“大きくなること、それは悲劇である”

“重くなること、それもまた悲劇である”
どうも、体重が自己記録を更新中で、10年ぶりに妊婦さんに間違えられたあきたばくです。
「2010年本屋大賞」ノミネート作6冊目、小川洋子くんの『猫を抱いて象と泳ぐ』を読みました。
猫を抱いて象と泳ぐ/小川 洋子
¥1,780
Amazon.co.jp

まず冒頭で、大きくなりすぎてデパートの屋上から降りられなくなり、そこで生涯を終えた象の悲劇が語られます。

続いて、少年の家と隣の家の隙間に入り込んで出られなくなり、そのままミイラになったとされる少女の噂。


そんなことありそうにないけれど、絶対にあり得ないとは言えず、ひょっとしたら本当にあったのかも……と思わせる出だし。

さすが上手いです、小川洋子くん。


そして、主人公の少年リトル・アリョーヒンにチェスを教えてくれた元バスの運転手の死。

彼は廃バスの中で暮らしていましたが、あまりにも太っていたために死亡した時にバスから出すことが出来ず、クレーンで吊るされ運び出されるのです。

クレーンって……でも、250キロなら、外国でなら、そんな話を聞いたことがあるような気もします。

    “大きくなること、それは悲劇である”

リトル・アリョーヒンの身体は、十一歳のまま大きくなることをやめます。

そして彼は、その小さな身体を活かして、チェスを指すことの出来る人形“リトル・アリョーヒン”の操縦者となります。

活動の場所は、ホテルの地下にある秘密のチェスクラブ。

少年はそこで、ミイラの少女と出会います。

ですが、少女の身に思ってもみなかった不幸が、少年の手によってもたらされてしまうのです。


失意の少年は、人形“リトル・アリョーヒン”と共に秘密チェスクラブから逃げ出します。

そして、山の上にある引退したチェスプレーヤーたちのための老人施設で、再び“リトル・アリョーヒン”として活躍を始めるのですが……。




天才チェス少年が大活躍する物語かと思えば、さにあらず。

人知れず人形“リトル・アリョーヒン”を動かして、恋も実らず亡くなってしまう、少し悲しいお話でした。


他のノミネート作品に比べると純文学よりなので、「本屋大賞」は、どうかな。

小川洋子くんは一度受賞していますし、そのあたりもどう判断されるのか気になりますね。


評価 ☆☆☆


これまで読んだノミネート作品に順番を付けるとこんな感じ。


    ① 『天地明察』沖方丁

    ② 『横道世之介』吉田修一

③ 『猫を抱いて象と泳ぐ』小川洋子

 『神去なあなあ日常』三浦しをん

 『植物図鑑』有川浩

 『1Q84』村上春樹




ビールと活字がガソリンなんです。  のchikaさんが、「本屋大賞ノーミネート作品で好きな本は?」というアンケートを作ってくださってます。


 こちら  から投票できますので、皆さん投票してくださいね。

ばくも、もう何作か読んだら投票したいと思います。




そうそう、投票と言えば、こういうのもやってますので、よろしければぜひ!


2010年2月度:本魂!書評記事コンテスト




  ブックオフオンライン   ブックオフオンライン