【夕顔30-2】新テスト対応和歌問題☆「心あてに…」
源氏物語イラスト解釈です
では今日も、一気に行ってみましょぉ~♪
ヽ(○・▽・○)ノ゙
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今回の源氏物語
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もて馴らしたる移り香、いと染み深うなつかしくて、をかしうすさみ書きたり。
「心あてにそれかとぞ見る白露の
光そへたる夕顔の花」
訳と内容が不明確の人は、まずイラスト訳からどうぞ☆
夕顔30のイラスト訳はこちら
これまでのあらすじ
天皇(桐壺帝)の御子として生まれ、才能・容姿ともにすぐれていたにもかかわらず、亡母(桐壺更衣)の身分の低さにより臣籍降下して源氏姓を賜った光源氏。
ただ今、「4.夕顔(ゆうがお)」の巻です。源氏が新たな恋人、六条御息所の所に通っていた夏の頃の話。源氏の従者である惟光の母は、光源氏の乳母でもありました。この乳母が病に臥して尼になったため、源氏は五条まで見舞いに出かけます。その家の門が開くのを待つ間、光源氏は夕顔の花が咲く、わびしいたたずまいの隣家に目をとめます。その花を一房取ってくるよう従者に命じると、その隣家から女童が出てきて、これに花を載せて持って行くようにと、香をたきしめた扇を差し出しました。それから、尼となった大弐の乳母を見舞い、帰り際ふと扇に目をやると…。
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新テストで出題される☆ 和歌問題 ☆
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和歌も問題は、
大学入試でよく出題されます。
2020年度から新テストになるわけですが、
センター試験でも最近よく出てくるこんな問題が
和歌解釈の出題として主流になってきそうです。
ε=ε=ε= ヾ(*~▽~)ノ
もて馴らしたる移り香、いと染み深うなつかしくて、をかしうすさみ書きたり。
A 「心あてにそれかとぞ見る白露の光そへたる夕顔の花」
問)和歌Aについての討論内容として適当でないものを次の中から選べ。
1.A子:この歌は、凡河内躬恒の「心あてに折らばや折らむ初霜のおきまどはせる白菊の花」を意識して作られた歌のようね。「初霜」を「白露」、「白菊」を「夕顔」に置き換えて、「白」のイメージがさらに深まってるわ。こういうのを、「本歌取り」っていうのね。
2.B男:イメージはそうなんだけど、今回の歌の解釈は、諸説あるようだよ。たとえば、「夕顔」を光源氏とする説、女の顔の比喩とする説。また、「それ」を光源氏とする説、頭中将とする説もあるんだ。明らかに解釈が違うよね。いったいどれが正しいんだろう。
3.C子:「夕顔」の解釈は、まったく異なるように思えるけれど、実はどれも光源氏の正体を言い当てたものなの。白露の光(つまり源氏の君)とニアミスした私(つまり夕顔)っていうこと。だから、「それ」の解釈が「頭中将」っていうのは、ありえないことだわ!
4.D男:頭中将っていうのは、たしか夕顔の元夫だったよね。たしかに控えめな性格の夕顔が、積極的に光源氏にアプローチするのは不自然かもしれない。それよりも、車中の光源氏を頭中将と勘違いして歌を詠みかけたとする方が、彼女の性格に合うよね。
5.E男:でも、「光添へたる」っていう部分が、光り輝く源氏の君だという伏線も、あながち不適切だとは思えないよ。「光輝く頭中将」とするには、物語上、主人公の光源氏がかすんでしまうし…。まあ、「真相は藪の中」ってことで、自由に解釈していいんじゃね?
選択肢を読むだけでもが出そう…;;
現代文では、こういうのセンター試験でも出てきますよね!
新テストでは、
「正答がない問題を思考する」
という趣旨のようなので、
こういった、今まで解釈が分かれた和歌の問題も
けっこう出てきそう…(;゚;∀;゚;)
でもね。
方法は一緒!
選択肢を部分に分けて見ていき
文脈と明らかに異なるものを探す!
ではいってみましょ~
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1.A子の主張 ☆ 本歌取り ☆
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和歌修辞の問題です。
「本歌取り」という修辞を知ってますか?
