しつこいカビ落としには、どのカビ取り剤がいい?
こんにちは。橋本です。
強力なカビ取り剤には、次亜塩素酸ナトリウム(じあえんそさん・なとりうむ)という成分が入っているものが多いです。
「次亜塩素酸ナトリウム」というと聞き慣れないですが、いわゆる「塩素系」といわれるものは、「次亜塩素酸ナトリウムが入ってますよー」ということなんですね。
カビ取りスプレーといえば、有名なのは「カビキラー」ですが。
そのカビキラーも塩素系のひとつです。
でも、塩素系以外にもいろいろ種類のあるカビ取り剤。
しつこいカビを落とすには、塩素系のカビ取り剤が本当に一番いいんでしょうか?
次亜塩素酸ナトリウムとは
次亜塩素酸ナトリウムというと難しい話になりそうですよね。
ところがそうでもなく、実際にはごく身近なものです。
次亜塩素酸ナトリウムが使われているのは、カビ取り剤以外にもあり、家庭用品で代表的なのは、「塩素系漂白剤」といわれるものです。
塩素系漂白剤は、カンタンにいうと、次亜塩素酸ナトリウムを水に薄く溶かしたもの。
つまり、「次亜塩素酸ナトリウムの水溶液」なんですね。
塩素系漂白剤のあの独特のツーンとした臭いは、次亜塩素酸ナトリウムの臭い。
次亜塩素酸ナトリウムには、漂白作用、殺菌・消毒作用などがあります。
そのため、水道水やプールの消毒、哺乳瓶の殺菌剤、家庭用漂白剤、カビ取り剤などに広く使われているわけです。
そういう点で現在の生活を改めて見ると。
次亜塩素酸ナトリウムの、衛生環境の維持への貢献の大きさが、「じつは想像以上に大きいものなんだ」というのもなんとなくわかるかと思います。
たとえば、パンデミックとよばれる、爆発的な感染力を持つ「コレラ」のような病気が、今ではほとんどの国でみられなくなったのは、塩素を含んだ水道水のおかげともいえるんですね。
当たり前過ぎて、日ごろ意識できないことですが、多くの子どもたちの健康は、日本の上質な衛生環境に支えられているのは間違いありません。
「しつこいカビには塩素系」である理由
カビの本体は、菌糸(きんし)といわれる糸状の構造が枝分かれしてつながったものなんですが。
次亜塩素酸ナトリウムをカビに反応させると、このカビの菌糸を化学的に変化させます。
カビと次亜塩素酸ナトリウムの反応が進めば進むほど、菌糸の分解が進み、カビの細胞がどんどんもろくなるわけです。
そうなると、もろくなったカビを水で流しやすくなる。
この作用が強いのが、「しつこいカビには塩素系」といわれるゆえんなんですね。
さらに、次亜塩素酸ナトリウムは、漂白する作用も強く、カビの出した黒い色素の跡まで白く脱色させます。
ですから、塩素系のカビ取り剤は、カビに吹き付けたらこすらず、30分ほど放置してカビの分解を進めてあげるのが、賢い方法です。
カビを落とす前 |
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塩素系で30分つけ置き後、こすって洗い流し |
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塩素系、酸素系、有機酸系…
カビ取り剤には、この「塩素系」のほかに、乳酸などを使った「有機酸系」といわれるもの。
それと、洗濯槽のカビクリーナーとして、過炭酸ナトリウムなどを使った「酸素系」といわれるものが市販されています。
・ 塩素系 ………主成分: 塩素系化合物
(例:次亜塩素酸系、塩素化イソシアヌール酸など)
・ 酸素系 ………主成分: 過酸化物
(例: 過酸化水素、過炭酸ナトリウムなど)
・ 有機酸系 ……主成分: 有機酸類
(例: 酢酸、乳酸、クエン酸、リンゴ酸など)
有機酸系のカビ取り剤、それから酸素系の漂白剤、洗濯槽クリーナーなど…。
こういったものは、塩素系よりはるかに、カビを分解させる作用がマイルド(弱くおだやか)です。
その分、有機酸系や酸素系のものは、危険性が少なく取り扱いやすいともいえます。
しかし、頑固なカビを落とそうと思えば、塩素系以外のカビ取り剤や漂白剤では少し無理があります。
家庭用のカビ取り剤には界面活性剤(かいめん・かっせいざい)も含まれていますが、これはあくまでも補助的なもの。
カビ取り剤をカビに浸透しやすくしたり、泡状になってカビに密着しやすくしたり、カビが再びつきにくくしたりという効果を狙ったもので、カビを落とせるものではありません。
そういった理由で、市販品のカビ取り剤は、塩素系の製品が圧倒的に多いんですね。
カビが落ちないカビ取り剤では、意味がないわけですから。
ケースバイケースで安全に
今のところ、ひどいカビを落とそうと思えば、塩素系のカビ取り剤を使うのが、やはり一番効率的です。
ただ、その塩素系の実力を発揮させるには、このようにカビが落ちる仕組みを知っておく必要があり、その理屈に合った使い方をすること。
たとえば、「こすらずにつけ置きする」とか重要ですね。
そして、塩素系はカビにも効果がある分、臭いや刺激もそれだけ強いもの。
刺激を受けないように、ゴム手袋、マスク、保護メガネなどを身につけ、安全に使う方法を守る。
肌に直接つかないように気をつけることも大事です。
また、「カビがひどくなる前にこまめに手入れをしたい」。
もしくは、「赤ちゃんの安全を最優先に」という場合には、塩素系ではなく、より危険性の少ない酸素系、有機酸系を使うのもありですね。
では、よりアレルゲンの少ない、カビの少ない環境を。
ぜひ安全第一で!