戦国時代の連歌師、紹巴(じょうは)の生涯を描いた岩井三四二くんの『覇天の歌』を読みました。


覇天の歌/岩井 三四二
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これは、直木賞取れるんじゃないでしょうか。

会心の出来とは言えないかもしれませんが、これまでの例を見ていても得てしてそういった作品の方が案外受賞したりするものです。

また、2008年下半期の受賞作は山本兼一くんの『利休にたずねよ 』でしたが、同時代の人物を描いた作品として決してひけを取るものではないと思います。

奈良興福寺一乗院の奉公人の子に生まれた光明丸は、父の死を機に寺の稚児となり、連歌に出会う。

都に出て連歌師に弟子入りし、紹巴(じょうは)と号するようになった光明丸であったが、歌の道はなかなか上達せず先行きに不安を覚える。

だが、紹巴(じょうは)は相次ぐ師の死をャンスに変え、やがて連歌界の第一人者となっていく。

時は戦国、信長から秀吉に権力が移る時代を一人の文人がいかに生きたかを描く。

中学の歴史の授業で習った覚えがある連歌ですが、 現代ではすっかり廃れてしまっているので、「幽玄の境地に遊ぶ」とか言われても、その面白みというのは実のところよくわかりません。

ですが、作中の連歌の面白みはわからずとも、作品を楽しむ支障にはなりません。


岩井三四二くんには他にも『連歌師幽艶行』など連歌師に題を取った作品があります。


評価 ☆☆☆




これまでに読んだ、その他の岩井三四二の本


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一手千両  ☆☆☆


はて、面妖  ☆☆☆

琉球は夢にて候  ☆☆☆




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