(σ・∀・)σ
【本歌取り(ほんかどり)】
(和歌修辞)
…和歌・連歌の表現技法の一つ。古歌(典拠とする古歌を「本歌」という)の用語・表現・情趣などを採り入れて詠み、より複雑な趣を出す技法。新古今時代に盛んに行われた。
(『Weblio古語辞典』より)
本歌取りは、
その言葉自体でどのような修辞か分かりますが、
こういう選択肢として出題されることもあり得ます。
(o^-')b
1.A子:この歌は、凡河内躬恒の「心あてに折らばや折らむ初霜のおきまどはせる白菊の花」を意識して作られた歌のようね。「初霜」を「白露」、「白菊」を「夕顔」に置き換えて、「白」のイメージがさらに深まってるわ。こういうのを、「本歌取り」っていうのね。
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2.B男の主張 ☆ 解釈の多様性 ☆
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いろいろ解釈が分かれる
というのは、知ってないと検討しづらいですが、
明らかに文脈と異なる部分を探す
という方向で、吟味していきましょう♪
(●‘∀‘●)ノ"
ちなみに、
「夕顔」を光源氏とする説は、
①「夕顔」を光源氏の夕方の顔とし、「その美しいお顔は光源氏さまでしょう」と言い当てた歌と解する。(本居宣長説)
②夕顔は高貴な光源氏の顔に見立てたものではなく、女は卑しい花を自身の比喩として詠んだと解する。また、「白露の光そへたる」は、夕顔自ら輝くことではなく、白露の光が夕顔に光を添えたと解する。(細流抄説・玉上琢彌説)
③女が牛車の中の人物を頭中将だと誤認し、「白露の光」を「それかとぞ見る」と解し、「夕顔を輝かせるお方は頭中将あなた様でしょう」と言った歌だとする。(黒須重彦説)
などが有名です。( ゚Д゚ノノ☆
2.B男:イメージはそうなんだけど、今回の歌の解釈は、諸説あるようだよ。たとえば、「夕顔」を光源氏とする説、女の顔の比喩とする説。また、「それ」を光源氏とする説、頭中将とする説もあるんだ。明らかに解釈が違うよね。いったいどれが正しいんだろう。
う~ん;;(((-゛-;)
明らかに間違いの部分って、なさそうですね;
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3.C子の主張 ☆ 頭中将説の批判 ☆
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おぉ~っと!
これは…さきほどの諸説からすると、
明らかに違う箇所あり! です。
─=≡Σ((( つ•̀ω•́)つ
3.C子:「夕顔」の解釈は、まったく異なるように思えるけれど、実はどれも光源氏の正体を言い当てたものなの(△)。白露の光(つまり源氏の君)とニアミス(△)した私(つまり夕顔)っていうこと。だから、「それ」の解釈が「頭中将」っていうのは、ありえないことだわ!
また、「光源氏とニアミス」っていう表現も、
光源氏と直接会ったわけでない夕顔からすると、
なんか不適切な表現なのでございます。
o(_ _*)o
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4.D男の主張 ☆ 頭中将説の正当性 ☆
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①の本居宣長説は、
夕顔の控えめな性格からして、
確かに、なんだか不自然ですよね。
「もしや源氏様では?」と積極的にアプローチするなんて!
…見ず知らずの相手に、ですよ!
(`・д´・ ;)
それよりも、
「遠方人にもの申す(⇒何の花ぞも)」
という問いかけに対して、あくまで受身の立場で、
「夕顔の花のような、あなた様の常夏でございます」
と答えたとする方が、確かに自然だと思われます。
…とすると、
これは、光源氏を、元ダンナである頭中将と誤認したと捉えたほうが、文脈上おかしくないですよね。
(*′•ω•`*;)
4.D男:頭中将っていうのは、たしか夕顔の元夫だったよね。たしかに控えめな性格の夕顔が、積極的に光源氏にアプローチするのは不自然かもしれない。それよりも、車中の光源氏を頭中将と勘違いして歌を詠みかけたとする方が、彼女の性格に合うよね。
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5.E男の主張 ☆ 真相は藪の中 ☆
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このE男くんの説、
私はこちらに共感を覚えておりまして、
昨日のイラスト訳もこの説に則って解釈しました。
…これが、
出題者の意図っていうワケですね!
(;゚;∀;゚;)
5.E男:でも、「光添へたる」っていう部分が、光り輝く源氏の君だという伏線も、あながち不適切だとは思えないよ。「光輝く頭中将」とするには、物語上、主人公の光源氏がかすんでしまうし…。まあ、「真相は藪の中」ってことで、自由に解釈していいんじゃね?
芥川龍之介の「藪の中」は、
皆さん読まれたことありますか?
供述者全員の話がくい違いっています。
犯人も、目撃者も――
そして被害者(巫女に乗り移った死霊の供述)も――
(((((゚Д゚ ;))))
私、はじめてこの小説を読んだとき、
結局、本当のことはどうだったんだろうか?
芥川は何を書こうとしたんだろうか?
と、ずっと考え続けていましたが…
結局、真相は「藪の中」ってこと。
(;゚;∀;゚;)
【心当て(こころあて)】
【名詞】
…あて推量
(『Weblio古語辞典』より)
夕顔の真の気持ちは
夕顔にしか分かりません。
読者である私たちは、
彼女の気持ちになって、
歌の真意もそれに委ねて
解釈していったらいいと思うんです。
(▰˘◡˘▰)
解答…3