使用している用語についての詳細はこちら → 【 用語集 ( Acronyms, Abbreviations & Jargons ) 】
ライオンズが非常に順調に、2勝1敗のペースで
勝利を積み重ねていた4月が過ぎ
一転、5月はなかなか思うように順調に勝利を積み重ねていけない
そんなゲームが続いていくこととなりました。
さてこの、交流戦も折り返し地点を過ぎるとともに
6月の梅雨の時期、そしてその後ろで夏の声が徐々に聞こえだす時期を迎え
ライオンズも2013年シーズンの48ゲームを終了し
ちょうど全日程の1/3を消化したこととなりました。
ということで、シーズンの1/6を消化した24ゲーム終了時点で用いた手法を使い
シーズン1/3消化時点での救援陣の成績を客観的なデータで振りかえると共に
またそのデータの推移をグラフを用いて示していき
前回の分析では総括として
“So far, so good”、
つまり、まだまだ短期間の“small sample size”ではあるものの
非常に素晴らしい成績を残したと言っていい
ライオンズのディフェンス、そしてライオンズのリリーフ陣でしたが
果たしてその後一昨日5/28終了時点まででその成績はどのように推移したのか、
そしてそうであるならばその要因はどこに大きく求められるべきかについて
注意深く観察していければと思います。
( ※参照 : 2011年シーズン → 【 データで見るライオンズ・リリーフ陣 vol.4 & RECAP 】
2012年シーズン → 【 データで見るライオンズ・リリーフ陣2012 vol.6 (FINAL) & RECAP 】
2013年シーズン、24ゲーム消化時点 → 【 データで見るライオンズ・リリーフ陣2013 vol.1 】 )
【 パ・リーグの各球団および平均データとの比較 】
まずはいつもどおり、パ・リーグ5球団の成績とまたライオンズを含んだリーグ平均の成績、
そしてライオンズ全体・ライオンズ先発陣・ライオンズ救援陣の成績を
ひとつの表の中に様々な指標を使って表示し
その後グラフで 2011年シーズンの最終実績、2012年シーズンの最終実績、
そして2013年シーズンの24ゲーム消化時点、48ゲーム消化時点、の順で
その推移を追っていきながら様々に分析していければと思います。
※なお、ライオンズ以外の他チームおよびリーグ平均のデータは
えるてんさんがプロ野球 ヌルデータ置き場にて集計なさったものを利用させていただきました。
この場を借りて改めて心より御礼申し上げます。
それではまず初めに5/28終了時点(=ライオンズ48ゲーム終了時点)での
各チーム、及びライオンズ先発陣/救援陣のデータを表にてご覧いただきたいと思います。
そして続いて、視覚的にわかりやすく観ていただくために
順を追ってそれぞれのデータの推移を折れ線グラフにて観ていただきながら
多少分析を施していければと思います。
< ① WHIP >
まずは、1イニング消化(=3アウトを奪う)間に何個の安打+四球を奪われているかを表すWHIPから。
最初の24ゲームとはまったく逆で、マリーンズを筆頭に
ライオンズ以外のチームが軒並みその成績を良化させてくることに成功する中で
ライオンズのディフェンスはその全体、先発投手登板時、
そして救援投手登板時、どれをとっても
残念ながら大きくその成績を悪化させてきたことがよく観て取れます。
また、前回の24ゲーム終了時点終了時点では
実に9イニング中平均して7イニング以上という
非常に深いイニングまで継続して
先発投手たちがまかなってきておりましたが
その先発陣と救援陣の消化してきたイニング数の比率を
9イニングの中に表したグラフの推移を観ていきますと
48ゲーム終了時点では6 5/9イニング、つまり
7回の1アウトもしくは2アウトまでへと
先発投手たちの担うイニングが、アウト数が減り
逆にリリーフ陣の担うイニングが相対的に増えてくると共に
その先発投手登板時の成績とほぼ同じであったライオンズ全体の成績も
多少ではありますが、その相対的に物足りない救援陣登板時の成績に
引っ張られるようになってきたことが観て取れます。
ただし、それでもリーグ平均との比較でみれば
もっとも物足りないそのリリーフ陣登板時の成績でも
まだまだそのリーグ平均を多少上回った程度で
ライオンズ全体の成績で観ればいまだリーグ最高の成績を誇っていますから
まだまだ現段階でそこまで大きな問題であるとは言えず
最大の着目点は、今後ライオンズのディフェンスが
その成績をこのまま継続して悪化させていくのか、
それとも現在のままで維持、もしくは再度良化させることができるのか、
ここにのみあると評価できます。
それでは、続いてこのWHIPで全体的に観た、24~48ゲームの間の
ライオンズのディフェンスの成績の大きな悪化について
もう少しそれぞれの細かい部分に分けて詳細に観ていき、
その中の一体どこに問題が潜んでいるかを探っていきたいと思います。
< ② 被打率および被BABIP >
それでは、まずは被打率およびそれに大きな影響を与える
インフィールドに飛んだ打球の被打率である、被BABIPを観ていきたいと思います。
被打率そして被BABIPにおいて、こちらも基本的には
上で観たWHIPのデータと同じような推移を各チームともに観て取れると言えますが
注目すべきはライオンズ・リリーフ陣の被BABIPが
24ゲーム終了時点とほぼ同じ、もしくは多少良化しているにもかかわらず
その被打率がそのWHIPの成績と同じように悪化していることで
これはつまり、インフィールドに飛んだ打球ではなく
