- GOTH 夜の章 (角川文庫)/乙一
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森野夜が拾った一冊の手帳。そこには女性がさらわれ、山奥で切り刻まれていく過程が克明に記されていた。これは、最近騒がれている連続殺人犯の日記ではないのか。もしも本物だとすれば、最新の犠牲者はまだ警察に発見されぬまま、犯行現場に立ちすくんでいるはずだ。「彼女に会いにいかない?」と森野は「僕」を誘う…。人間の残酷な面を覗きたがる悪趣味な若者たち―“GOTH”を描き第三回本格ミステリ大賞に輝いた、乙一の跳躍点というべき作品。「夜」に焦点をあわせた短編三作を収録。
(Bookデータベースより)
- GOTH 僕の章 (角川文庫)/乙一
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この世には殺す人間と殺される人間がいる。自分は前者だ―そう自覚する少年、「僕」。殺人鬼の足跡を辿り、その心に想像を巡らせる「GOTH」の本性を隠し、教室に潜んでいた「僕」だったが、あるとき級友の森野夜に見抜かれる。「その笑顔の作り方を私にも教えてくれない?」という言葉で。人形のような夜の貌と傷跡の刻まれた手首が「僕」の中の何かを呼び覚ます。彼女の秘密に忍び寄った彼が目撃するのは…。圧倒的存在感を放ちつつ如何なるジャンルにも着地しない乙一の、跳躍点というべき一作。「僕」に焦点した三篇を収録。
(Bookデータベースより)
***この本は2006年4月頃読了しました***
「人間には殺す人間と、殺される人間がいるね」
人間を処刑する道具や拷問の方法を知りたがり
殺人者の心を覗き込むもの
人間の暗黒部分に惹かれるものたちが
GOTHと呼ばれる
殺人や死、猟奇的な事件に異常な興味のある主人公”ぼく”とクラスメートの森野夜が色んな事件に、あくまでも第三者の立場で関わってゆく…。
主人公と森野夜のキャラクターが自分的に入りやすく非常に面白かった。
短編6作が連作で収録されてるが、どれも伏線の張り方がうまかった。
でもちょっと強引な展開の持ってきかただと感じた部分も少々。
ただ、こんな感じで読み手をミスリードさせて騙すやり方も、素直に読んで騙されるのもいいと思えた作品。
これを本格ミステリーと呼ぶのかどうかは知りませんが。
毎日のようにニュースで流れる殺人事件。
分かってはいたが、それでも確かに、世の中には人間を殺す人間が確実に存在しているというのを再認識させられた。
そしてそういう人間はときとして、普通の人となんら変わらない日常を送っている場合が多い。
そう、
今日会った人が明日自分を殺すかも知れない。
そんなことを感じた一冊。
あとがきで著者はファンタジーとして書いたと記しているが、ノンフィクションじゃないかと思えるくらいの現実味溢れる描写だった。と、思えてしまうおれも変なのか?
そして読み終わってから、ハードカバーの表紙裏の写真に気付いた時、ビックリ!ドキッとさせられた。
ココは読み終わってから見ることをオススメします。(文庫にもあるかどうかは未確認です)
評価が分かれそうな気がしますが、自分の中では比較的上位の作品かも。
どれも印象深かったけど、とくに後半の3作品「記憶」「土」「声」が良かった。
またいつか読み直したい作品。
ちょっとグロイ描写があるけど、それがOKな人にはオススメ。
表紙にあるような乾いたナイフが、貴方の心にある闇を切り裂くことでしょう。
★★★★★
余談ですが、自分は本作はハードカバーで読んだので、文庫のように「夜の章」「僕の章」とには分かれていなかったです。
文庫版の「夜の章」と「僕の章」はそれぞれ森野と僕に焦点をあてた三篇づつを収録しているようです。
自分はハードカバーに掲載されていた順番で読んで面白いと思いましたが、2冊に分かれて収録されていると順番的にどうなんだろ・・・と思っています。文庫で読んでないのでわかりませんが・・・。
その他の乙一作品
◇『失踪HOLIDAY』 ◇『暗いところで待ち合わせ』 ◇『GOTH』
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