『オーデュボンの祈り』  伊坂幸太郎 | ページをめくった先に広がる世界と解け合う心

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オーデュボンの祈り (新潮文庫)/伊坂 幸太郎
¥660
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***この本は2009年6月に読了しました***

コンビニ強盗に失敗し逃走していた伊藤は、気付くと見知らぬ島にいた。江戸以来外界から遮断されている“荻島”には、妙な人間ばかりが住んでいた。嘘しか言わない画家、「島の法律として」殺人を許された男、人語を操り「未来が見える」カカシ。
次の日カカシが殺される。無残にもバラバラにされ、頭を持ち去られて。
未来を見通せるはずのカカシは、なぜ自分の死を阻止出来なかったのか?卓越したイメージ喚起力、洒脱な会話、気の利いた警句、抑えようのない才気がほとばしる!
第五回新潮ミステリー倶楽部賞を受賞した伝説のデビュー作、待望の文庫化。
(Bookデータベースより)


伊坂氏のは3作目かな?いま、人気ですね。
発行順がいいとのことなので、読了済みのものも含め、発行順に読み直したいと思います。




「胸の谷間にライターをはさんだバニーガールを追いかけているうちに、見知らぬ国へたどり着く、そんな夢を見ていた。



こんな記述から始まる本作。
誠に残念ですが(笑)、自分には胸の谷間もバニーガールも見えなかったけど、いつの間にか著者に見知らぬ国へ連れて行かれていました。

だけど決して夢ではなかったです。
夢見心地のような気分ではあったけれども・・・。



最近、ファンタジー系のものを読んでいなかったので、読んでからすぐ設定に入り込めるか当初不安でした。
なんてったってしゃべる案山子(カカシ)って設定ですし、さらにその案山子は未来が見えるっていうんですから。



読み始めた序盤の感想としては某村上氏を思わせる雰囲気を感じ、ありゃこれは自分には合わないかもなぁ、と思いながら読み進めました。
読み終わったときは、そんな風には思ってたことを忘れてましたけどね。
こういうところが著者が支持を受けている理由の一つかなぁ、と思ったりします。

作中、日比野は言います、「手品の種を知らなくても手品は楽しめるだろう」、と。

それと同じような気持ちで、いつの間にか楽しめました。



『ここには大事なものが、はじめから、消えている。だから誰もがからっぽだ』
『島の外から来た奴が、欠けているものを置いていく』


たくさんの伏線が、最後にひとつに収束していく。うん、良かったです。
本作に出てくる「カオス理論」、そんなイメージだったかな。
色々な伏線と言う野菜を詰めていってミキサーを回したら、すべての伏線がきれいに調和して、すごい美味しいジュースが出来上がりました。それが本作ですよ、みたいな。でももし何か一つでも違えば全然違うものになっている可能性があるジュースです。規則はあるのに予測はできない、そういうこと。
それとは別にしても、本作はミステリーとして読まないほうが面白いんじゃないでしょうか。
自分はそうでした。



最初に本作を読んでいれば、また違った感想になったかも知れない。
どうしても処女作という目で見てしまった気がする。
それでも読了後は、非常にさわやかな気分になれました。
これからは、案山子を見かけるたびに、優午ー!って思うかもしれない(笑)



「先のことなんて知らない方が楽しいんだ。もし誰かに聞かれても『面白くなくなるよ』って言って、教えない方がいいさ」


「未来は神様のレシピで決まる。」


これからも著者はきっと、とても多くの贅沢な材料を使って、とても素敵で面白いレシピという名の作品たちを世に送り出してくれることだろう。期待しています。



オーデュボンと同じように、優午は祈ることしかできなかった。
オーデュボンや優午の祈りは、これからも我々に届き続けるでしょうか。
届いたとして果たして、悲しい結末に向かうことを誰か止めることができるでしょうか。






「ジャングルを這う蟻よりも価値のある人間は、何人だ」

「わからない」

「ゼロだ」



桜かっけぇぇ・・・。

★★★★


その他の伊坂幸太郎作品
『オーデュボンの祈り』  ◇『ラッシュライフ』  ◇『陽気なギャングが地球を回す』



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