おそらく被本塁打数が増加したかもしくは奪三振数が減少したことが
大きな原因であると推測され、それはつまり
ライオンズの野手守備陣のフィールディングやスローの影響を受けない
リリーフ投手たちの純粋な成績が悪化したということを指し示しますから
この点については気がかりであると言え
下でもう少し詳しく、直接被本塁打率や奪三振率の項にて観ていきたいと思います。
< ③ 被IsoDおよび(BB+HBP)% >
続いて、2011年および2012年シーズン、そのいずれにおいても
ライオンズリリーフ陣の最大の改善点のひとつであった
被出塁率-被打率で算出される被IsoDと
その総被打席の中に占める四死球数の割合を示す(BB+HBP)%を観ていきますと
(※ (BB+HBP)%は(IBB%は除いておりますが)W%として日々のBoxScoreにも選手別に記載しております)
ここでも上で観たWHIPのデータと同じような推移を
各チームともに観て取れると言えますが
やはり気になるのはライオンズ救援陣の
リーグ最低クラスの非常に物足りない成績と
そしてそれをますます推し進めていく、継続して悪化の一途をたどるその推移です。
ここから、改めてやはりライオンズ救援陣の成績の改善のためには
その四死球を如何にして減らしていくかが非常に重要であることが観て取れると言えます。
今後ライオンズの投手陣がそのリリーフ陣を中心に
入れ替えや調整を経て再構成されていく中で
どれだけその四死球数が減っていくかに大きく注目していきたいところですね。
< ④ 被IsoPおよびHR% >
続いて、こちらも2011年および2012年シーズン、そのいずれにおいても
ライオンズリリーフ陣の最大の改善点のひとつであった
被長打率-被打率で算出される被IsoPと
その総被打席の中に占める本塁打数の割合を示すHR%を観ていきますと
こちらでもライオンズのディフェンスは全体・先発投手登板時・救援投手登板時を問わず
軒並その成績を悪化させてきていることが明白であり
特にリリーフ投手登板時の成績の悪化の推移の程度は非常に気がかりではありますが
それでもまだリーグ平均近辺もしくは多少良い成績に留まっていることを観ても
こちらもまだまだそこまで心配する水準までには至っていないと観てよく
今後その成績がどのように推移していくかを楽しみに注目していければと思います。
< ⑤ K%、そしてFIP >
最後に、その総被打席の中に占める三振数の割合を示すK%のデータを示すと共に
総括として、与四死球数・被本塁打数・奪三振数といった
100%投手陣が担うべき成績を防御率に似せて表したFIPという指標のデータを示します。
奪三振率について観ていきますと
ライオンズブルペン陣がある程度大きくその成績を低下させてきており
この奪三振率の低下と、そして上で観た被本塁打率の上昇とが
同じく更に上で観た、被BABIPの変化に拠らない被打率の悪化に共に寄与したと観て取れます。
最後にFIPについて観ていきますと
ここでも、ある程度のばらつきはありながらも
リーグの他のチームがその成績を良化させている中で
ライオンズ投手陣は先発陣、救援陣ともに
その成績を大きく悪化させていると総括できます。
ただし、こちらもここまで観てきた各部分の成績とほぼ同じように
だからといってリーグ平均からかなり突出して
非常に物足りない成績を残しているかと言えばそうではなく
リーグ平均近辺もしくは多少優秀な成績を残していることは確かなのですから
やはり、今後その成績がどのように推移していくかにこそ
最大限注目していければと思います。
< まとめ >
ここまで今シーズンここまでのライオンズのディフェンスのデータ、それも特に
ライオンズ・リリーフ陣のデータを観てきましたが
結果総括としては
非常に素晴らしい成績を残した24ゲームを過ぎ
以降48ゲームまで、非常に物足りない成績に留まった
ライオンズのディフェンス、そしてリリーフ投手陣でしたが
それでもまだまだリーグ平均近辺に留まっていることも確かであり
今後いかにしてライオンズがそのディフェンスを再構成し立て直し
その成績を改善させていくかに注目したいということです。
ただし、ブルペン陣の四死球数の多さについては
すでにリーグ最低数クラスの非常に物足りない成績を記録していますから
この点については、早急に改善が必要であると言えます。
既に涌井さんが先発投手陣からリリーフ投手陣にその役割を変え
2011年の篤志さん、そして2012年の十亀さんの担ってきた、
リリーフ陣の中でもクローザーやセットアップ・マンにも増して
最も重要な役割と言っていいリリーフ・エースを任されるようですから
今後の涌井さんが、そしてそれだけに留まらず
何人かのリリーフ・エースたちが台頭し
その活躍を、素晴らしい投球を魅せてくれることも非常に楽しみです。
それでは、最後に今2013年シーズン、48ゲーム(シーズンの1/3)消化時点の
ライオンズ投手陣の生データおよび
そのライオンズ投手陣の分担イニングをそのまま9イニングに凝縮した
“モデルの試合”を構築しそれぞれの安打数、四死球数などの本数、個数を表示したデータ、
そして先発陣と救援陣の残してきた成績を比較しやすくするために
どちらも9イニングを先発陣だけ、もしくは救援陣だけで担当したと仮定した場合の
それぞれの安打数、四死球数などの平均本数、個数を表示したデータを表示し
次回72ゲーム終了時点ではライオンズの投手陣が、リリーフ陣が
みごとその成績を改善し向上してくれることを心より願いながら
今回はこのあたりにして終了したいと思います。