぱよくできてると思います。
ウィットのきいた言い回しなどもさすがです。
ただ、この作品は個人的にちょっと残念でした。


とある方がブログに書かれていたのですが、

老夫婦に拳銃など持たせたくないものです

と。

その通りだと思います。
人生の終盤に差し掛かった老夫婦。
当初新人だった人が中堅どころを真面目に一生懸命に走り、たとえプロフェッショナルになれなかったとしても、きっと経験豊富なベテランと呼べる存在にはなっているはずだと思います。
冒頭の黒澤の言葉を拝借して説明するのならこんな感じでしょうか。

真面目だったから何も知らないじゃなく、きっと真面目だったからこそ得られたことの方が大きいと信じたい。
ならばたとえ本当に撃つ気がなかったにしろ、ベテランが強盗をして「人生の充実」、なんて言葉は聞きたくなかった。
そんなことを考えてしまいました。



5つの別々のストーリーという名のパズルのピースがピタッとはまる感じは確かにうまかったです。
まさにだまし絵のような感じかな。ぐるぐるぐるぐる・・・。
著者の作品をエッシャーの絵と評した方の意味がわかりました。そして気持ち悪くなってしまったっていうのも。
そう、自分も途中ぐるぐる感にやられてしまいそうになりました。
もしかしたら自分は群像劇みたいなもの自体が苦手なのかもしれませんが・・・。
ただ、パズルでも一緒ですが、ある程度ピースがはまってくるとあとは手順がわかりすぎるきらいはあったかもしれません。
プロットとキャラや言い回しは良し。けど、この作品を通して伝えたかったことの不明瞭さとそれぞれの登場人物の結末の落差加減、そして老夫婦のシーンが個人的には残念。



世界に人の数ほどあるラッシュライフ。

このブログを目にして頂いた貴方の人生に、私もいつか、路傍の石ころ程度の脇役として登場させて頂くかもしれません。

そのときまで、お互いlashで、lushで、rashで、rushなLifeを楽しみましょう。



★★


その他の伊坂幸太郎作品
『オーデュボンの祈り』  ◇『ラッシュライフ』  ◇『陽気なギャングが地球を回す』



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