岩井三四二くんの新作『鹿王丸、翔ぶ』を読みました。

 

鹿王丸、翔ぶ/岩井 三四二

¥1,785
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時は戦国、場所は三好氏を追い出した六角氏が支配する京の町。
  
見廻りの六角氏の武将が次々と鉄砲で撃ち倒されるという事件が続いていた。
 
甲賀の伴谷の領主与七郎の元に犯人を捕らまえよとの依頼が来、与七郎は家人と共に京の町に赴いた。
 
八方手を尽くし犯人捕縛に尽力する与七郎であったが、なかなか手掛かりはつかめず、そうこうする内に四人目の犠牲者が。
 
その後も、何度かチャンスがありながら犯人を取り逃してしまう与七郎たち。
 
やがて六角氏が参内する日が来、与七郎は影武者として輿に乗せられ標的となるよう命を受ける……。
 
 
六角氏、ですか。
 
名前は聞いたことがあっても、たいした活躍もしていないため、これまであまり小説の題材とはされていなかった人物です。
 
しかも本書は、六角氏そのものではなく、六角氏に恨みを持つ鉄砲名人鹿王丸と、その鹿王丸を捕まえようとする六角氏の家来を主人公にしています。
 
このあたり、さすが岩井くんは目の付けどころが良いですね。
 
六角氏の家来が京の町で鉄砲で次々と殺された、という史実があるのかどうか知りませんが、あってもおかしくない、と思わせる設定がされており、不自然なところはありません。
 
上の内容紹介では、犯人の鹿王丸を捕らえようとする与七郎側のことしか書きませんでしたが、鹿王丸側の事情(思い人を六角氏側に殺された)も十分書き込まれており、読み応えのある作品に仕上がっています。
 
 
評価 ☆☆☆☆
 
 

これまでに読んだその他の岩井三四二の本

 

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覇天の歌  ☆☆☆

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